日産自動車は2023年2月1日、北極から南極まで約2万7000kmの冒険走行に挑む「Pole to Pole」探検チームが使用するEV「アリア」を公開した。
2023年3月にスタートし、北極から南極まで(Pole to Pole)を走行するこの冒険では、氷原や深い雪、急勾配の山や人を寄せ付けないような砂漠の砂丘など、美しい景観だが極限までに過酷な地形や環境の中を走り抜けることになる。極地探検車のスペシャリストであるアークティック・トラックス社は、日産のデザインおよびエンジニアリング・チームと協力し、これらの厳しい環境に対応できるようEV「アリア」の準備を進めてきた。
しかし、その「アリア」の装備、仕様はできるだけ市販状態のままとされている。バッテリーやパワートレインは市販車のままで、最も大きな変更点は荒れ地走行用サスペンションの採用と低圧39インチのタイヤの採用である。これらを日産の電動4輪制御技術「e-4ORCE」と組み合わせることで極限の地形に挑み、南極点への到達に必要な快適性と制御を確保している。
今回の冒険のリーダー、クリス・ラムゼイ氏は、次のようにコメントしている。
「私たちの冒険が目指すことのひとつに、クルマの本当の実力、日常的な能力を明確に示すということがあります。ですから、標準的な市販EVを使用し、最小限の変更でどんな場所も走ります。今回も同様で、ドライブトレインとバッテリーは工場出荷時のままである市販のアリアを使用し、このクルマがいかに高性能で多用途であるかを示します。サスペンションを変更し、ホイールアーチを広げることで、安定したプラットフォームと39インチのBFグッドリッチタイヤのベネフィットをより引き出すことができるようになりました。そして、もともと素晴らしいクルマが、さらにスタイリッシュになり、地球の果てまで行けるよう準備が整いました。今からドライブするのが楽しみでなりません」
大のコーヒー好きであるクリス・ラムゼイ氏は、特別に組み込まれたエスプレッソマシンによって、長時間の旅の途中でサステナブルなコーヒーをいつでも楽しむことができる。そして、屋根の上のユーティリティユニットから直接飛ばすことができるドローンを使って、壮大な環境の美しさを撮影することも可能だ。
また、今回の冒険では、再生可能エネルギーを活用する革新的なポータブルユニットを極地での「アリア」の充電に使用する。牽引可能なこのプロトタイプのユニットには、軽量の風力発電機とソーラーパネルが搭載されており、強風と長い日照時間を利用して、ドライバーが休憩している間にEVのバッテリーに充電を行なうことができるのだ。
コドライバーを務める妻のジュリー・ラムゼイ氏は、下記のように語っている。
「この4年間、私たちは『Pole to Pole』の計画と準備に生活の大半を費やしてきました。3月のスタートが本当に楽しみです。旅の途中では、気候変動に対して積極的に行動を起こしているコミュニティや個人の興味深い取り組みを見つけ、その経験とストーリーを皆さんと共有していきたいと思っています。私たちの冒険は、これまで誰も試みたことのない世界初の挑戦です。本当にワクワクしています」