日産自動車は2025年2月7日、製造時のCO2排出量を削減したグリーン鉄鋼板の採用を拡大すると発表した。これにより2025年度に日本で生産する車両全体の鋼板使用量の占めるグリーン鉄は、2023年度比で約5倍に増加する見込みとしている。
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日産は、2030年までに製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を30%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目指しており、その一環として素材の調達段階から脱炭素に向けた取り組みを強化している。
鉄の製造では、発生するCO2の多くが高炉で鉄鉱石を還元するプロセスに由来している。そのためグリーン鉄は、原料を鉄鉱石から低炭素還元鉄に置き換えることで還元プロセスにおけるCO2排出量を削減したり、生産方法そのものを高炉製法から電炉製法に切り替えることで製鉄時のCO2排出量を削減している。
鉄部品は車両重量の約60%を占めており、2050年までにクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現するためには、製造プロセスからCO2排出量を削減したグリーン鉄の採用を促進する取り組みが不可欠になっている。
そのため、日産は2023年から神戸製鋼所の「Kobenable Steel」を採用するなど、日本市場において、いち早くグリーン鉄の導入に取り組んできた。
今回、新たに日本製鉄の「NSCarbolex Neutral」、JFEスチールの「JGreeX」、ポスコのCarbon reduction allocated steelも採用し、グリーン鉄の使用量を大幅に拡大する予定だ。なお、これらのグリーン鉄は、製造時のCO2排出量を、製造プロセス全体のCO2排出量の削減効果を一部の鉄鋼製品に集約し、CO2排出原単位の低い鉄鋼製品とみなすマスバランス方式で削減している。