日産自動車は五輪開催を控えるブラジル・リオデジャネイロで、新型クロスオーバーの「キックス(Kicks)」を世界初公開した。
これは2014年10月のサンパウロモーターショーで披露した「キックス コンセプト」の市販バージョンで、都会に住む人をターゲットとしたクロスオーバーモデルだ。また同車は初公開の場を五輪の聖火リレーとしており、公式オフィシャル車両となった日産を代表するモデルとなる。
公表されたボディサイズは全長4295×全幅1760×全高1590mmで、ホイールベースは2610mm。同社のジュークよりも少し長くて背が高いが、同じBセグメントに所属する。また現地のカタログによると、駆動方式はFFでトランスミッションはCVTを搭載。エンジンは1.6Lの直列4気筒エンジンで、最高出力126psの自然吸気と同190psのターボ仕様が設定されている。
したがって、2008年から2010年にかけて、三菱自動車からOEM供給を受けて国内販売していたパジェロミニの兄弟車であるキックス(Kix)とはまったく別物である。
エクステリアは最新のクロスオーバーにふさわしく、実用的でありながら感性に訴えるデザインを実現している。具体的にはVモーショングリル、ブーメラン型のヘッドランプとテールランプ、ウインドウがフロントからサイドにかけて巻き込んだバイザーのように見えるフローティングルーフなど、日産の最新デザインシグネチャーが随所に採用されている。また空力性能にも注力され、動力性能の向上に加えて、走行中の風切り音も低減させている。
一方でインテリアは革新的な機能を多数搭載し、高品質で未来的なデザインとなっている。クーペのようなルーフラインにも関わらず、後部座席ではクラストップの広さを実現し、広い荷室空間を提供する。ダッシュボードにはモダンでシンプルな「グライディングウィング」デザインを採用し、スマートフォン連動型のインフォテインメント系システムを搭載した7インチのフルカラーディスプレイを中央に配置している。
キックスには4つのカメラでクルマの周辺状況を認識し、死角にある障害物をドライバーに知らせる「アラウンドビューモニター(移動物検知機能付き)」が搭載されている。この機能は南米ではセグメント初の導入となり、同地域における「日産インテリジェント・モビリティ」をより強固なものとする役割が期待されている。
グローバル商品企画を担当する日産自動車の加藤顕央常務執行役員は、「キックスは世界中のお客さまのニーズに応えるため、日産が培ってきた経験を活かして開発されたコンパクトクロスオーバーです。クラストップのデザインと利便性、革新的な技術を兼ね備えており、私たちの『日産インテリジェント・モビリティ』へのコミットメントを証明するモデルと言えます。そしてキックスは街中でのドライブに最適なクルマです」と述べた。
キックスはメキシコのアグアスカリエンテス工場で生産され、2016年8月にブラジルで販売を開始する。また2016年度後半には、南米の他の市場でも販売を開始し、その後世界80カ国以上に投入する予定だ。さらに2016年度中には、同車の生産に向けて7億5000万レアル(約228億円)を投資したリオデジャネイロのレゼンデ工場でも量産へ向けた準備を開始する予定だ。