【ニュース読み解き】日産の新経営対策は中国市場か?実績を積み上げたグプタ氏は解任なのか?

日産自動車は2023年6月27日、定時株主総会後の最初の取締役会で、代表執行役、執行役、取締役会議長・副議長、各委員会の委員長と委員を選定し発表した。また同日に開催された社外取締役ミーティングで、筆頭独立社外取締役を選定した。

内田誠CEO(代表執行役社長兼最高経営責任者)

■ 異変
日産は6月27日に開催される株主総会に先立つ6月16日に、代表執行役最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏が、「新たなキャリアを追求するために6月27日をもって退社する」ことを発表している。

これまで代表執行役最高執行責任者(COO)を務めてきたアシュワニ・グプタ氏

グプタ氏はCOOとして、日産の再建計画事業構造改革「Nissan NEXT」の策定と実行を牽引し、とりわけ不振が続いていたアメリカ市場の大規模な事業改革を進め、収益を確保できる状態にまで回復させている。

日産は2019年12月に、内田誠CEO(代表執行役社長兼最高経営責任者)、チーフパフォーマンス・オフィサー(COO)としてアシュワニ・グプタ氏、執行役副最高執行責任者でグローバル商品企画やパフォーマンスリカバリーを担当する関潤副COOを選任している。その直後に関氏は辞任したため、グプタ氏が代表執行役最高執行責任者(COO)となり、「Nissan NEXT」を推進した。

日産はこの時点で外部取締役が役員人事などを決定する「指名委員会等設置会社」という体制になっており、社外取締役が中心となる指名委員会とルノー側の承認によりこの役員人事が決定されている。

グプタ氏はグローバルの事業全体を統括し、構造改革を実行。収益を確保するなど実績を積み上げており、次期CEOといわれるまでになっていた。

そのグプタ氏が定時株主総会の前に6月16日に突然退任を発表することになったわけである。業界的には解任に等しいと考えられている。

■ 新体制
6月27日に決定した新役員体制では、代表執行役・最高経営責任者はこれまで通り内田誠CEOであり、次席は執行役・最高財務責任者がスティーブン・マーCFO、そして執行役・副社長として坂本秀行氏、星野朝子氏、中畔邦雄氏が留任している。

再任された内田CEOは、COO役をなくしたことで、今後は自らグローバルの事業オペレーションもすべて担当することになる。

そして日産は「指名委員会等設置会社」という体制のため、執行役員の人事や報酬などは社外取締役が決定する権限を持つが、その委員会のメンバーは以下のようになっている。そしてこれまで筆頭独立社外取締役(委員)を務めていた経産省出身の豊田正和氏は退任し、新たな筆頭独立社外取締役(委員)としてベルナール・デルマス氏が就任した。

また取締役会議長、副議長は木村康氏が取締役会議長、ジャンドミニク・スナール氏がを取締役会副議長となっている・

この社外取締役のなかでは、ジャンドミニク・スナール氏はルノー・グループの取締役会会長、ピエール ・フルーリォ氏はルノー社外取締役兼任、ベルナール・デルマス氏はミシュラン出身でルノー寄りと推測できる。

新経営体制の下で、ルノーが主導する新しいEV会社への日産の出資比率の決定、さらに日産としての電動化戦略のための生産や開発の加速など、中国市場の建て直しが緊急の課題となっている。

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