2013年7月15日、日産はインドのニューデリーで21世紀のダットサンブランドの第1号車となる「GO」を発表した。このニューモデルはインド市場向けに開発し、インドの工場で生産する新興国市場向けのコンパクトハッチバックだ。なお、この「GO」は2014年初頭に世界に先駆けインドで発売される予定だ。
ダットサン「GO」は、日産が2012年3月に発表したダットサンブランドの復活を実現させたもので、日産、インフィニティに続く日産自動車の第3のブランドとなり、同社の中期経営計画「日産パワー88」において新興国で販売台数を押し上げるという重要な役割を担うことになる。
ダットサン「GO」の発表会で日産のカルロス・ゴーンCEOは、「本日は日産自動車にとって、そして高度成長を続ける市場のお客様とパートナーの皆さんにとって歴史的な日です。ここインドのお客さまにとっては、クルマを購入するという夢の実現に一歩近づくエキサイティングな瞬間となりました」と述べた。つまり「GO」はインドにおけるマイカー元年を担うクルマとされる。
FF・5ドアハッチバックの「GO」は、1.2Lのエンジンに5速MTを組み合わせ、きびきびとした走りを特徴としているという。ボディサイズは全長3785mm、全幅1635mm、全高1485mmで、ホイールベースは2450mm。広々とした室内空間、ゆとりのあるヘッドルームを実現。5人乗りで、ファミリーカーとして最適化している。
ダットサン「GO」のデザインは、日本の日産のグローバルデザインセンターが担当したが、開発は現地で行われた。現地の市場要件、ニーズに適合し、価格と供給の面で入手しやすいものになることを目指したという。そして生産は、ルノー・日産アライアンスの中で最も新しい工場のひとつであるチェンナイ近郊のオラガダム工場で生産される予定。
「GO」は、音楽や写真を車内で楽むために、スマートフォン用のモバイルドッキングステーションという実用的な機能を装備する。「GO」は、インドで40万ルピー(66万円)を切る価格で、マイクラ(日本名マーチ)の79.9万円より大幅に低価格としている。低価格車ゾーンの中でこの「GO」は1ランク上の商品価値を提供するというのが開発コンセプトだ。
なお、この新しい車名「GO」は、約100年前に日本で誕生したダットサンの最初のクルマ「脱兎号(ダットゴウ)」に着想を得ているという。当時日本で自動車は、それまで自動車を所有することを夢にも思わなかった人々にモビリティを提供したが、今回復活したダットサンブランドと、ニューモデルのダットサン「GO」は、その当時と同じような位置付けになるという。
「GO」は、スタイリッシュでモダンな高品質のクルマであり、安心して所有できる価値、競争力あるトータルコスト、利用しやすいサービス、透明性のある価格での提供と、アクセスに便利な販売網を整備することがワンセットになっている。
ダットサンブランドの責任者であるヴァンサン・コベは、「インド、インドネシア、ロシア、南アフリカのような国で、お客様が初めてクルマの所有を検討するとき、まずその方はクルマを買うことを夢のように感じます。その夢を実現させるためには、アクセス(入手のしやすさ)が必要であり、ブランドとの一体感がなければいけません。また、このクルマの購入のために、彼らは自分の可処分所得の大半を費やすことから、ブランドと商品に対して全幅の信頼が置けることが重要となります。Dream(夢)、Access (アクセス)、Trust(信頼)は、ダットサンブランドが体現する重要なブランド価値です」と語っている。
なおダットサンモデルは、各市場向けに開発される予定で、「GO」は2014年後半にインドネシア、ロシア、南アフリカで発売され、それぞれの国でダットサンラインナップの第1号のモデルとなる。