日産自動車と兼松は2015年10月21日 、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が米国カリフォルニア州の北部都市圏で実施する「電気自動車(EV)の行動範囲拡大実証事業(以下は本実証事業)」の委託先に選定されたと発表した。
これは日産及び兼松が2014年12月から2015年6月までの間に実施した実証前事前調査結果をもとに、NEDO 事業化評価を経て正式に委託先として選定されたもので、NEDOと米国カリフォルニア州の経済促進知事室(GO-Biz)との間で合意された基本協定(MOU)にしたがって日産が実証研究代表者として全体を取りまとめ、兼松とともに実証事業を実施する。
米国カリフォルニア州は、州内で一定台数以上を販売する自動車メーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車等の販売を義務付けるZEV(Zero Emission Vehicle)規制や、EVに対して優先レーンの通行許可を与える優遇措置など、ZEVの普及に対する積極的な取り組みを行なっており、現在全米において自家用EVの販売台数が最も多い州として、主に通勤や買い物などの都市圏の移動に活用されている。
本実証事業は急速充電器を整備し、EVの行動範囲を都市間移動に拡大することを目的に実施するものだ。カリフォルニア州で本実証事業を行なうことでEVのさまざまな行動パターンデータを集積し、調査・ 分析・研究を通じて、EVの普及と利用拡大モデルの確立を図る。
さらに、カリフォルニア州政府および米国充電インフラ事業者の「NRG eVgo」と協力し、同州北部のサンフランシスコ広域都市圏、州都サクラメント、そして近隣観光地をつなぐ幹線道路沿いに急速充電器を効果的に新たに設置する。またEVユーザーを最適な急速充電器へ誘導する情報サービスシステム等を構築し、EVの行動範囲拡大への有効性を実証する。
本実証事業における日産の役割は、急速充電器の設置および運用 EVの行動変化分析となる。日産は世界40カ国以上でリーフを累計19万2600台販売(2015年9月末時点)しており、EVの販売台数で世界トップシェアを誇る。
また世界各国のEVの走行データを収集するため、グローバルデータセンター(GDC)を設置し、多くの地域でEVユーザーの利便性のさらなる向上のためにさまざまな走行・充電パターンを検証している。本実証事業ではGDCで集約されたデータを活用することで最適な急速充電器の設置場所を提案し、EVのさらなる普及拡大を目指していく。