2012年4月4日、日産はR35型GT-R クラブトラックエディションでニュルブルクリンク24時間レースに出場することを明らかにした。
GT-R開発責任者の水野和敏が自らチーム監督を務め、使用する車両は市販仕様のGT-Rクラブトラックエディションとし、レース参戦のための改造は最小限にし、今後のGT-R開発のための方向性や信頼耐久性を実証することを目的にしているという。このため、通常の日産のレース活動を担当するNISMOではなく、開発チームとして参戦するというのもユニークだ。
R35型GT-Rの開発は一貫してニュルブルックリンクで行われており、いわはGT-Rの故郷ともいえるサーキットだが、なぜか2007年のデビュー以来、ニュルへの出場はなかった。ただ、2011年ニュルブルクリンク24時間レースにプライベートチームでのチーム・トビアス・シュルツのチームからR35型GT-R(SP8Tクラス)が初出場している。この車両はほぼノーマル状態での出走だったが、ドライバーはトビアス・シュルツ、ニコラス・シュルツ、山本泰吉、山内一典で、59位で完走している。
今年の参戦は、エントリー名は日産センター・ヨーロッパというもので、車両開発チームが中心になり、ドライバーは、鈴木利男、ミハイル・クルム、田中哲也、星野一樹という開発にかかわったプロドライバーがステアリングを握る。さらに開発チームによるレース参戦とはいえ決してレースの素人集団ではなく、水野氏はかつて日産グループCカーレース時代のNISMOチーム監督であり、今回チーフメカニックを務める山洞博司氏はかつて日産・追浜のレース車両開発を担当していたレース経験が豊富なベテランだ。参戦カテゴリーがSP8Tクラスのため、トップ争いの一角に加わることは間違いない。
なお、チームのメカニックはGT-R開発担当メカニックと日産ハイパフォーマンスセンターから選抜されたディーラーメカニックが受け持つという。実はGT-Rの開発チームのメカニックはレースが本業ではないが、メカニックとしてのスキルのレベルは高い。
参戦車両のゼッケン23のGT-Rクラブトラックエディションは、もともとサーキット走行、レース参戦できる能力を持つ市販GT-Rで、この市販状態のエンジンやトランスミッションのままで参戦するが、レース用の改造点はロールケージの装備、ノーマルの9.5Jホイールを10Jホイールに拡大すること、120L容量の安全燃料タンクを装備すること、鍛造製ブレーキキャリパー、フロント・リップスポイラー、リヤウイングの採用といった程度だという。
また、ジュニアチームとしてゼッケン123のチームGTアカデミーGT-Rも出場する。こちらは日産のドライバー育成プログラムで選ばれたドライバーも起用するコンセプトのチームで、ルーカス・オルドネス、トビアス・シュルツ、山本泰吉、山内一典(グランツーリスモの制作者)という組み合わせだ。
日産としては得意なスタイルでのニュルブルクリンク24時間レース参戦だが、チーム・コンセプトはGAZOOレーシングのLF-Aとよく似ており、両チームの激突となるか? R35型GT-Rの実力はいかに?!