日産は2011年11月29日に、日産のモータースポーツ事業を担当しているニスモを、高性能市販モデルへのブランド拡大計画としていくことを発表した。
発表によれば、今後ニスモは日産の商品ラインアップの高性能バージョンを担当し、同時に従来からのチューニング部品やアクセサリーのラインアップを拡充するとしている。また、ニスモブランド拡大計画のもうひとつの柱として、ニスモはグローバル本社を現在の大森(東京・品川区南大井)から神奈川県の横浜市鶴見区に移し、専用設計された新社屋で2013年初めから稼働する予定としている。
ニスモ・ブランドの拡大計画は、ニスモの名称が日産の主力車種に対する高性能プレミアム・スポーツバージョンに冠せられ、日産の高性能モデルの代名詞になることを狙いとしている。つまり、従来はモータースポーツ車の開発、モータースポーツの運営と、パーツやアクセサリーの販売をメインとしてきたが、今後はメルセデスベンツにおけるAMG、BMWにおけるM部門、アウディにおけるクワトロ社のような位置付けとなり、日産車の中にニスモ・バージョンが加えられることになるわけだ。
その第1弾とされるのが、東京モーターショーに出展された「ジューク・ニスモコンセプト」と「リーフ・ニスモコンセプト」だ。
ジューク・ニスモコンセプトはニスモ独自のパールホワイトのボディカラーに赤いハイライトが入った塗色で仕上げられ、チューンされたサスペンション、一段と高出力化させた1.6L直噴ターボエンジン、スタイリッシュでありながら機能的で空力特性に優れたボディキットを装着している。
一方のリーフ・ニスモコンセプトはゼロエミッションの高速ロードカーをイメージしたモデルで、エクステリアをドレスアップすると同時に、ダウンフォースを増加し、高い次元の走りを実現するフル・ボディキットとしており、オリジナルのLEDヘッドランプを装備している。現在のところはコンセプトモデルとされているが、近い将来にニスモの名称を冠して販売されるはずだ。
移転した後のニスモは、新しい本社でレース活動から高性能車の車両開発までを統合することになる。鶴見の新しいセンターではレースカー整備ワークショップに加え、ユーザーの車両点検・整備を行うための広いメンテナンスエリア、歴代の名高いニスモレースカーと市販車が展示されるヘリテージエリアも擁し、現在のニスモの拠点名を継承したスペシャリスト・ストア「大森ファクトリー」も名称・事業とも継続し、ユーザーが性能向上部品やニスモ・コレクションアイテムを購入することができるようにする計画だ。
現在のニスモはかつての日産・宣伝3課で、大森ワークスと呼ばれたこともあり、追浜の特殊車両開発部に比べると、よりユーザーに近いモータースポーツ部門として歴史に名を刻んでいる。1984年に日産モータースポーツインターナショナル(NISMO)として新たに発足し、ニスモ・ブランドによるパーツやアクセサリー販売を行うとともに、レース車の開発やレースチームの運営、ユーザー向けの整備を行う「大森ファクトリー」の活動を行ってきた。今回の発表でニスモはさらに規模を拡大するとともに、高性能車のブランド名としてよりポジションを高める重要な役割を担うことになる。
日産モータースポーツインターナショナル(NISMO)公式Webサイト