【日産 東モ】コンセプトカーを中心にEVモデルを展開

日産自動車は2011年11月8日、第42回東京モーターショー(一般公開は12月3日?)の出展概要を発表した。ワールドプレミアはPIVO3とNV350キャラバンの2台で、今年3月のジュネーブでお披露目したEVスポーツカーのESFLOW(エスフロー)と、昨年9月のパリショーで話題を呼んだ新ジャンルのEV、Townpod(タウンポッド)の2台を日本では初めて公開する。

PIVO3の画像

PIVO3のハイライトがAVP。最小回転半径は2m

2005年の東京モーターショーでデビューした初代PIVO、同じく2007年に登場した2代目PIVO2に続く、今回で3代目となるPIVO3(ピボスリー)は、近未来のスマートなEVコミューターをより具体的に提案している。とくにクラウドコンピューティング社会、スマートグリッドとのつながりを意識しつつ、市販車リーフの領域にかなり接近させる試みに挑戦している。

PIVO3の画像最大の特徴はAVP(オートマチック・バレー・パーキング)機能を持たせたこと。バレー・パーキングとは一部の高級ホテルで受けられるサービスで、クルマでエントランスに乗りつけたら、後はベルボーイにおまかせというシステムのこと。これをPIVO3でAVPのエリアに行くと、自動的に駐車スペースへ移動してくれたり、スマートフォンで呼べば乗車場所まで戻ってきてくれるようにしようというのだ。

つまりPIVO3では、駐車場で空きスペースを探したり、止めた場所を覚えておくという煩わしさから解放されることを目指している。まさに「駐車」という概念の革命でもある。またAVPの駐車スペース(スマートビル)には非接触給電装置が用意されており、駐車している間にも必要に応じて充電が行われる仕組みになっている。

PIVO3の画像PIVO3の画像

圧倒的な小回り性能もPIVO3の特徴だ。全長3m未満とコンパクトなボディだが、定員は1+2の3名を確保。フロントに比べてリヤのトレッドを狭めた工夫に加えて、大きな舵角を可能にするインホイールモーターを4輪に採用。これで内輪差も外輪差もゼロになり、前輪が通過すればボディがどこかに接触することなく、車体全体が通過できることになる。最小回転半径はなんと2m。世界的に公道と認定される最低の道幅が4mなので、PIVO3なら狭い道に入り込んで迷った時でも、楽々とUターンして戻って来ることができる。

■PIVO3(ピボスリー)主要諸元 ●ディメンション:全長2800×全幅1650×全高1520mm ホイールベース1900mm ●駆動方式:4輪インホイールモーター


エスフローの画像

EVスポーツカーとして一切の妥協を許さず

デザイナー曰く「Zero but Hot(ゼロエミッションだけど志は熱い)」とのことで、EVのスポーツカーとして企画・設計されたのが、このESFLOW(エスフロー)だ。心臓部は基本的にリーフ×2。つまりモーターを2つミッドシップに搭載し、さらにバッテリーもリーフの約1.5倍の容量を持つ。EVならではの高トルクを生かして100km/hまで5秒以内に到達し、1充電あたり240km以上(US LA4モード)の航続距離を確保している。

エスフローの画像

アルミ合金のシャシー、リチウムイオン電池の配置の最適化、そして軽くて強い最先端素材のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)をボディに採用。軽量化と重量のバランスには、スポーツカーとして妥協を許さない姿勢が貫かれている。車両の重心位置はドライバーの腰の付近に設定。シートを車体後部のバルクヘッドに組み込んだことで、重いスチールのシートフレームを不要にする工夫もされている。

エスフローの画像

ロングノーズ&ショートデッキで、日産のスポーツカーのアイデンティティを感じさせるエクステリアでは、ブルーのLEDを採用したヘッドランプが個性を主張する。これは同時に、エアダクトに埋め込まれた充電ポイントを巧みに隠すような効果も発揮している。サイドミラーの代わりにリヤビューカメラをAピラーの根元に装備したのもエスフローの特徴だ。

■ESFLOW(エスフロー)主要諸元 ●ディメンション:全長3780×全幅1780×全高1245mm ホイールベース2470mm ●駆動方式:MR(左右独立駆動制御)

タウンポッドの画像ダブル観音開きドアのレトロモダンEV

ターゲットユーザーは「都市部に暮らす新しいタイプの起業家」、職業も具体的にはインテリアコーディネーターなど…というのがTownpod(タウンポッド)の開発スタッフのコメントだ。昨年9月のパリショーで話題を呼んだEVのコンセプトカーで、乗用車の快適性と商用車の実用性を融合することを目指している。プラットフォームはリーフと共有している。

タウンポッドの画像

デザイン上の特徴としては、独立させたヘッドランプとボリューム感にあふれるフロントまわりが個性を強力に主張。ほぼ90度に開くサイドの観音開きドアもギミックではなく、Bピラーがないことで開口面積を広く取れたことで、観音開きとは思えないほど乗り降りはしやすくなっている。さらにリアの観音開きドアはヒンジに秘密があり、なんと左右に大きくスライドが可能で、かなり狭いところでも開閉できる。

乗用車と商用車という二面性はインテリアでも追求されている。スタイリッシュなキャビンと実用的なカーゴスペースという対比は、前部のソフトなスエード調の表皮と、後部の非常に軽く耐摩耗性に優れたブルーの表皮によっても強調されている。イエローはモビリティとしての楽しさを、ブルーはプロフェッショナルで実用的な性能を表現している。

タウンポッドの画像

ちなみにウルトラスリムなリアシートは、前方にスライドさせるとフロントシートと重なるように一体化して、さらに広いスペースを生み出す。タウンポッドのインテリアで最後に紹介したいのが、シンプルな多目的アタッチメントの“パック”。スカッシュボールサイズのゴム製の球体が、さまざまな場所での収納に威力を発揮する。

■Townpod(タウンポッド)主要諸元 ●ディメンション:全長4230×全幅1780×全高1640mm ホイールベース2700mm ●駆動方式:FF

2012年夏に市販予定の次期キャラバン

日産のもう1台のワールドプレミアは、もう完全に市販車レベルにまで完成度を高めたNV350キャラバン。エンジンはガソリンとディーゼルの両方が用意されることしか判明していないが、2012年夏には市販予定だという。当然ながら、随所にNV200との共通性を感じさせるデザインとなっている。

NV350キャラバンの画像

スリーサイズ的には基本的に5ナンバー枠を守るという制約があるが、ホイールベースは現行キャラバンから140mm延長。幅もわずか5mmだが拡大された。そして荷室の長さが2.8mから大幅に広がって3m超となったのがハイライト。また商用車では初となるワンプッシュエンジンスターターや、インテリジェントキーも採用されている。

■NV350キャラバン主要諸元 ●ディメンション:全長4695×全幅1695×全高1990mm ホイールベース2555mm ●エンジン:ガソリン/ディーゼル

日産自動車公式Webサイト

COTY
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