日産は7月16日に、ヨーロッパ向けマイクラ(マーチ)用の新エンジンの発表を行った。この新エンジンは2011年前半にヨーロッパ向けマイクラに搭載予定で、CO2排出量95g/km(欧州計測モード。燃費換算では24.3km/L) のガソリン車世界最高レベルの燃費を狙っている。
新エンジンHR12DDR型は、マーチに搭載されている1.2L・3気筒のHR12DE型をベースに、ミラーサイクル化、ガソリン直噴システム(DIG) 、高効率スーパーチャージャーとアイドリングストップシステムを組み合わせることで、1.5Lなみの動力性能とガソリンエンジントップの燃費を実現する。
このHR12DDR型エンジンは可変バルブタイミング機構を備え、吸気バルブを閉じるタイミングを遅らせることで、実圧縮工程より膨張行程を大きくするミラーサイクルを採用し、、かつインテークマニホールド内が負圧になることで抵抗となるポンピングロスも低減する。
圧縮化は13.2に高められているが、気筒内に直接噴射される燃料の気化潜熱により燃焼室を冷却される。さらにピストン・クーリングチャンネルやナトリウム封入バルブの採用で燃焼室の耐熱温度を上げているという。これらの技術により燃焼効率を大幅に向上させているのだ。
吸気はベルト駆動のスーパーチャージャーで圧縮されるが、ON-OFFクラッチを備え、負荷によって過給を制御している。
また、摩擦抵抗を減らすためにピストンリングへの水素フリーDLC コーティング、可変容量式オイルポンプなども採用し、同等性能の4気筒エンジンに対してフリクション(摩擦抵抗) を約30%低減しているという。
まさにこれは日産版のダウンサイジング・コンセプト・エンジンである。VWのダウンサイジング・コンセプト・エンジンであるTSIと比較して、より大幅にミラーサイクルを取り入れている点、一段と高圧縮比になっているが注目される。
文:松本晴比古
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