2012年10月25日、三菱はアウトランダーを6年ぶりにフルモデルチェンジし、同日から発売したと発表した。新型アウトランダーはこれからのミッドサイズSUVに求められる安全性、燃費、上質感を追求し、高いレベルでまとめ上げたプレミアムツーリングSUVとしている。
3列・7人乗りシートを備えるアウトランダーは、三菱にとってグローバル展開する基幹車種の1台であり、すでに7月からロシアで発売され、9月からはヨーロッパでの発売が開始されている。
今回の日本での発売に続き、オセアニア、アメリカへの輸出も開始される。なおロシアではカルーガ工場で11月から完全ノックダウン生産が開始される予定。日本仕様は三菱・岡崎工場で生産される。またすでに2013年1月からプラグインハイブリッドの「アウトランダーPHEV」が発売を開始する計画になっている。
新型アウトランダーは、「Leading the New Stage(=SUV を新たな次元へと導く)」を開発テーマに掲げ、先進的な安全装備、高性能4WD制御システムの採用や、新型MIVECエンジンによる低燃費化、軽量化などを実現するとともに、外観、内装、走りなどクルマ全体の質感の向上を目指している。このため、2006年に発売された初代モデルがスポーティなクロスオーバーSUV指向であったのに対し、新型アウトランダーは都市型MPV的なテイストを強めたプレミアム・ツーリングSUVとしている。
グレード展開は、2.4Lガソリンエンジン搭載の4WDモデル「24G」「24G Safety Package」、「24G Navi Package」と、2.0Lガソリンエンジン搭載の2WDモデル「20G」の4グレードという構成。燃費は先代モデルから約22%(4WD/2.4L仕様)と大幅に向上し、全車が平成27年度燃費基準を達成、エコカー減税(50%)に対応している。
新型アウトランダーの大きなトピックは、三菱が開発した先進安全システム「e-Assist」の初採用車となったことだ。
このシステムはロングレンジとショートレンジ用にレーダービームを切り替えて使用する77GHzのミリ波レーダーとカメラを装備し、全車速追従型のレーダークルーズコントロール(ACC)、衝突被害軽減ブレーキシステム(FGM)、カメラを使用した車線逸脱警報システム(LDW)を包括したもので、24G Safety Packageモデルに標準装備され、価格は標準モデルに+9.5万円としている。
また新型アウトランダーは、計7個のエアバッグ、車両の横滑りを抑えるアクティブスタビリティコントロール(ASC)を全車標準装備する。
4WDモデルは、路面状況に応じて3つの走行モードが選択できる、電子制御4WDを進化させ、新たに「4WD ECO」モードを設定。FFでの走行モードを拡大することで安定性と低燃費を両立。また、左右輪のトルクベクタリングの追加により、ハンドリングや走行安定性を更に向上させる車両運動統合制御「S-AWC(Super All WheelControl)」を、新たにメーカーオプションとしている。
エンジンは、SOHCで吸気バルブの連続可変リフトを行う新MIVEC機構を搭載した2.4Lの4J12型MIVECと、2.0Lの4J11型MIVECを搭載。このエンジンはワールド・エンジンのシリンダーをベースに、新たな吸気バルブ連続可変リフト+開弁期間、開閉タイミングを連続可変する機構を備えたSOHC動弁システムのシリンダーヘッドを採用し、大幅な燃費向上を果たしている。
さらにアイドリングストップ機能「オートストップ&ゴー(AS&G)」、でエコ運転ができる「ECOモードスイッチ」を採用。ECOモードスイッチはセンターパネルのスイッチをONにすることで、エンジン、エアコン、4WDの省エネ制御を行う。
出力は2.4Lが169ps/220Nm、2.0Lは150ps/190Nm。トランスミッションは変速比幅が6.0のINVECS・CVTで、6速スポーツモードを備えている。燃費はJC08モードで、2.4Lが14.4km/L、2.0Lが15.2km/Lで、7人乗りの同クラスでトップの燃費を実現している。
エクステリア・デザインは、クラスを超えた車格感を表現し、すっきりとした上質なスタイリングを追求したという。インテリアは、部品の分割線のない一体感のインストルメントパネルで、ソフトタッチ表皮を採用。トリム材やシート表皮も上質感にこだわり、上質で快適な居住空間としている。エアコンは左右独立温度コントロール式を全車標準装備とし、「24G Navi Package」はエレクトリック・テールゲートを装備している。
シートは3列シートで、セカンドシートは60:40分割可倒式、サードシートは50:50分割可倒式のシートバックを備える。なおセカンドシートはフォールダウン式の折り畳みで、サードシートも倒せばフラットなラゲッジスペースを生み出すことができる。
サスペンションは、先代モデルのストラット式を継承しながら、乗り心地の向上、振動・騒音の低減を目指したという。リヤはマルチリンク式で、、アーム類を新設計して軽量化し、ばね下重量を低減することで、操縦安定性・乗り心地の向上を図っている。
ホイールは0.6kg軽量化された18 インチアルミホイール、タイヤは225/55R18サイズを全車に標準装備。
ボディは、軽量化をテーマに高張力鋼板の採用を拡大。ホワイトボディのみで従来モデルより30kg程度の軽量化を行い、この他にシートやサスペンションなど様々な軽量化の積み重ねにより、先代モデルと比べ100kg〜110kgという大幅な軽量化を達成している。また空力特性も洗練され、Cd=0.33としている。