三菱「ミニキャブ・ミーブ」一般販売再開 軽商用EVの需要高まる

三菱自動車は2022年10月13日、ワンボックスタイプの商用軽自動車のEV「ミニキャブ・ミーブ」の一般販売を11月24日から再開すると発表した。

商用バン・タイプのEV「ミニキャブ・ミーブ」は、初の量産・軽乗用車EV「アイ・ミーブ」に続いて2011年12月に三菱が送り出したEVモデルだ。またミニキャブのガソリン・モデルの生産が終了した2014年1月からは、三菱が生産する唯一の商用車となった。ただし、2021年3月31日に生産を休止することを発表し、一般向けの販売を停止した。

しかし、その一方でヤマト運輸、日本郵便などとは実証実験を経て実用稼動し続けており、一部法人向けとしての生産、販売は継続されていた。

現在はカーボンニュートラル社会の実現に向けて社会、産業界で脱炭素化の取り組みが加速し、サステナブルな事業活動を展開する物流関係や自治体などで軽商用EVの需要が高まり、販売要望が増加したことから一般販売の再開が決定された。つまり、「ミニキャブ・ミーブ」は登場が早すぎたともいえるが、社会のトレンド、市場環境が急激に変化したことで再登場となったわけである。

さらに、ホンダは軽自動車カテゴリーでは商用車EVから市場参入するとしており、パイオニアの三菱はいち早く反応したともいうことができる。

「ミニキャブ・ミーブ」はワンボックスタイプの軽商用バンEVで、総電力量16kWhの駆動用バッテリーと小型・軽量・高効率なモーターなど「アイ・ミーブ」で実績のあるEVシステムを採用。一充電あたりの航続距離は133km(WLTCモード)となっている。EVのため発進からモーターの最大トルクを発生し、荷物を積んで重たくなった状態でも、ストレスなく走行することが可能。また、静粛性が高いため、早朝や深夜の配送でも周囲に気兼ねなく走行することができる点もアピールポイントだ。

乗用車に比べ航続距離は短いが、配送、宅配などに使用される軽商用バンの77%のドライバーが1日あたりに走行する距離は65km未満で、移動範囲、配送ルートが限定されているる配送業などで十分な実用実績を持っているのだ。また、軽自動車EV「eKクロスEV」は20kWhの駆動用バッテリーを搭載しているが、商用バンの「ミニキャブ・ミーブ」とはプラットフォームが異なるため、互換性がないという背景もある。

「ミニキャブ・ミーブ」は、駆動用バッテリーの電力を有効に使うため、回生ブレーキ機能によって減速時にはモーターが発電機として働き、回収した電気を駆動用バッテリーに回収できるようになっている。ドライブモードは、電力消費を抑える「ECO」、通常の「D」、回生ブレーキの効きを強めた「B」と3つのモードがある。

充電は、AC200V(15A)での普通充電では約7時間で満充電となり、業務終了後に充電すれば翌日の業務開始時には満充電状態となる。

パーッケージングは、駆動用バッテリーをフロア中央に配置するなど荷室容量を犠牲にすることなくEVコンポーネントを搭載しており、大きな段ボール(600×450×600mm)を14個積むことができる大容量の荷室を確保。また、荷物を固定するためのフックや荷室を仕切るレールなどを設置しやすいよう、10ヶ所にユーティリティーナットを新たに標準装備し、用途に合わせて棚や収納ボックスを取り付けることができるなど、商用車としての使い勝手を向上させている。

なお、今回の販売再開に合わせ、荷室にユーティリティナットの新設、ルームミラー/ドアミラー変更、オートライトコントロールの追加、ASC(横滑り防止システム)の追加が行われ、商品性を高めている。

販売されるグレードは「CD」の1グレードで、2座席タイプと4座席タイプの2種類が設定されている。また、当然ながらEV補助金の対象車種となっている。

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