「eKワゴン」は2013年6月に発売されたが、1年を経てマイナーチェンジが行なわれた。eKワゴンより後に発売されたスーパーハイトワゴン「eKスペース」のニッケル水素電池のアシストバッテリーによる減速エネルギー回生システムをeKワゴンのFFモデルにも採用した。このシステムにより、クラストップとなる30km/Lを達成した。
それ以外に、マルチアラウンドモニター(バードアイビュー機能付)を「eKカスタム」にメーカーオプション(Mを除く)設定。さらにボディカラーは、「レッドメタリック」を全車に、「ショコラブラウンパール(有料色)」をeKカスタムに新設定した。内装もブラック&アイボリー内装のeKワゴンに、ブラック内装をメーカーオプション設定(Eを除く)している。
実は、アシストバッテリーによる減速エネルギー回生の新搭載以外に、NAエンジンの改良も行なわれている。従来モデルのNAエンジン搭載車は、3000rpm付近での再加速といった状態で息付きするようなフィーリングがあった。また、夏季に中速域での加速に重さが感じられることも少なくなかった。
このため、CVT制御の改良、吸気マニホールドの改良、さらに吸気ダクトの改良が行なわれている。これまでのエンジンルーム内吸気から外気吸気式に変更され、吸気温度の低減が行なわれているのだ。ただし、最高出力、最大トルクの数値に変更はない。
テスト・ドライブでは3000rpm付近からの加速でためらいがなくなり、60~70km/hあたりまできれいにエンジンが吹け上がり、実用域での走りのストレスはまったく感じられなくなっている。
もっとも、他の軽自動車のNAエンジンも同様だが、アクセルはかなり早開き特性になっているので、市街地での低中速からの加速と、例えば高速道路への合流などの中高速域での加速感はまったく異なり、中速域からアクセルを全開にしてもエンジンは回れど、加速フィーリングは相当に弱い。
言ってみれば、市街地での常用域に絞った加速チューニングが行なわれているわけだ。アクセルを離すとメーターパネル上部に電池の形をした白色のインジケーターが点灯し、減速エネルギーが、助手席下に配置されたニッケル水素バッテリーに充電されていることを示す。この回生電力は電装品などに使用され、それだけオルタネーターの負担を減らすわけだ。また、微低速からアイドル時までエンジンストップする機能も装備されている。
サスペンションのセッティングなどは特に変更はなく、乗り心地、ロードホールディングなどはバランスよくまとめられている。ただ、ステアリングは30km/h以下といった低速域ではきわめて軽くなっている。これはメインとなる女性ユーザーが駐車時などに軽く扱えるという配慮なのだ。
eKワゴンの次の課題は、衝突回避・被害軽減ブレーキの装備化だろうが、もちろんそれはメーカー側も承知しているはずだ。