三菱自動車、東大・生産技術研究所、ユアスタンド、日東工業の4者は2025年2月27日、EVとEV用普通充電の利便性を向上させるために、充電専用カードやアプリを使わなくても充電できる「Plug & Charge(PnC)」のコネクテッドデータを活用する共同実証実験を実施したと発表した。
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EVの普及には、航続距離や充電時間の改善、充電インフラの充実に加え、充電器の利用のしやすさなどが必要とされているが、普通充電ではEVと充電器の間に相互の個体識別機能が備わっていないため、充電するEVの特定や認証には充電専用のカードや専用のアプリが必要であった。
これらの手間を解消するため、充電プラグを挿し込むだけでEVとどの充電器が接続されたか特定された後、認証が行なわれ、自動的に充電が開始される仕組みがあるPnCの実現を目指し実証実験を行なった。
東京大学・特任准教授馬場博幸氏が考案した、このPnC技術は、その実現性を確認した。
今回の実証実験では、日東工業のMode3普通充電器「Pit-2G」から送信される充電電流と、三菱自動車の軽商用EV「ミニキャブEV」からコネクテッド技術を用いて送信される、充電電流をユアスタンドが構築したシステムで連携し、東京大学の開発したシステムで2つのデータを照合する仕組みを各者共同で構築した。
この仕組みでは、EVに充電プラグが挿し込まれた時に、充電器とEVから送信された電流データ(電流波形)を照合して、データが一致した場合に自動で充電が始まるようになっている。
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今回の実証実験では、早く正確に、変調電流に応答することが求められるため、三菱自動車はミニキャブEVの充電電流の応答性を確認した。結果として、ミニキャブEVで変調できうる最大値まで電流を変調したところ、高い応答性が得られ、変調指示との差が小さいことが分かったため、今回の技術に対応できることを確認した。
また、この技術の実現性を確認するため、離れた場所にある2つの充電器それぞれにEVを接続し、それぞれに異なる変調電流パターンを与えて電流波形を照合したところ、どの充電器にどのEVが接続されているか特定できたため、認証に利用できることが確認された。
今後、各実証事業者は、この技術を用いた新サービスの実用化に向けた検討を進めることになる。この技術により、充電コネクタを挿すだけで充電器とEVの組み合わせを特定できるようになるため、様々なサービスへの適用が考えられる。
例えば、オーナーに向けて電力市場価格を考慮した最適な充電を行なうスマート充電サービスの提供や、勤務先の駐車場やマンションなどで、充電したEVと充電器を特定し、充電量に応じた電気代を個々のEVオーナーに請求するサービスなど、新たな充電サービスへの展開を検討していくことになる。