三菱自動車は2023年3月10日、2023年〜2025年にかけての新中期経営計画「Challenge 2025」を発表し、経営の安定的な成長を前提に今後5年間で9車種の電動車を含む16車種の新型車を展開することを明らかにした。
2035年に向けてのカーボンニュートラルの実現を目標に、三菱は2023年〜2025年が大きな転換点と位置づけ、これに対応してくために経営基盤の強化を目指す。そしてこの中期経営計画「Challenge 2025」の主要な3つの挑戦として「絶対的安定収益基盤の確立・強化」、「カーボンニュートラル対応促進」、「デジタル化推進・新ビジネス領域への進出」を柱とすることにしている。
中期経営計画での経営上の重要業績評価指標は、販売面では1台あたりの売上高を2022年度(見込み)の230万円から250万円へ、販売台数はアセアン向けに新商品を導入することで、3年間で20万台ほど増加させ110万台体制を目指すとし、収益では2025年度の営業利益目標を2200億円、利益率7%を目標に掲げている。
研究開発費と設備投資に関しては、従来よりも高い水準の研究開発費と設備投資を行なうとし、特に研究開発費は、新中期経営計画と次期中期経営計画(2023年〜2028年)の6年間は、過去の6年間よりも約30%増しとする。当然ながら2026年度以降は電動化関連の支出割合が7割近くに達する見込みだ。設備投資も今後の6年間は約3割ほど増額させる予定で、その7割程度を電動化やIT関連、新事業に充当する。
「Challenge 2025」の柱となっている安定収益基盤確立に向けては、地域戦略では世界市場を3つに分類し、各地域の役割を明確化した上で収益基盤の確立強化を図るとしている。地域別では、三菱のビジネスの中核を担うアセアン・オセアニアを「成長ドライバー」、アセアン向け商品を横展開する中南米・中東・アフリカを「レバレッジ地域」、電動化に代表される環境技術、ADASなどの安全技術、そして車両データ活用などを必要とする先進国(日本・北米・欧州・中国)を「先進技術推進地域」とし、特にアセアン・オセアニアは42%アップ、中南米・中東・アフリカは40%アップを見込んでいる見込んでいる。
特に最重要地域のアセアン地域は、今後多くの新型モデルを投入し、さらにユーザーとの体験機会を強化してブランド価値向上も図る。オセアニアも、新商品を通じてブランド価値向上を図り、特にアウトランダーPHEVモデルを主力車種として販売を加速させるとしている。
日本市場は、次の3年間も徹底的に強化を図り、現在ラインアップしているSUVモデルのPHEV2車種、軽自動車のEV2車種に、東京オートサロンで発表した軽SUV「デリカミニ」を皮切りに、商品ラインアップをさらに充実させる計画だ。
カーボンニュートラル対応の促進では、電動化加速フェーズに向けた電動車開発と、アライアンスとの連携力強化に取り組み、デジタル化推進と新事業への取り組みについては、社内ITインフラの刷新、デジタル人材育成など社内基盤整備を推進し、エネルギーマネジメントや廃バッテリーの利活用、車両データ外販などの新ビジネス基盤を整備するとしている。
■ 今後5年間で電動車9車種を投入
中期的な成長を支える商品戦略は、今後5年間で電動車9車種を含む合計16車種の新型車を導入する。既存車種では、アセアン地域に投入しているフレーム・モデルをリニューアルし、アジアや他地域でも好調の「エクスパンダー」の新型と電動モデルを投入する。また、先日ベトナムで発表した2列シートSUV、新型3列シートSUVなどの投入も計画されている。
先進国地域向けには、アライアンスパートナーであるルノー、日産のOEMモデルを拡大し、充実した電動車の展開を加速させる。
グローバルで見ると、電動化モデルでは「ASX」、「コルト」の他に、EVモデルのアライアンス向けを含めて4車種、ハイブリッド・モデルを3車種、合計9車種を展開。内燃エンジン・モデルは、「XFC コンセプト」や、新型軽自動車「デリカミニ」とそれに続く軽乗用車モデルなど、計7車種の投入が計画されている。