【三菱】アウトランダーPHEVなどリチウムイオンバッテリーの溶損問題の原因はほぼ解明

記者会見する中尾氏(左)と大道氏

2014年4月14日、GSユアサと三菱自動車は共同してバッテリー不具合の原因を調査してきたが、その原因がほぼ特定できたとして、説明会が開催された。

バッテリー不具合に関し、2013年3月27日、三菱自動車は「アウトランダーPHEV」に採用しているリチウムイオン電池のセルが過熱し、一部が溶損するという事故があったことを公表。また電池パックを組み立てている水島製作所でもEV用バッテリーパックの通電検査中にバッテリーパックが発火事故があったことも公表している。

水島製作所の発火事故を除くほかの事故は、いずれもバッテリーパック内の電池セルの一部が過熱、溶損し、電池出力が低下するという故障であった。これらの不具合の発見を受け、三菱自動車はアウトランダーPHEVオーナーに対し、外部充電、チャージモードの利用を控えるよう注意喚起していた。またリチウムイオン電池については出荷を停止する措置をしていた。そのためアウトランダーPHEV、i-MiEV、ミニキャブMiEVの生産、出荷、登録を停止していた。

発見された不具合としては、バッテリーの溶損が1件、内部ショートしているものが2件、そして水島製作所での通電検査中の発火が1件であった。

バッテリーの製造元であるリチウムエナジージャパン(GSユアサ、三菱商事、三菱自動車が共同出資したEVバッテリー製造会社)とGSユアサ、そして三菱自動車は共同して不具合の原因を調査し、その原因をほぼ特定した。

記者会見には三菱自動車常務取締役・商品戦略事業化統括部門長兼開発統括部部門長の中尾龍吾氏、常務執行役員・CSR推進本部長の大道正夫氏が出席した。

不具合の原因は、2012年12月から本格的な量産体制を行なうために導入したスクリーニング検査(適格)行程において、その電池製造ライン作業中に過大な衝撃が電池セルに加わった結果、ショート、金属(銅)コンタミネーション(混入)が発生したという結論に至ったという。

原因を説明する中尾開発統括部部門長

 

そのスクリーニング検査は、電池セルを作業者が手で検査機にセットし、加振した上で電池セルの性能を確認するものだが、本来は2.5G程度の加速度で加振させるはずが、設定間違いで10Gほどの振動になっていた。また検査機にセットする段階で作業者が誤って電池セルを床面に約1mの高さから落下させた可能性も浮かび上がった。本来は落下させてしまった電池セルは不適格品として除外されることになっているにもかかわらず、何らかの原因でそのまま製品とされていた可能性が高いことが判明したという。

落下や強い加振により電池セルの正極集伝体部分が変形し、負極側と接触しショート。あるいは金属粉コンタミネーション(汚染)が生じたという推論に達した。この推測を実証するために電池セル300個を用いて床面に落下させる再現テストを行うことで、正極集伝体の変形、ショート発生が確認されてたという。

今後も電池セル製造工程の最終確認を行い、同時に対策としてコンタミネーション対策を徹底するため集塵装置を改良すること、スクリーニング検査を止め、その代わりに製品エージング期間を従来の2倍とすることで電池の安全性を確認し、スクリーニング検査と同等の検査とする計画だ。また不具合の最終確認と対策の効果を確認した上で、国交省にリコールの届出を行なうとしている。

なおリコール対象は、アウトランダーPHEVが約4000台、i-MiEVとミニキャブMiEVで合計100台程度で電池パックを交換する計画だ。

三菱自動車公式サイト

COTY
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