【三菱】アウトランダー試乗記 最新の安全システムを備えた上級指向のグローバルSUV

マニアック評価vol147

三菱アウトランダーの2代目となる新型がデビューした。2005年に登場した初代アウトランダーは新生・三菱の象徴的な存在で、三菱のトップレンジに位置するグローバルカーとされ、累計66万台の販売を記録している。今回登場した2代目アウトランダーも三菱の柱となるグローバルカーとされ、まずロシアで7月から発売し、9月にはヨーロッパで、そして日本、北米、オセアニアのマーケットで順次発売する計画だ。生産も日本、タイ、ロシアで行われるなど名実ともにグローバルモデルなのである。

初代の三菱アウトランダーは、5人/7人乗りのクロスオーバーSUVで、基本性能の高さと気持ちよいスポーティな走りを強調していたが、今回登場した新型は初代とはかなりコンセプトを変えている。というのは、アウトランダーの下に位置するRVRがコンパクト&スポーティ路線のSUVという位置付けであり、アウトランダーはその延長線上のクルマではなく、三菱のトップレンジにふさわしいプレミアム・ツーリングSUVであると新たに定義されたからだ。

そのため洗練されたデザインや質感の高さを訴求することになったのだ。従ってデザインも、従来モデルとは大幅に路線を変更し、クラスを超えた車格感、すっきりとした上質なスタイリングといったテーマを追求したという。

アウトランダーが属するミッドサイズのSUVカテゴリーは存在感を強調する個性の強いデザインが主流となっている中で、新型アウトランダーはちょっとおとなしい異色のデザイン・テイストといえる。フロントの水平方向の一文字グリルはパジェロの直線的グリルをモチーフにしているというが、ボディサイドの面の抑揚も少なく、独自の存在感としてはちょっと弱い気がする。

質感の向上というテーマはインテリアでも貫かれている。アウトランダーの価格帯は250〜300万円クラスのため、ある意味では当然ともいえるが、ヨーロッパなどではこのクラスの質感の向上は急テンポであり、より質感を高めることは大きな課題なのだ。

新型アウトランダーのインテリアは、継ぎ目のない一体感を強調し、触感はソフトタッチで統一している。ピアノブラックやカーボン調のトリムパネルもブラック基調のインテリアカラーとうまくマッチしていると思う。

セカンドシート
サードシート

 

フロントシートはルーズな形状だが座り心地は悪くないが、もう少し背中のフィット感が欲しい。フォールドダウンできるセカンドシートのクッションは薄めだが、足周りのスペースは十分ある。サードシートはもちろんそれよりクッションは薄いが、こちらはいざという時のためのシートで、通常は折り畳んでラゲッジスペースとして活用することになるので特に問題はないはずだ。ボディの全幅は1800mmあるので、室内の左右方向の広さも実感できる。

新型アウトランダーのラインアップを大別すると2.0LのFFモデルと2.4Lの4WDモデルとなるが、メインは2.4L・4WDだ。

エンジンはともに新MIVEC版で、吸気バルブが連続可変リフト機構を持ち、スロットルレスでポンピング抵抗を抑えた先進的エンジンといえる。トランスミッションはCVT。2.4Lのエンジンスペックは最大トルク220Nm/4200rpmと結構高回転型に見えるが、実際のフィーリングは低速トルクがあり、4500rpmくらいまでが実用上の上限の中速型エンジンだ。CVTとのマッチングもよく、常用域ではリニアな加速感が得られた。

しかし、ヨーロッパ市場ではディーゼルターボが搭載されていることを知ると、我々もその強力な低速トルクを味わってみたいと思わったのが正直な気持ちだ。

電動パワーステアリングはかなり軽めのセッティングだ。しかし4WDとの組み合わせで直進安定感が十分感じられ、長距離ツーリングといったシーンでも安心感がある。
なお4WDモデルではトルクベクタリング機能を含む「S-AWC」が8万4000円のオプションとなっているのだが、これは購入段階ではけっこう悩むところだろう。一方、レーダークルーズ、衝突被害軽減ブレーキ、レーン逸脱警報などがセットになった「e-Assist」はセーフティパッケージ、ナビパッケージ車には装備される。これはベースモデルにプラス9万5000円とお買い得価格になっているので、多くの人が選ぶと思われる。

ハンドリングは、大柄なボディサイズにもかかわらず軽快感が感じられる。外観からはどっしりというイメージなのだが、実際にはステアリングに対応した軽い動きだ。これは従来型より100kgも軽量化されてることも効いているのだろう。ただSUVとしてはもう少ししっとりしていれば言うことがないのだが。またブレーキに関しては、効き自体は問題ないが、強めに踏んだ時にペダルのフィーリングがニュッとして奥まで入るフィーリングが気になった。

左側面下方の視野を確保するカメラ

アウトランダーの乗り心地はかなり洗練されていると言える。路面の継ぎ目のいなし方やコーナリングでのコントロールされた適度なロール感、フラットな乗り心地はクルマの性格によくマッチしていると思う。

新型アウトランダーは、使い勝手のよさ、走りや乗り心地、ドライバー支援システムの「e-Assist」の設定など、都会派SUVとしてまとまり、バランスの良さが持ち味と言える。

三菱自動車公式サイト

COTY
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