2012年5月18日三菱自動車はi-MiEVのパワーユニットを使ったプロトタイプEV「i-MiEV Evolution」で7月3日から7月8日かけて、アメリカ・コロラド州で開催されるモータースポーツイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に出場すると発表した。
レースにはi-MiEVのパワーユニットを利用したプロトタイプとしてエボリューションモデルを製作。専用のパイプフレームのシャシーにカーボン製のカウルを被せたもので、一名乗車、4輪駆動の100%EVで挑戦する。そのパワーユニットはモーターをフロントに1基、リヤに2基搭載し、最高出力は240Kw(80Kw×3)というスペックだ。リヤに2基搭載されるモーターは、左右で別々の制御を行うことはなく直結されている。
また、主要部品では市販されているi-MiEVと同じモーターとバッテリーなどを使用し、専用ボディに搭載しての参戦となる。ドライブするのは、現在、三菱自動車でテストドライバーを務めているベテラン増岡浩さんで、本格的な国際レースへの参戦は3年ぶりになるという。
また、ノースアメリカ三菱からは市販車のi-MiEVでの挑戦も同時に行う。こちらは、限定的に販売されていたi-MiEVが2012年6月から全米で販売されることになり、そのプロモーションも兼ねていると思われる。標高が高い同イベントでは、空気が薄くなるため、従来の内燃機関ではスタート地点からゴールまでの間に、約40%ものパワーダウンが起こっているという。
その点、EV車両は標高差による影響をまったく受けないので、スタートからゴールまで、100%の性能で走破が可能になる。今回参戦するこの車両は、市販状態にロールバー装着などの安全装備を取り付けた程度ということで、市販状態でのポテンシャルをアピールするには絶好のステージといえるだろう。
ドライバーはアメリカ人の女性ドライバーでベッキーゴードン氏を起用。数々のモータースポーツへの参戦経験も豊富で、バハ1000、スコアインターナショナルなどオフロードレースへも参戦している。また、兄に現役NASCARドライバーのロビー・ゴードンをもち、夫にインディドライバーのライアン・ハンターレイというモータースポーツ人に囲まれた環境を持っている。
発表会ではパートナー企業のひとつである明電舎の社長が挨拶をし、「明電舎が提供するモーターが世界一になることを期待し、応援します」と声援を送っていた。なお、EVクラスのエントリーは7台ということだ。