2012年3月20日、三菱自動車は新型グローバル・コンパクトカー「ミラージュ」を3月28日からタイで発売すると発表した。ミラージュは成長する新興国におけるエントリーカーと成熟国におけるエコカーという、双方のニーズを一つの商品としてまとめあげたグローバル戦略コンパクトカーで、その概要は2011年末の東京モーターショーで発表されていた。 このミラージュは、三菱のグローバル生産体制の中で、日本に次ぐ第2の輸出拠点である、ミツビシモーターズ・タイランドのラムチャバン工場内に新設した第3工場で生産され、タイでの販売を先駆けとしてASEAN諸国、日本、ヨーロッパへと輸出・販売を順次拡大して行く計画だ。日本での発売は今夏を予定しているという。ちなみに、タイでの国産メーカーによる車両生産は、日産のマーチについで、2番目となる。
新型ミラージュの概要のポイントをまとめてみると以下の通りになる。
・低燃費を追求した新開発の1.2L・3気筒MIVECエンジンを搭載し、空気抵抗と走行抵抗を低減させることで、クラストップレベルの低燃費・低CO2排出量を実現。
・コンパクトカーならではの取り回しの良さを追求しながら、大人5人のための居住空間をしっかり確保する高効率パッケージを採用。
・ボディ構造の最適化と高張力鋼板の採用拡大により、従来比で7%の軽量化を実現し、低燃費に大きく寄与する一方、全方位からの衝撃を効果的に吸収・分散させる衝撃安全強化ボディ「RISE」の採用。高い安全性を実現。
・企画・開発・生産・品質確認・販売・サービスのすべての段階で厳正に審査し、次工程に進める開発方式MMDS(Mitsubishi Motors Development System)、工程完結を基本理念とする全生産拠点に共通の生産方式MMPW(Mitsubishi Motors Production Way)を採用することで、高い品質を確保。さらに、新工場での新型車の生産開始に伴い、日本と同等の品質を確保すべく、日本人の検査員が駐在して出荷前に全数検査するほか現地検査員の指導も実施。
↑東京モーターショー出展車のインテリア
この新型ミラージュで注目される燃費は、今回の発表では欧州混合燃費が22km/Lとされている。通常のヨーロッパのNEDC混合燃費に換算すると4.5L/100kmとなり、ホンダ・インサイトに近い燃費となる。日本式の燃費では10・15モードで30km/L、JC08モードで約26km/Lとなると想定され、エンジン車としてはトップレベルになると予想される。
注目のエンジンは、ヨーロッパ向けモデルのコルトに搭載されている3B型3気筒DOHC1.1Lエンジンの大幅改良版と予想される。このエンジンはポート噴射で、圧縮比は10.5、ボア・ストロークは75mm×84.8mm、排気量1124ccで、出力は75ps/100Nmとなっている。ミラージュ用としては排気量をアップし、フリクションをさらに低減するとともにミラーサイクル運転を採用していると考えられる。もちろんアイドルストップも装備されるはずだ。(タイからの追加情報で、ミラージュ用エンジンの型式名は「3A92型」。ボア・ストロークは75×90mmで、1193cc。78ps/100Nm)
新型ミラージュに搭載されるトランスミッションは、ジャトコ製の副変速機付きCVTで、これももちろん燃費に貢献しているはずだ。