2011年11月24日、三菱自動車はi-MiEVに続くEV第2弾として、軽商用車のEV、ミニキャブ-MiEVを12月8日から発売すると発表した。ミニキャブ-MiEVの販売先は、企業、商店、自治体などがメインだが、使い勝手の良さから趣味などを重視する個人オーナー層もターゲットにして登場した。
軽商用車のミニキャブのEV版は、昨年から発売が発表されており、EVの基本コンポーネンツはi-MiEVと共通で、電池を2種類設定することも公表していた。そして、2010年10月からはヤマト運輸と共同で実証実験を開始し、商用車として求められる経済性、積載性、信頼性などを確認したうえで、ようやく発売にこぎつけたわけだ。また、このミニキャブ-MiEVは、今後は日産、スズキにもOEM供給される見込みで、現時点で唯一の商用車EVがこれからのEVを牽引する役割を持つと考えられる。
もともと軽商用車は、都市部の配送業務に使用されることが多く、日常的に一定の配送ルートを走行するため、EVの場合は充電も予定通りに行うことができる。そして、ガソリン代に比べランニングコストが安い、発進、停止が多い運転モードのため、発進トルクの大きなEVは運転しやすく静粛なためドライバーのストレスが少ない、など輸送企業にとってはEV商用車はメリットが大きい。
ミニキャブ-MiEVはミニキャブ・CDグレードをベースにし、フロントシート下のエンジンを取り去り、床下に電池を格納し、リヤアクスル上にパワーコントロールユニット、モーター及び減速機を配置したRR駆動方式としている。また、電池と駆動系以外に、3リンク・ドディオン式リヤ・サスペンション、エアコンもi-MiEVと共通化されている。
電池は、i=MiEVと同様にリチウムエナジージャパン製の16.0kWh(330V)と、東芝製の10.5kWh(270V)の2種類を設定し、選択できるようにしている。JC08モードでの航続距離は、16.0kWh仕様で150km、10.5kWh仕様の車両で100kmとなっている。また充電時間は、200Vでの満充電まで、前者が7時間、後者は4.5時間。急速充電(80%充電)では、それぞれ35分、15分となる。
従来型のミニキャブ・バンのドライバーの走行実績データでは、77%のユーザーが1日あたりの走行距離は65km以下で、10.5kWhの電池容量でも十分配送業務に使用できることになるのだ。なおEV用のリチウムイオン電池を床下に配置しているため、荷室のフロア高さがガソリン車より20mm強高くなっているが、実質的な荷室の容積、使い勝手は従来型とほとんど同じとしている。
ボディは標準ルーフとハイルーフの2種類、乗員は2名と4名の2種類を設定している。セレクターレバーは、i-MiEVと同様に「D」、[Eco」、「B」の3ポジションがある。またメーターパネルはミニキャブ・ガソリン車とは異なり、i-MiEVと同じデジタルスピードメーター、パワーメーター、駆動用バッテリー残量計、航続可能距離表示ができる専用メーターになっている。安全装備は全車にABS、トラクションコントロールを標準装備し、また、低速時の車両接近通報装置、衝突時や故障・漏電時に高圧電流を遮断するシステムも備えている。
ボディカラーは、クールシルバーメタリック、ホワイトソリッド、チタニウムグレーメタリックの3色。また、商用車らしく、店名や会社名、商品をアピールできるデカールがディーラーで選択できるようになっている。価格は2座席のCD 10.5kWh仕様で、補助金を含めると実質173万円で購入できることになり、EVとして最も安くなり、ミニキャブ-MiEVは1日あたり65km走行の試算で約7年でコストメリットが得られるという。
なおミニキャブ-MiEVの車両価格には200V充電ケーブルが含まれ、急速充電ケーブルは含まれない。急速充電ケーブルはメーカーオプションで+5万2500円、100V充電ケーブルは販売店オプションとなる。また充電スポットまでのルートや距離検索、現在走行中ルートでの走行可能距離などを表示できるEV専用ナビシステムもオプション設定されている。
また、ガソリンエンジン搭載のミニキャブもマイナーチェンジが行われ、12月8日から発売される。内容は前後のデザイン変更、価格の引き下げ、さらに、レジャー用途にも適合する装備充実モデルの「ブラボー」を新設定している。