お買い得感たっぷりの三菱 RVR 動画付き試乗記

マニアック評価vol23
走りがよくて、環境にやさしく、使い勝手がいい。そんな優等生でコストバリューに優れたクルマというのが三菱RVRだ。

P13チャートFスタイル M

RVRの基本コンポーネントになるプラットフォームは、兄貴分にあたるアウトランダーと共通なので、ホイールベースは変わらず、前後のオーバーハングを縮めて全体のサイズをコンパクトにしてある。だから、室内の広さもアウトランダーにひけを取らないほど広く、ライバル車へのアドバンテージになる要素だ。実際、リヤシートのフットスペースは大柄な体型の人でも、フロントのシートバックにひざが触れることはない。さらに、荷室の広さも十分にあることから、使い勝手もいい。

front interior

ライバルとなる日産デュアリス、スバルフォレスター、トヨタRAV4、ホンダCR-Vと比較してみると、全長は4295mmとRVRがもっとも短い。それぞれ4315mm、4560mm、4335、4565mmであり、デュアリス以外は直接ライバルとするには少しサイズが大きい。にもかかわらず、室内長は1865mm、1780mm、1780mm、1815mm、1820mmとRVRがもっとも広く、室内幅でも1480mm、1470mm、1520mm、1495mm、1465mmと3番目の広さを持つ。室内高では1260mm、1225mm、1290mm、1240mm、1255mmとやはり一番室内高を確保している。ただ、室内高に関しては、単純比較する意味はあまりなく、デザインやコンセプトなどの要素を含むので、参考程度に考えて欲しい。しかしながら、RVRの室内長、室内幅、室内高がライバルに対しアドバンテージであることは間違いない。

インテリアの仕上げについては、他車との比較でも突出した違いはなく、とりわけ、経済性重視のモデルでの違いは見当たらない。装備の点で、RVRの安全面では、運転席、助手席、ニーエアバッグがあり、4WDモデルにはアクティブスタビリティコントロール(ASC)+ヒルスタートアシストも標準装備される。運転席まわりでは、テレスコピックやチルトハンドルが標準装備でありパドルシフトも付いている。

エンジンは全グレード1.8LのNAモデルで6速スポーツモードを備えたCVTである。三菱独自の技術で定評のある連続可変バルブタイミングを行うMIVECを採用し、減速エネルギー回生システムと電動アシストパワーステアリングなどにより、平成17年基準排出ガス75%低減レベルに適合し、平成22年度燃費基準+15%も達成している。2WDで15.2km/L、4WDで15.0km/Lという燃費はクラストップレベルの低燃費性能であり、全グレードエコカー減税対象モデルになっている。

また、4WDでは、前後の駆動力配分を適切に行う4WDオートと強力なトラクションが得られる4WDロックのモードを選べるセレクターが装備される。さらに滑りやすい路面などで、不安定な動きを感知すると4輪のブレーキ、エンジン出力、4WDシステムを統合制御するASCが組み合わされ、安定した走行ができる。また、ヒルスタートアシストとトラクションコントロール機能が同時装着され、安定走行がサポートされる。(4WD車に標準装備、2WD車にメーカーオプション)

engine cargo

このような充実した装備をもつRVRのFFモデルを、一般道路、高速道路試乗で試乗してきた。

シートに座り最初に感じるのはアイポイントの高さだ。アイポイントの低いSUVというインプレッサXVなども出てきたが、RVRはいわゆるSUVの背高のドラポジになる。このポジションは見晴らしが良く、前方視界が広く確保できることから、運転中の安心感へとつながる要素といえる。

それと内装のカラーが黒もしくはグレー系だけであり、外装デザインも考えると男性カラーが強いモデルであると感じる。もっと明るいベージュ系の内装などもあったほうがいいのではと感じてしまうが、もっとも、ビジネスの観点からすればターゲットを絞り、無駄なカラーバリエーションで効率を落とすことを選ばない潔さがあるのかもしれない。

エンジンスタートはキーシリンダーをまわす従来のものではなく、エンジンスタートスイッチとなっており、うれしい装備と感じられた。そしてステアリングはチルトとテレスコピックがあるので、ベストなポジションが確保でき好印象だ。ハンドル操作において電動アシストのパワーステアリングだが、油圧式との違いが際立つようなことは体感しなかった。

1.8LNAエンジンでCVTという組み合わせだが、走り出すと低速域では乗り心地がいいと感じる。多少の路面が荒れた場所でも、スッーと走り抜ける。高速道路ではどうかというと、これが意外としっかりしてくる。低速でのソフトな感じではなく、ハリのある乗り心地に感じられるから、車線変更でおつりがきたり、フラッとするようなこともなかった。

80km pedal

エンジンは100km/hで1900rpmあたりとかなり低めで、それほどエンジン音がうるさいということはない。しかしワインディング路などでは、パドルシフトがあるから、ついシフトダウンをして加速をしたくなる。するとCVTのネガな部分である、回転があがり車速と合わない、つまり、リニア感に欠けた加速となるのだ。そして、回転の上がったエンジン音は残念ながら、重厚感に欠け、軽くてうるさいと感じる部類のエンジン音となってしまう。

荷室やシートアレンジはとても好印象だ。使いやすく簡単にシートがたため、広がるスペースはクラストップの広さがある。自転車やキャンプ道具など遊び道具を積んで出かける人には、威力を発揮するのは間違いない。

試乗を終え、RVRとはどんなクルマなのかをまとめてみると、三菱が主張するジェットファイターグリルは、個性的であり印象に強く残った。がしかし、走行に対する印象は薄く、またインテリアでも個性を特に感じられないものだった。それでも、アクティブセーフティ、パッシブセーフティ、フルタイム4WDなど電子制御が満載されているモデルであり、走破力、ユーティリティを兼ね備えながら200万円を切る価格から購入できるのだから、非常にお買い得感のあるモデルだと感じだ。

価格表

文:編集部 高橋明

三菱自動車 公式Web

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