三菱ふそうトラック・バスは2025年10月22日、東京ビッグサイトで10月30日（木）から11月9日（日）にかけて開催される「ジャパンモビリティショー 2025」で、水素で駆動する大型トラック2種類のコンセプトモデルのワールドプレミアを行なうと発表した。
三菱ふそうトラック・バスは、水素を燃焼させ内燃エンジンで駆動する水素エンジン搭載大型トラック「H2IC」、燃料電池システムで駆動する燃料電池大型トラック「H2FC」の2種類のコンセプトモデルを世界初公開する。
水素が持つ高いエネルギー量という特性により、長い航続距離や短い充填時間が可能になるため、重量物運搬や長距離輸送を伴う商用車のカーボンニュートラル化を実現する上で、水素は有効な手段であると考えられている。
水素エンジン搭載大型トラック「H2IC」は、ディーゼルトラックと共通のコンポーネントや技術を流用することで、より早くスムーズな水素車両への移行を可能にする車両だ。水素エンジン技術は、特に高い出力が必要となる建設用車両などの用途に適した車両とされている。そして「H2IC」は、圧縮水素ガスを燃料として使用する。
液体水素搭載燃料電池大型トラック「H2FC」は、燃料電池システムが水素を電力に変換し、電気モーターを駆動させて走行する燃料電池トラックだ。「H2FC」は、水素を液体状態で搭載する。「H2FC」は、圧縮水素ガスと比べて、より密度が高い液体水素を使用することで、最大1200kmの航続距離を実現し、15分以内での充填が可能となっている。
またディーゼル車と同等サイズ（車両総重量25トン）のリヤボディを確保し、積載スペースへの制限もない。液体水素タンク容量は80kgとされている。
「H2FC」は、国内初のサブクール液体水素（subcooled liquid hydrogen: sLH2）充填用の液体水素タンク（液体水素タンク容量80kg）を搭載した燃料電池大型トラックだ。
ダイムラートラック社が産業ガス、および水素インフラ構築技術の先駆者であるリンデ・エンジニアリングと共同開発したsLH2充填技術は、液体水素を扱う上でこれまで課題であったボイルオフガス（蒸発した水素ガス）を再液化することで、ボイルオフガスを排出する必要がなく、液体水素の充填が行える充填方式だ。
sLH2は車両走行時もボイルオフガスの排出削減が可能。さらに、sLH2は圧縮水素ガスを使用する際に水素ステーションに必要な設備を大幅に簡素化できることから、インフラコストの削減にも貢献し、水素社会の実現にも貢献することができる。
なおsLH2とは、液体水素をポンプで加圧しながら車両に搭載された液体水素タンクに充填することで、液体水素タンク内のボイルオフガス（蒸発した水素ガス）が再液化され、ボイルオフガスを排出する必要がなく、急速に充填を行なうことができる液体水素の新しい充填技術である。
sLH2充填技術は、現在はISO規格化に向けて関係者間で議論されている。三菱ふそうトラック・バスと液体水素を国内で唯一供給する岩谷産業は、sLH2充填に関する技術、規制、商用化に関する共同研究によりsLH2充填技術の日本での確立に向けて取り組みを進めている。
さらに三菱ふそうトラック・バスはこの技術を国内で確立するために、外部企業・機関との協力体制の構築も図っている。
「ジャパンモビリティショー 2025」の ブースでは、岩谷産業とのパネルディスカッションや水素技術に関する展示を通じて、水素関連技術について詳しく紹介される。
