三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は2012年6月18日、大型観光バス「エアロクィーン」と「エアロエース」の新型を発表。今回は2012年7月より施行される安全規制に全車適合させるとともに、アクセルとブレーキが同時に操作された際にブレーキが優先される、「ブレーキオーバーライドシステム(BOS)」を国内の大型観光バスで初めて搭載。また側方視界を十分に確保することができる新開発のサイドビューカメラを全車に標準装備して、7月2日より発売を開始する。国内の大型観光バスでは初の搭載となる、ブレーキオーバーライドシステムが全車に標準装備された。アクセルペダルを踏んだままの状態でブレーキペダルも踏んだ際に、ブレーキを優先することで誤操作による事故を防ぎ、乗員・乗客を守ってくれる。
さらに新開発のサイドビューカメラも全車に標準装備。左側ミラーのステーに内蔵したカメラの側方画像を運転席のモニター画面に映し出すシステムで、これにより左折や車線合流時、駐車場出発時などにおいて、直視困難であった箇所の間接確認が可能になって安全性が大幅に向上。加えてミラーの鏡面設計を改良することで、視界をより一層拡げている。
7月からの安全規制への対応策としてはシート及びシートベルトの安全性能を向上させている。全車の運転席に多重感知式ELR3点式シートベルトを採用し、客席には多重感知式ELR2点式シートベルト(最前列客席と最後尾中央客席には多重感知式ELR3点式シートベルト)を採用。そのほか、より強い衝撃に耐えられるようにシート取り付け方法の強化、並びにシートバックの緩衝性を向上させることで、衝突時の衝撃軽減も図っている。
ちなみに同社では大型観光バスの安全性に配慮して、従来からエアロクィーンとエアロエースの全車に運転注意力モニター「MDAS-III」を標準装備している。これは運転注意力の低下に起因する事故の予防を目的として、1996年に世界で初めて大型トラックのスーパーグレートに搭載し、現在改良を重ねて3代目となっているものだ。
具体的にはシステム起動後15分間で走行状況やドライバーの運転特性を学習した上で、白線認識カメラや各種センサーが運転操作を総合的に判断し、注意力が低下していることを検知するもの。警報にはメータークラスター内のマルチ情報システム「Ivis(アイビス)」による注意力レベル表示に加えて、車線逸脱警報機能と連動することにより、注意力が低下した状態で車線をはみ出した際は、そちらの側のスピーカーから警報音を発生して注意を喚起する。またオプションのデジタルタコグラフ「エコフリートプロ」を搭載すればMDAS-IIIの警報履歴を記録することができ、安全運行管理にも役立てられる。
さらに今回は新開発の床下設置型の直冷エアコンシステムを設定。従来のサブエンジン式のエアコンシステムと同等レベルの温調性能・除湿性能を確保した上で、最大冷房能力の向上を図っている。またサブエンジンの廃止により、メンテナンスの容易化とともに燃料消費量低減も実現している。
そのほかの改良点としては、最小回転半径の縮小や尿素水タンク容量の増大、トランクルームの拡大などが挙げられる。まずはステアリングの操舵角を増大することにより、最小回転半径を0.5m縮小して取り回し性能を向上させている。また尿素水容量を22Lから25Lへと増量し、利便性を向上。さらに新直冷エアコンシステムの採用に伴ってサブ燃料タンクを廃止したことで、トランクルームを280mm拡大することが可能になった。
販売目標台数は新型のエアロクィーンとエアロエースの合計で年間600台を設定。消費税を含む東京地区の販売価格については以下のようになっている。