レクサスRZ試乗記 エンジン車からスムーズにEVへ。その才能をコーナーで感じる

レクサスRZ450eに試乗した。レクサスは2035年までにEVブランドへシフトすることを宣言しており、その序章となるEV専用モデルがこのRZだ。

レクサスRZ450e “version L”

レクサスブランドではUX300eがすでにEVでは発売されているので、2番目のモデルなのだがEV専用プラットフォームを使ったモデルとしては初めての専用モデルになる。そのRZには、bZ4X&ソルテラと共通するe-TNGAプラットフォームを使い、スピンドルボディ・デザインで2023年3月に正式発表した。

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ボディカラーはソニックイリジウム

ボディサイズは全長4805mm、全幅1895mm、全高1635mm、ホイールベース2850mmとほぼDセグメントサイズだ。bZ4Xより全長+115mm、全幅+35mm、全高-15mmで、ホイールベースは同じとなっており、エクステリアデザインの影響も大きそうだ。レクサスではNXとRXの中間にポジションすることになる。

パワーユニットは前後に駆動用電気モーターを搭載し、フロントが150kW/266Nm、リヤに80kW/169Nmの出力をもっているが、このユニットもbZ4Xと共通のスペックだ。サスペンションはフロントがストラットでリヤがトレーリングアーム式ダブル・ウイッシュボーンでダンパーに周波数感応ダンパーを採用している。

インテリアはオーソドックスに

インテリアはオーソドックスな印象を受ける。表示系は液晶パネルでシフトレバーもなくなり、ダイヤル式へと大きく変化し、全体がドライバー方向に傾斜したドライバーオリエンテッドなデザインでまとめてある。しかしEVであることのインパクトというより、新しいモデルが登場し、それがモーター走行するモデルという印象。つまり、エンジン車からの乗り換えに違和感がなく、慣れ親しんだ風景に溶け込みやすいという狙いを感じるということ。

インテリアカラーはヘーゼル

これは欧州プレミアムモデルでもエンジン車と同じプラットフォームにモーターを搭載するEVモデルと、専用のデザインとしているモデルの二刀流があり、RZは前者に相当すると思う。せっかくの専用プラットフォームなので、革新的なデザインへシフトチェンジしていてもいいと思うが、マーケットニーズ優先といったところか。

そのためか、インテリアの操作系で戸惑うことなく、室内温度調整や情報の表示方法などに迷いはなく、すんなりと操作できた。

コーナーでその才能を発揮

走り出すと動き出しの滑らかさはEVらしく、気持ち良い。アクセルに対するレスポンスは、エンジン車では絶対に真似できない俊敏な反応ができることが特徴だと思うが、全体的には尖った味付け方向ではなく、なました味になっている。それでもレスポンスの良さは気持ちよく、EVならではだと感じられる。

乗り心地ではボディのしっかりとした剛性を感じ、サスペンションのしなやかないなしが高級車らしいのだが、シートがソフトなため、クルマの動きと一体感をもった感触にならないのは残念。タイヤ、サスペンション、ボディ、そしてシートへと連動していくが、シートのエッジに張りがないためなのか、揺れを感じてしまう。

一方、驚いたのはコーナリングだ。高速道路を走っている時は高級車らしい雰囲気を持って走っているが、コーナーに差し掛かると「自分はコーナリングが得意っす」と語りかけてくるようだ。

ステア応答も適度な手応えで応答遅れもなくスッとノーズがはいり、アクセルを踏み込むとリヤモーターの駆動でグッと腰を押される感触がくる。それでもアンダーステアにはならずグイグイとノーズをイン側へ向けて走るのだ。

前後2モーターによる4輪駆動力可変配分システム「DIRECT4」が採用されている

ただその動きは制御によるコーナリングパフォーマンスだと感じられ、既存のコーナリングを得意とするモデルとは少し異なる感触だ。これを新しいEVならではの制御と理解するかどうか。キャラクターとしては、すこぶる回頭性が高く素早くコーナーを駆け抜けることができるのは間違いないのだ。

だから直線を走っている時とコーナーを駆け抜ける時とは、違うモデルに乗っているかのような二面性を持っているとも感じた。高速道路走行から、あの回頭性の高さはイメージできないが、良い意味でサプライズであるし、隠れた才能だとも思える。

レクサスブランドのイメージでも、かつては静粛性が飛び抜けて良い印象だったが、近年ではドライバーズカーへとシフトしているように感じる。また同じモデルでもパワートレインが変わるとキャラクターも変えており、どんな好みのユーザーにも対応できるラインアップで対応しているという印象だ。

このRZはversion Lだけのモノグレードでラグジュアリーを纏ったモデル。パンチの効いた狂ったような加速はさせず、力感を得やすい加速フィールで走る。ただし、レスポンスの良さは決してエンジンでは真似のできない反応の良さとどこからでもトルクフルに加速するフィールはEVならではだ。そしてハンドルを切ると回頭の素早いコーナリングパフォーマンスで駆け抜けることができるのだ。

RZ450e Version LはレクサスのEVブランド化への第一弾であり、まずはエンジン車からの乗り換えに違和感なくスムーズに移行でき、それでもEVの特徴をコーナリング性能で見せているモデルだと感じる試乗だった。試乗車の価格は「RZ450e VersionL」車両本体が880万円でメーカーオプションが66万5500円、合計946万5500円となっている。

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