【新型レクサスRX 試乗記】3つのパワトレで感じる三者三様の味付けと500hの新たな価値

レクサスのコアモデル「RX」が2022年11月にフルモデルチェンジを行ない、第5世代となって登場した。新型RXはラグジュアリークロスオーバーSUVとして全面刷新し、新たなパフォーマンスモデルもラインアップに加えている。

RX500h F SPORT Performance(新開発の2.4L直4ターボ+ハイブリッド)

ボディサイズは全長4890mm、全幅1920mm、全高1700〜1705mm、ホイールベース2850mmで先代モデルとの比較では、全長に変更なく全幅で+25mm、ホイールベースで+60mm拡大した。プレミアムDセグメント+のRXは北米を中心に人気が高く、ライバルはBMW X3やアウディQ5あたりだ。

新型のRXは、従来のRXが持つ上質な乗り心地と高い静粛性はそのままに、走る楽しさを追求したパフォーマンスモデルも追加。新しいユーザーの獲得を使命としたモデルも投入されているのだ。そのラインアップは、パワートレインをみると理解しやすい。

RX350に搭載する2.4L直列4気筒ターボ+8速ATはRXに軽快な走りとダイレクト感を味合わせてくれる高級モデルで、FFとAWDが選択できる。そしてRX450h+には2.5L直列4気筒プラグインハイブリッドを搭載し、従来のRXユーザーへは、電動化してもRXの魅力は損なわず環境性能を意識しながら、上質な乗り心地と高い静粛性を持つモデルとアピールしている。そしてRX500hに新開発の2.4L直列4気筒ターボ+ハイブリッド+6速ATを搭載するモデルを新規に投入している。

RX500hのエンジンルーム(2.4L直4ターボ+ハイブリッド)

さて試乗したのは上記の3つのパワートレインで、特徴をうまく活かしたグレードに試乗することができた。ユーザーがRXに求める価値には、やはり高級ブランドを所有する満足感、それに見合うインテリアの上質感、高級感、そして静粛性があり、ハンドリングや乗り心地も高級ブランドにふさわしいレベルを期待する。

そうした期待値を数値化することは難しく、また個人々々で高級感やハンドリング性能への要求値も変わってくると思うが、3つのパワートレインを揃えることでどんなユーザーからの期待にも応えていこうという狙いがそこにはあるわけだ。

では具体的にどのような味付けの違いをしたのか、特にダイナミック性能でその違いが顕著だったので、お伝えしていきたい。

【RX350 F SPORT】

まずはRX350。グレードはF SPORTで名前の通り、スポーツモデル。エンジンは前述したT24A-FTSで2.4Lターボ+8速ATでFFとAWDが選択でき試乗車はAWDだった。

T24A-FTS型エンジンは、ダイナミックフォースエンジンと言われるトヨタの最新の環境エンジンで、205kW(279ps)/6000rpm、430Nm/1700-3600rpmというスペック。WLTC燃費はAWDが11.2km/L、FFが11.8km/Lで、スペックから分かるようにかなりのパフォーマンスは期待できる。

RX350に搭載されている2.4L直列4気筒ターボエンジン

走り出してみるとF SPORTというスポーツグレードではあるが、静粛性は高く乗り心地は引き締まったいい具合を感じさせるサスペンションでまとめている。カーブを曲がる場面ではボディ剛性の高さと引き締まったサスペンション、さらに転舵速度とロールスピード、ヨーモーメントの感じ方などに一体感があり、ひとつの塊が意のままに動いている感覚が得られる。

車速域を上げていくとエンジン音が素直に聞こえてきて、さっきまであった高級車の室内空間から、走りの空間へとシフトする。ハンドリングは相変わらず意のままに動き、重厚感のあるボディにも関わらず応答遅れを感じることなく回答していく様は気持ちいいと感じる。

欲を言えば、スポーティな走りのシーンではエンジン音に演出を加えて、よりスポーティな感覚になると只者ではない感じが作れると思った。

【450h+ version L】

続いて試乗したのが450h+でこちらはプラグインハイブリッド。グレードはversion Lで136kW(185ps)/6000rpm、228Nm/3600-3700rpmと駆動モーターが前後にあるAWD。フロントモーターが134kW、リヤモーターは40kW、最大トルクは270Nmと121Nmでシステム最高出力は227kW(309ps)というハイスペックになっている。しかもWLTC燃費は18.8km/Lというクラスを超えた省燃費性能にもなっているのだ。

こちらはversion Lグレードということでゴージャスな高級志向を強調するモデルだ。リチウムイオンバッテリーの総電力量は18.1kWhでEV走行可能距離は86kmもある。そのためほぼEV走行で賄い、静粛性のレベルはEV車との比肩になり、高い静粛性を持ったモデルだ。

ただ、こうした静粛性能をもつSUVだと、ゆったりとした動きをイメージしやすいが、走りも大切にするレクサスらしく、力強い走りも魅力というモデルでもある。しかし先に軽快・俊足なRX350に試乗した後だったので、シャシーとボディとの一体感という意味ではRX350のほうが一枚上手で、version Lはラグジュアリーな室内空間という点ではRX350よりRX450h+が一枚上手ということになる。

【RX500h F SPORT Performance】

そして注目がRX500h新グレードのF SPORT Performance。T24A FTSエンジンにターボと駆動モーターを備えたAWDパワートレインだ。先に発表しているクラウンRSに搭載しているユニットと同じだが、制御はRX用に適合させている。

こちらは202kW(274ps)6000rpm、360Nm/2000-3000rpmと強烈なエンジンにフロントモーターが64kW/292Nm、リヤが76kW/169Nmとこれまた強力なモーターを搭載している。システム最高出力は273kW(371ps)だがWLTC燃費は14.4km/Lという省燃費性能にもなっている。ちなみにバッテリーはバイポーラニッケル水素を採用している。

さらにDRSという後輪操舵機能もこのF SPORT Performanceには装備され、かなり激しくワインディングを攻めることができる仕様になっているのだ。

DRSは60km/hで逆位相と同位相が切り替わるのだが、実際は低速域で旋回性能の高さを感じる。とくに駐車場など狭い場所での扱いの良さに威力を感じる。そしてワインディングから高速走行では同相になりリヤの踏ん張りが強調されるかと思いきや、そこまでではなく、通常のタイヤグリップを感じるレベルなのだ。この辺りもクラウンとは制御が異なっていることを感じる。

RX500hの場合、後輪が同相に動くのは、なんと140km/h以上ということで、高速走行時のスタビリティと相当なハイスピードでのコーナリングで威力が発揮されるという味付けになっていたのだ。したがって、国内では、この同相の魅力を体験できる場所はクローズドエリア以外にはないことになる。

つまり北米を中心としたグローバルモデルとして、目指す性能目標が欧州基準と言っていいだろう。したがってこのRX500hは既存のレクサスオーナー以外からの新しいユーザー獲得をする使命を背負って誕生してきたモデルということができるのだ。だから、スポーツカーすらも追いかけ回すことができるSUVであり、そうした走りの中でも高い静粛性や確かなボディ剛性を感じながら走行できるというわけだ。

RXはレクサスに新しい価値を提供するモデルということができ、かつ、既存RXユーザーに満足と感動を与えるダイナミック性能、静粛性、上質な乗り心地を提供しているということができる。

スピンドルボディをはじめ、インテリアやボディデザインも大幅に変更されており、そうした見た目でも新しい価値、ブランド力向上が期待できる仕上がりで、レクサスのコアモデルとして期待を裏切らないラグジュアリークロスオーバーSUVということができる。

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