2014年7月18日、レクサスはベルギーのブラッセルで新型ミッドサイズSUV「NX」を正式発表した。また、7月29日に日本でも正式発表を行い、同日から発売された。
「NX」は、これまでに2013年のフランクフルトモーターショー、東京モーターショーでコンセプトカー「LF-NX」として出展され、2014年の北京モーターショーで市販モデルとしてワールドプレミアが行なわれている。そして「レクサス NX」は2015年モデルとしてヨーロッパ、日本に導入されることになった。
レクサスは従来からアメリカ市場向けにRX、GX(ランドクルーザーベースで4.6L・V8型搭載)、LX(ランドクルーザーベースで5.7L・V8型搭載)というSUVを販売しているが、いずれも北米専用モデルで、ヨーロッパを始め、グローバルに展開するため新たに「NX」が開発された。アメリカ風にいえばコンパクトサイズのSUVだが、ボディサイズは全長4630mm、全幅1845mm、全高1645mm、ホイールベース2660mmでC、Dセグメントの中間のサイズだ。
キャラクターとしては都会派クロスオーバーカーで、開発のキーワードは「プレミアム・アーバンスポーツギヤ」とされている。サイズ、キャラクターともに日本専用のトヨタ・ハリアーとほぼ同じである。パッケージングはキャビンフォワードとし、レクサスのデザイン・アイコンを採り入れつつ、都会的でアグレッシブな存在感を強調したデザインとなっている。
▲NX 200tの電動リヤシート。運転席からスイッチで折り畳むこともできる
NXは、レクサス初となるのダウンサイジング・コンセプトによる新開発2.0Lターボエンジンを搭載した「NX200t」と、2.5Lハイブリッドシステムによりクラストップレベルの燃費を訴求する「NX300h」をラインアップしている。
新開発の8AR-FTS型2.0Lターボエンジンは、鋳鉄シリンダーブロックに水冷式エキゾーストマニホールド一体式シリンダーヘッド+ツインスクロール型ターボチャージャーを組み合わせている。ターボ用直噴技術D-4ST、可変角を拡大した中間ロック式連続可変バルブタイミング機構のVVT-iW、エンジン直付マウント式の水冷インタークーラーなど新技術を採用している。
中間ロック式広角VVT-iWにより、低負荷時にはアトキンソンサイクル運転を行なうようになっている。出力は238ps/350Nmで、トヨタ&レクサスでは初となる1650rpmという低回転から最大トルクを発生する。なおこのエンジンの重量は160kgと超軽量に仕上げられている。
またこのターボエンジンに合わせて6速ATも新開発されている。走行状態に応じたエンジントルクを算出する駆動トルクオンデマンド式の新制御ロジックを採用することで、ターボエンジンのトルクを最大限に活用し、アクセル操作に対するレスポンスを高めている。
さらにアイドリングストップ機能を、レクサスとして初採用し、再始動時のレスポンスも世界トップレベルを実現している。
「NX300h」は2.5L・4気筒の熱効率を追求したアトキンソンサイクルエンジンと高トルクモーターを内蔵したTHS-Ⅱを搭載。このモデルはグローバルで主流のディーゼルエンジンに対抗する役割が与えらている。システム総合出力197psで、これはハリアーに搭載されているハイブリッドシステムと共通。
乗り心地と操縦安定性を高めるため、ばね上制振制御を採用し、駆動用モーターのトルクをきめ細かく制御することで、車体ピッチング抑制制御も採用している。
ボディは、ボディパネルを面で結合する構造用接着剤の採用、溶接点の間隔を縮小できるレーザースクリューウェルディングなど、レクサスの最新のボディ技術を導入し、ボディ剛性やボディの質感を高めている。
さらにフロント:ストラット式、リヤ:ダブルウィッシュボーン式のサスペンションの高剛性化も実現。ダンパーは路面からのわずかな入力にも応答する新開発のダンパーを採用。またダンパーの減衰力を最適に電子制御するAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)は、リニアソレノイドを新採用し30段階まで可変制御の範囲を拡大している。
「NX200t」にはFFと4WDが設定され、4WD車はFF駆動状態と4WD駆動状態を自動的に制御するダイナミックトルクコントロールAWDを採用。旋回時にステアリング操舵量から目標コーナリングラインを算出し、車両挙動に応じてきめ細かく後輪にトルクを配分する可変駆動制御も採用している。NX300hの4WD車は、後輪駆動はモーターで行なうが新制御のE-Fourシステムにより、特に滑りやすい路面におけるコーナリング性能を向上させている。
スポーティバージョン「F SPORT」は、専用の内外装デザイン、専用チューニングのサスペンション、ボディの小さなたわみを吸収しながら剛性を高めるパフォーマンスダンパーを採用している。
装備では、360度ビューパノラミックモニター、センターコンソール部でのスマートフォン置くだけ充電、Gセンサー内蔵マルチインフォメーション・ディスプレイ、6.2インチ・ヘッドアップディスプレイを採用。また運転席から操作できる電動リヤシート折り畳み、ヤマハピアノの研磨技術を使用し「縞目」トリム、オプションでマーク・レヴィンソン・ハイエンドオーディオ、鍵穴が隠されたドアハンドルなどが特徴だ。
NXはプリクラッシュ・セーフティを装備し、ドライバー支援システムは、全車速追従型クルーズコントロール、レーンキープアシスト、ブラインドスポットモニター、リヤ・クロストラフィック警告などがセーフティパッケージとして設定されている。