レクサスLCの特別仕様車「PATINA Elegance」に試乗する機会を得た。レクサスは、LCが持つ魅力、性能、そしてLCの世界観を、テーマ性を持った特別仕様車でユーザーへ提供していくという手法をとっている。
レクサスブランドのフラッグシップ
LCはレクサス全体のブランドを牽引するモデルであり、LCの乗り心地やダイナミック性能、そして品質を見ればレクサスが理解できるというポジションにある。これはレクサスというブランド全てが共通の価値観であり、同じ方向を向いたダイナミック性能を持ち、プレミアムブランドに相応しい共通の仕上がりになっていることを意味する。
さらに2ドアクーペのLCは、その持つ魅力として「ラグジュアリークーペ」という言葉で表現されるように、感性性能も高次元にあるモデルに位置付けられている。
大人の時間
走行のテストフィールドは高速道路とワインディング路で、V8・5.0Lエンジン、10速ATというパワートレーンの魅力と、FRのクーペスタイルというスタイリングやハンドリング性能、そしてブランドイメージからくる所有欲を満たしてくれるのか、試乗してみた。
内外装では専用のテレーンカーキマイカメタリックに、柔らかさと自然な風合いを活かしつつ、耐久性を併せ持つレクサスの最高級本革L-アニリンを使用している。
この高級シートは、最高位の原皮だけを厳選し、長時間にわたる柔軟化工程と、独自の工夫や技術により薄い塗膜のカラーコートで柔らかさを実現している。体を包み込むような座り心地と走行中のフィット感が良く、さらに、職人が縫い上げた美しい匠のステッチなど、華やかさを引き立てている。またステアリングにもプレミアムレザーを使用し、上質さを強く感じられるものだった。
プレミアムに相応しいラグジュアリーな空間
また、このLC500の特別仕様車は接地感の向上や車速コントロール性の向上を狙ったモデルで、ハードパーツにも変更が施されている。ステアリングサポート部のアルミダイキャスト化やインターミディエイトシャフトダンパーの小型軽量化、EPSのギヤマウント・ブッシュ剛性のアップなどの変更が行なわれているのだ。
そのため、特に切り始めの素直で軽快なフィーリングに磨きがかかり、余分な振動成分が伝達しにくくなっている。まさに高級車にふさわしい操舵フィールになったと言える。有り余る大パワーと心地よいエンジンサウンドを聴きながら駆け抜けるワインディングは、大人なラグジュアリークーペにふさわしく、コンパクトで取り回しのよいスポーツ系モデルとは全く異なる、ゴージャスなスポーティドライブが楽しめるのだ。
全てにおいて余裕を感じさせるLC500 PATINA Eleganceは見る者、乗る人を豊かな気持ちにさせてくれる要素があり、ダンディズムのある世界観に磨きがかかった印象だ。
デザイン論のひとつに「マイナスの美学」と表現するものがあるが、レクサスLCは、その反対の足し算によって魅力がプラスされる手法だと感じていた。2016年デトロイトモーターショーでデビューしたLCは当初、低重心化と慣性モーメントの低減に挑戦し、そのためにGA-Lプラットフォームが誕生した経緯がある。だが、その狙いを昇華させるために、ダイナミック性能の部分でも技をプラスすることによって、LCの魅力が増してきていることは間違いない。
まさに走りとデザインが進化し、より鋭く、より優雅になり、高い次元で両立をしているモデルになってきていると感じる試乗だった。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
【価格】
LC500h特別仕様車PATINA Elegance
- エンジン:8GR-FXS 3.5L V型6気筒
- 最高出力:エンジン299ps、モーター132kW(180ps)
- 最大トルク:エンジン356Nm、モーター300Nm
- マルチステージハイブリッドトランスミッション
- 2WD(FR)
- ボディサイズ:全長4770mm、全幅1920mm、全高1345mm、ホイールベース2870mm
- 1450万円(10%消費税込み)
LC500特別仕様車PATINA Elegance(試乗車)
- エンジン:2UR-GSE 5.0L V型8気筒
- 最高出力:477ps
- 最大トルク:540Nm
- ダイレクトシフト10-AT
- 2WD(FR)
- ボディサイズ:全長4770mm、全幅1920mm、全高1345mm、ホイールベース2870mm
- 1400万円(10%消費税込み)