レクサスISが2016年10月12日にマイナーチェンジを行なっているが、年末にサーキットと市街地での試乗の機会がありそのレポートをお伝えしよう。また、GS-Fも2016年9月9月21日にダンパーを変更する改良があり、そちらも同時に試乗できたのでお伝えしよう。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>
■レクサスISのマイナーチェンジ
レクサスISはFRスポーツセダンとしての運転の愉しさとさらなる熟成ということをテーマにマイナーチェンジした。ここでは主にサスペンションの変更が行なわれている。まず、ダンパーは微低速域でのフリクションを減らし、乗り心地をよくし、ロアアームをアルミ製に変更。軽量化と剛性アップを図っている。
さらにスプリング、ブッシュ特性、電動パワーステアリング、AVS(アダプティブバリアブルサスペンション)の制御変更など細部に至るチューニングが行なわれた。また、「CUSTOMIZE」モードを新たに設け、ドライブモードセレクトでパワートレーン、シャシー、空調の組み合わせを自由に選択できるようになった。
また、エクステリアもアグレッシブに変更され、スピンドルグリルセンター部の立体感が強調されより特徴的なフロントフェイスになっている。ヘッドライトデザインも変更され、内側に延長されL字型ランプとの連続性を強調している。そして、リヤのコンビネーションランプも多灯LEDに変更し、L字を層状にデザインすることで目立つテールランプに変更した。
さて、ポイントとなるサスペンションでは、ダンパーが低フリクションになったことが挙げられる。試乗車はIS350のversion Lで3.5LのV型6気筒8速ATのFRモデル。車両価格は620万7000円(税込み)というモデル。
こちらのダンパー交換によってもたらされる効果としては、ピストンスピードの遅い領域、つまり小さな入力の時に、従来ダンパーは動きが悪くフリクションが大きい、と感じていた部分で、そこが滑らかに、そしてしなやかに動くようになったことだ。ドライバーや同乗者にとっては乗り心地が良くなったという印象を受ける。
この試乗車はタイヤサイズがフロント:225/40R18、リヤ:255/35R18という超扁平タイヤであるため、乗り心地という点ではダンパーのフリクションを感じやすいことがあった。しかし、試乗してみると、確かにそのフリクション感が消え、ダンパーが良く動きしなやかになったと感じる。
こちらのモデルはサーキットでも試乗できたのだが、このダンパー性能はサーキット走行で性能を発揮するタイプというより、やはり市街地の日常使いでの効果が高く誰でもがそのメリットを感じることだろう。
■レクサスGS-F
さて、ISのマイナーチェンジの約1か月前にGSにも変更が行なわれている。大きなトピックは2.0ターボエンジンを搭載したことなのだが、NXやISでの搭載実績があるだけに、エンジンバリエーションの追加という印象だ。
AutoProveが注目したのはこちらもダンパー変更で、SACHS製のCDCダンパーを装着したことだ。またトルセンLSDもオプション設定され、サーキット走行が楽しくなるような変更があったポイントだ。
ダンパーはAVSと呼ばれアダプティブバリアブルサスペンションで、リニアソレノイド内蔵のモノチューブ式を採用している。
構造としては電磁ソレノイドを内蔵し、縮み側と伸び側では別々のオイル流路を通り、高い応答性、かつ減衰可変幅が広いことが挙げられる。実際の走行シーンではどういった効果を体感するのだろうか。
こちらはサーキットでAVS装着モデルと非装着車の乗り比べができたので、非常にわかりやすかった。というのは、荷重が一定にかかり続ける状況を再現できると、その違いが明確に分かるからだ。
操舵角は一定、アクセル開度も一定で外側に荷重がかかる姿勢を作る。このとき路面のアンジュレーションの影響を受け、車体は上下に揺れたりふらついたりする。しかし、AVSを装着すると、ライントレース性が格段に良くなるのだ。ボディは安定するので、その分、ステアリング応答性、スロットルによる姿勢変化なども容易にできる。
これは荷重内側のダンパーの伸びが抑えつけられ、ダンパーは伸びきらず内側のタイヤを路面に押し付ける減衰が行なわれているため、四輪の接地荷重は大きくなり車両は安定方向になるわけだ。また直進状態でのピッチングもなくなり、フラットライドな乗り心地にもなるので、よりアグレッシブに攻める走り方ができたのだ。
このSACHS製のCDCは従来ツインチューブ式タイプだったが、レクサスとの共同開発によりモノチューブで開発できAVSという名称で装着している。
■まとめ
IS、GSともにFRで「走り」に関わる変更を中心に試乗した。レクサスは日本の誇るプレミアムモデルであり、北米を中心にブランドイメージが定着しつつあるが、豊田章男社長になってからより一層走りのイメージが強くなっている。レクサスではライバルを設定しないがISであればBMW3シリーズ、アウディA4、メルセデスCクラス、ジャガーXE、GSであればメルセデスEクラス、BMW5シリーズ、アウディA6、ジャガーXFあたりになる。
いずれも日本では人気のプレミアムモデルであり、この中かからレクサスを選んでもらうために走りの性能とスピンドルグリルをはじめとするブランドアイコンを作ってアピールしているわけだ。
この先LC、LSとトップモデルもデビューしてくるので、実に楽しみでもある。レクサスのトップモデルとなるこれらはラグジュアリーでありながら、レクサスらしい走りがポイントだということなので、その両立は可能なのか興味深いところだ。
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