「レクサスES試乗記」Lサイズのグローバルモデルとし登場したラグジュアリーセダン

マニアック評価vol655

デジタルアウターミラーで注目を集めた「レクサスES」は、7代目ではあるもののESは国内で販売されておらず、新たな新型車として国内デビューを果たしたと言ってもいいだろう。そのレクサスESに試乗してきたので、早速お伝えしよう。
レクサスES試乗記

試乗レポート

試乗はバージョンLとFスポーツ、そしてエントリーモデルのES300hにも乗ることができた。トップグレードがバージョンLで、Fスポーツがスポーティモデル、そしてエントリーモデルというわかりやすいラインアップだ。

バージョンLのインテリア
バージョンLのインテリア
Fスポーツのインテリア
Fスポーツのインテリア

バージョンLにはオプションのデジタルインナーミラー、デジタルアウターミラーも装備されていた。運転席に座ってみると、自然と従来のバックミラーのある位置を見てしまうが、当然車外には突起状のカメラが突き出ているだけで、あるべき位置にミラーがないのですっきりした斜め前方視界になっている。

ドライバー側のディスプレイ
ドライバー側のディスプレイ
助手席側のディスプレイ
助手席側のディスプレイ

左右後方の視界はインスツルメントパネルの左右のディスプレイに常に表示される。走り出しても、ついミラーの位置に視線をやるが、車室内のディスプレイに後方視界が表示されるので、やはり位置的に瞬時に慣れるのは無理で、半日くらいは走って慣れる必要があるだろう。

ウインカーを出せばそちら側の視界を広げ、バックする時にはより後方視界を幅広く見せるように表示エリアを拡大する。夜間や雨天などでもより見やすい表示にするなど、カメラとディスプレイの機能を活かした便利機能も備えている。しかし試乗車は360度の視界をセンターディスプレイに表示するパノラミックビューも装備し、これも表示される。機能的にはパノラミックビューモニターとデジタルアウターミラーを融合させるべきではないかと思った。

また、世評でもいわれるようにインスツルメントパネルの左右端に四角のディスプレイがあるのもデザイン的に、取って付けたような後付感があり、ディスプレイ画面の画素数も粗さが気になった。エンジニアによれば、他車種にも搭載できる汎用性を持たせた結果だという。

レクサスES試乗記

走りは、静粛性が際立っているが、舗装が荒い路面ではフロアパネルのブルブルとした振動が気になった。この点は、17インチタイヤを装着するベース車はいくぶん少なく感じる。このサイズのセダンで、この価格帯としては興ざめなフロア振動で、改善を望みたいところだ。

一方で乗り心地は、タイヤと路面との当たりが固めではあるがしなやかさがある。またハンドリングも、トルクベクタリングを併用した思い通りの走りができる。ただ、イメージ的にこのサイズのセダンとしてはかなり回頭性を高めている気がした。見かけによらず、という感じだ。このあたりはFスポーツもバージョンLも、俊敏に応答するハンドリングを目指すレクサスのテイストだ。

NEXT:Fスポーツは、ドライビングモードセレクトのスイッチにより…

Fスポーツは、ドライビングモードセレクトのスイッチによりスポーツS+からカスタムまで5モードに切り替え(他グレードは3モード)ができ、ダンパーの減衰力も変化する。スポーツS+、スポーツSではかなり減衰力も高められ、ステアリングもクイックにレスポンスするので、バージョンLとは一味違うスポーティ感が感じられ、コーナリングではかなり俊敏に回頭する。ステアリングフィーリングは、ラックパラレル式の電動パワーステアリングのモーターという素性の良さもあって爽快だ。(デュアルピニオンやコラムタイプとは違うと言いたい)

A25A-FXS型2.5Lエンジン+THS-Ⅱハイブリッド
A25A-FXS型2.5Lエンジン+THS-Ⅱハイブリッド

パワーユニットは2.5L+ハイブリッドの1スペックのみで、従来のハイブリッドよりはリニアな加速感はある。だが、絶対的な動力性能はFスポーツとしてはやや物足りない気もする。海外仕様のような300psクラスのV6エンジンの方がFスポーツにはふさわしいだろう。

インテリアの広々感、特にリヤシートの広さは、ライバルのFR車を上回る。シートもFスポーツ専用のスポーツシートはきちんとできており、バージョンLのシートは腰部の形状や太腿のサポートもよい。唯一、上半身のサポート性がもう少しよくなればいうことはない。

インテリアの仕上げ、質感は素材の見せ方などなどにかなりの努力が見えるが、プレミアム・セダンクラスのライバルと比べると、まだ上質感の演出や細部に対するこだわりなどで差があるように感じられた。このあたりは、今後の時間をかけた熟成に期待したいところだ。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>

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