フォルクスワーゲンのCセグメントSUV「ティグアン」は、搭載するエンジンの変更などをしてマイナーチェンジを行なった。
ティグアンは2007年に欧州で誕生し国内には翌2008年に導入。2012年にMC(マイナーチェンジ)を受け、2017年に2代目へとフルモデルチェンジしている。そして今回2代目ティグアンのマイナーチェンジが行なわれ、早速、試乗してきた。
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上級なモデルへ
今回のマイナーチェンジではデザイン変更もあり、ボディサイズも少し変更となった。全長は4515mm、全幅1840mm、全高1675mmで、ホイールベースには変更なく2675mm。全長は+15mmと僅かに大きくなったが、デザイン上のサイズ変更だ。それと1.4Lターボエンジンが1.5Lターボへとライトサイジング化され、6速DSGから7速DSGへと変更されている。
またTDIのディーゼルエンジン+4Motionモデルがラインアップから外れ、FFのガソリンモデルだけとなった。だが「R」モデルが新規に登場し、2.0Lターボ320PS/420Nmのパフォーマンスエンジンを搭載し4Motionモデルをラインアップしている。この「R」モデルは、エンジンパワ−だけでなく最新の4WDシステムを搭載し、前後、左右のトルクベクタリングを行なうドライビング ダイナミクスを備えたモデルとなっている。今回は残念ながら試乗車の用意はなく、FFガソリンモデルだけの試乗となった。
今回試乗したモデルは1.5Lターボ+7速DSGの「TSI R-Line」。オプション込みの車両価格は539万1000円(税込み)。オプション装備はレザーシートパッケージとフロアマットで35万2000円、車両本体は503万9000円だ。この1.5Lターボ ガソリンエンジンは150PS/250Nmの出力で、気筒休止するアクティブシリンダー マネージメントを搭載し、WLTCモード平均14.3km/Lというスペックだ。
車両価格もそうだが、かつての量販モデルから高級車モデルへとシフトしているかのように、全体のレベルアップが著しく、静粛性や滑らかさなどはプレミアムブランドと比肩できる。エントリー価格は407万9000円からで、国内の経済成長率GDPの横ばいが痛く身に染み込んでくる。
プレミアムな高い静粛性
さて、走り出してみると7速DSGは滑らかに発進をし、クリープもイメージどおりにできる。シフトアップは低回転からどんどんハイギヤを選択するが、シフトショックはなくATと遜色ない滑らかさだ。そしてエンジン音も静かで高級感たっぷり。
試乗コースには、路面に音楽が聞こえるように加工された舗装路があり、40km/hの制限速度で走行すると正しいメロディーリズムで聞こえるハズだったが、新型ティグアンの静粛性が非常に高く、車室内に入り込む音は小さく、耳を澄ます必要があったほどだ。
そして120km/h制限の新東名高速を走行したが、高速走行でもその静粛性は維持され、高級車と呼ぶに相応しいとさえ言いたくなるほどだ。さらに滑らかな走行フィールもプラスされるので、アウディとの差別を一考したくなるほどで、プレミアムブランドと量販ブランドの性能レベルには、もはや差異は存在しないのかもしれない。
さらに気筒休止のアクティブシリンダー マネージメントの作動は、ドライバーを含め乗員は全く感じ取ることはできない。メーターパネル内に表示されることで認識できるレベルだ。
操舵フィールでは、フォルクワーゲン特有のセンタリングが強く、微少舵に抵抗を感じる人も多いと思うが、そうしたフィールがなくなり、切り始めも滑らかな操舵フィールへと変わっている。もちろん、直進性は高く、その座りの良さはドライバーへきちんと伝わってくるので、正常進化したと言えるのではないだろうか。
ADASのアップデート
ドライブモードはスポーツ、エコ、ノーマル、インディビデュアルとあり、オプションの連続可変ダンパーと組み合わせれば、よりスポーツドライブが楽しめると感じたが、試乗車にはオプションのダンパーが装備されておらずインプレッションは取れなかった。
が、ハンドリングはブレーキを使ったトルクベクタリングが絶妙に制御され、ニュートラルだと感じさせるジオメトリーが安心感を高める。コーナリング中にブレーキを踏んでも、アクセルを踏み増ししても操舵方向へ加減速し、アンダーステアやオーバーステアを感じることはない。
今回のマイナーチェンジではADAS機能もアップデートされている。フォルクスワーゲンの運転支援システム「トラベルアシスト」は210km/hまで対応し、ステアリング、ブレーキ、加減速をシステムが操作する。レベル2でのシステムとはいえ、運転疲労軽減には大きく役立つのは間違いない。
またこのシステムは専用の「トラベルアシスト」ボタンがあり、ワンプッシュで稼働するため、煩わしいツーアクション、スリーアクションからは開放され、よりイージーにシステムを使いこなせるようになっている。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>