フォルクスワーゲン・ポロのラインアップに「GTI」が追加された。2022年6月に現行ポロはマイナーチェンジを受け、11月にGTIモデルを追加している。そのGTIに試乗する機会があったのでお伝えしよう。
ポロはBセグメントハッチバックのベンチマークとされることが多い、トータルバランスに優れたグローバルモデルだ。もちろん国内でも人気で、車両の大型化が進むにつれ、かつてのゴルフユーザーもポロにシフトしている人が多い。Bセグメントサイズとはいえ、少し前のCセグメントのゴルフとほぼ同等の大きさまでサイズアップしているのだから、当然といえば当然だ。
そのボディサイズは全長4085mm、全幅1750mm、全高1430mm、ホイールベース2550mmでキャビンスペース、ラゲッジスペース、そしてダイナミック性能も兼ね備えた人気の車種だ。
そのポロにもっともスポーティな「GTI」が加わり、ラインアップに厚みが増した。グレードは1グレード展開。2.0LターボのTSIガソリンエンジンを搭載し、最高出力は先代の200psから207psへとわずかに向上。最大トルクは変わらず320Nmだが、1500rpmから4500rpmまで最大トルクを発揮し、その範囲も4350rpmからわずかに拡大している。これに7速DSG(湿式タイプ)のトランスミッションが組み合わされている。0-100km/h加速は6.5秒、最高速度も235km/hから240km/hへと引き上げられている。
さらにシャシーも専用のサスペンションを装備し、ノーマルと比較して15mm車高が低くなるローダウン・スポーツサスペンションを装着している。そして高速コーナリングで最適なトルク配分を行なう電子制御式デファレンシャルロック「XDS」を装備していることや、エンジンのレスポンス、シフトタイミングなどを自分好みに変えられるドライブモード「インディビデュアル」も装備し、キビキビとしたドライバビリティが得られるのだ。
試乗車にはさらに「スポーツ・セレクトパッケージ」がオプション設定されており、スポーツとノーマルで切り替わるアダプティブダンパーと18インチアルミホイールを装着していた。
これらの武器を備えたポロGTIは、コンパクトなボディサイズを活かし、ワインディングは水を得た魚のように生き生きと走る。パドルシフトを操り、ダイレクトなシフトチェンジ、GTIならではのエンジンサウンドを響かせ軽快に、そして爽快に山道を駆け抜けるのだ。
インテリア、エクステリアにはGTI専用パーツが多く装備されている。フロントフェンダーとステアリングにはGTIのロゴがあり、フロントグリルはハニカム形状で、左右のヘッドライトを繋ぐ車幅灯、そしてヘッドライト内部に赤いアクセントラインがあしらわれている。
そしてGTI伝統のチェック柄ファブリックシートは言うまでもなく装備され、ブラック、レッド、グレー、クロームといった配色とともに、シフトノブやシートに赤いステッチが施されている。
コンパクト・ホットハッチに求められる旋回性の高さは言うまでもなく、伝統的なシャシー性能にプラスして電子制御でコントロールされるXDS、ESCなどでブレーキも巧みにつまみながら、またドライバーの支配下に常にあるように見せている制御も秀逸なのだ。
価格も試乗車のGTIにはオプションのスポーツ・セレクトパッケージとディスカバープロ、ディーラーオプションのフロアマットも込みで438万8000円。これは、競争力のあるプライスだと感じるが、いかがだろうか。