【フォルクスワーゲン】Tクロスと同クラスのEV「ID.クロス コンセプト」を公開 量産モデルは2026年夏

フォルクスワーゲンは2025年9月8日、ミュンヘンで開催されているIAAモビリティ(9月8日~14日)で、コンパクト・サイズEVのSUV「ID. クロス コンセプト」を発表した。

このモデルは、従来の「T-クロス」とはプラットフォームが異なるものの同クラスのEVモデルであり、街中の移動だけでなく長距離走行にも適している。

フォルクスワーゲン・ブランド最高経営責任者でグループ取締役会メンバーを兼ねるトーマス・シェーファーCEOは、「このクルマの開発当初から、私たちの目標はフォルクスワーゲン ブランド史上最高のモデルをデザインすることでした。量産モデルに近い“ID.クロス”コンセプトカーは、新しいデザインを纏い、これまでは上位クラスでしか見られなかった数多くのテクノロジーを採用し、操作性と品質を向上して最適なモデル名で公開します」と語った。

「ID. クロス コンセプト」は、「ID.2 all」、「ID. GTI コンセプト」、「ID. エブリイ1」に続き、4台目のコンパクト電動コンセプトカーとなる。これらの新しいモデルの量産バージョンは、2026年から順次市場に導入され、「ID. クロス」は、2026年夏に世界初公開される予定だ。

なお、今回のIAAモビリティでは、「ID. ポロ」、「ID. ポロ GTI」、「ID. クロス」はいずれもコンセプトカーとして出展されているが、量産開始直前のプリプロダクション段階であり、ほぼ量産モデルと見て差し支えない。

そして「ID. エブリイ1」を含む、この新しい4車種はすべては、ブランド・グループ・コア(セアト/クプラ、シュコダ、フォルクスワーゲン、フォルクスワーゲン商用車)のブランド横断型の戦略モデルであり、グループの各ブランドは、電気自動車のエントリーセグメントに今後ニューモデルを投入する予定としている。

アーバンジャングル グリーンと呼ばれるカラーで登場した「ID. クロス コンセプト」は、クリアで誰もが好感を持つ新しいデザイン言語を採用している。

フォルクスワーゲン・デザイン責任者のアンドレアス・ミントは、「私たちは新しいデザイン言語を“ピュア ポジティブ”と呼んでいます。これは、フォルクスワーゲンにおける3つのデザイン基盤(安定感、親しみやすさ、独自性)に基づいており、今後のすべての新しいフォルクスワーゲンに反映されていきます。ID.クロス コンセプトのラインと力強いボディパネルは、純粋でクリアです。このSUVの形状は、トレンドに追随するのではなく、トレンドを創り出し、ブランドのアイデンティティを未来へと引継ぎます」 と語っている。

ID.クロス コンセプトのボディサイズは、全長は4161mm、全幅1839mm、全高1588mm、ホイールベースは2601mmだ。つまりサイズは現行の「T-クロス」と同等である。しかし、ホイールとタイヤの組み合わせは刷新され、専用の「バルボア」と呼ばれる21インチのアルミホイールを開発。タイヤは、グッドイヤーとの協力により、専用の235/40R21タイヤが開発されている。

革新的なパッケージ設計により、5人乗りの「ID. クロス コンセプト」の室内は非常に広く、トランク容量は450Lを確保している。ボンネット下のフランクには、追加のスペース(25L)が設置されている。

車両の幅広さとクリアなインテリア・デザインにより、広々としたスペース感覚が生み出されている。その一方で、コンパクト・サイズの特長を活かし、都市部の走行に最適なサイズ感、取り回し性を備え、同時に家族や友人とのドライブにも適したオールラウンダーであり、長距離走行も余裕を持って楽しむことができる。

布張りのトリムの品質と感触は特長的だ。照明、音響、空調モードの「Atmospheres(アトモスフィア)」機能により、バニラチャイと呼ばれるカラー(温かみのあるベージュ)を採用したインテリアは、快適なラウンジのように感じられる。

さらに注目すべきは、このコンセプトカーのために特別に設計されたシートだ。このシートを完全に折り畳むと、「VW Bus」のようなリクライニングエリアを作り出すことができる。

運転席周りは人間工学と直感的な操作性を備えた革新的なデザインが採用されている。直感的なメニュー構成のディスプレイ、自然なボイスコントロール、各種機能を直接操作できる物理スイッチ間の調和のとれたデザインと配置だ。2つのディスプレイ(28cm/11インチのデジタルメーターと33cm/13インチのインフォテイメント・センタータッチディスプレイは、ドライバーの視覚軸上に配置されている。

「ID.クロス コンセプト」は前輪駆動で、「ID. ポロ」、「ID. ポロ GTI」と同様にモジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス(MEB+をベースとしており、電動パワートレイン、バッテリー、ソフトウェアなども最新の仕様となっている。

フォルクスワーゲン・ブランドのカイ・グリュニッツ技術開発担当取締役は、「MEBは、2026年から新しいソフトウェア世代を導入し、これにより、フォルクスワーゲンのお客様の数多くのシステムの機能が大幅に強化されます。フォルクスワーゲン独自のモジュラーシステムのさらなる開発により、より上位のセグメントの車両に採用され、さらに進化したトラベルアシストなどの機能も導入されます。したがって、MEB+は、ID. クロス コンセプトの量産バージョンや新型ID. ポロなどの電気自動車を、魅力的な価格で平均的な内容を超える装備とともに提供できるようにする技術的な鍵となります」と語っている。

「ID. クロス コンセプト」は、新開発された最先端の駆動システムを搭載。中心となる2つのモジュールは、フロント・アクスルに統合されたパワーエレクトロニクスを含む電気駆動モーターと、サンドイッチ構造のフロアにフラットに配置された高電圧バッテリーだ。

このコンセプトカーの電気モーターは、155kW(211ps)の最高出力を発生し、前輪を駆動する。航続距離(WLTPモード)は、最大420kmが想定されている。

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