【ゴルフ ヴァリアント TDI 試乗記】静かで上質な乗り味。好燃費も兼ね備えたディーゼルワゴン

フォルクスワーゲン・ゴルフシリーズのヴァリアントにディーゼルエンジン搭載モデルが追加され、試乗してきた。現行のゴルフ8は2021年にフルモデルチェンジを行なっているが、TDIヴァリアントの導入は約1年遅れ、2022年10月に国内導入された。

ゴルフ ヴァリアント TDI「R-Line」

ゴルフ8はエクステリアもインパクトがあり、人気も上々でフルデジタル・インターフェイスでも注目されている。物理スイッチがほぼなくなり、タッチパネルになり、スワイプ、タッチをして操作をするデジタル・コックピットプロが全車に標準装備されている。

ゴルフ・ヴァリアントのグレードは4グレードで、アクティブ・ベーシック、アクティブ・アドヴァンス、スタイル、そしてR-Lineのラインアップ。試乗車はもっともスポーティなR-Lineに乗ってきた。

搭載されるTDIは4気筒2.0Lターボで150ps/3000-4200rpm、360Nm/1600-2750rpmという大トルクも魅力だ。Dセグメントのプレミアムモデルが400Nmというスペックが平均的なことから、Cセグメントの量販モデルが上位モデルに迫るスペックを持っていると言える。

またツインドージングというアドブルーのW噴射によりクリーンな排出ガスとなり、7速DSGとの組み合わせでWLTC19.0km/Lという省燃費性能を併せ持っているのだ。

ディテールを確認すると全長4640mmm、全幅1790mm、全高1485mmで、ホイールベースはゴルフ・ハッチバックより+50mmとなる2670mm。このロングホイールベース分、後席の足元スペースが拡大され、先代の903mmから941mmへと拡大している。

またヴァリアントの魅力のひとつにラゲッジ容量の大きさがあるが、後席を通常使用状態でも611Lもの容量があり、さらに後席を倒すと、1642Lというクラスをはるかに超える広さを持っている。

ゴルフ8ヴァリアントはハッチバックよりホイールベースを伸ばしていることで、Bピラーよりフロント側はハッチバックと共有。しかしBピラーより後ろはヴァリアント専用デザインになっているのだ。

試乗車はオプションの18インチアルミホイールを履いていた

走り出してみると静かなエンジン音に満足度が上がる。近年どこのメーカーもディーゼルエンジンの音が静かになり、ガソリン車との区別が難しくなってきているが、そうした期待を裏切らない静粛さがこのヴァリアントにもある。少し前のプレミアムモデルのディーゼルより静粛性が高くなったと言えるのだ。

7速DSGは湿式タイプで滑らかなシフトチェンジを行ない、しっとりとした上質な乗り味が味わえる。装着するタイヤは225/40-18でしっかりとしたボディ剛性とのマッチングがよい。17インチはソフトな乗り心地になるのだが、ハンドリングの気持ちよさや引き締まったステアフィールなどから18インチがベストマッチしていると感じる。

ワンタッチで稼働するトラベルアシストはステアリングを握った時、親指が触れる付近に設置され、操作はシンプルでロングドライブもクルマ任せに走らせることもできる。そうした運転支援装置の進化もあり、あまりストレスなく、人が運転しているかのような動作へと進歩し、使い勝手のよい運転支援へと変化している。

ただ、デジタルコックピットプロの操作には、ある程度慣れるまでの時間が必要で、乗ってすぐに、何もストレスなく操作ができるというわけにはいかない。クルマを走らせる前に、あるいは、走行中でも路肩へ寄せて止まり、じっくりとパネルを見ながら操作方法を探すということが必要になった。

しかし、それも一度操作方法を体験すれば、次からは走行中でも操作できるようになるものの、やはりタッチ式は右利きの多い日本人には慣れと覚悟が必要かもしれない。

こうしたインターフェイスは過渡期でもあり、より多機能化していくなかで、直感的に、あるいは物理スイッチとの共存としながら進化していくだろう。

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