セレンス 車両用AI「セレンスChat Pro」をフォルクスワーゲンのIDAに組込み導入

自動車業界向けに音声認識、AI技術を提供するセレンスは2024年6月26日、フォルクスワーゲン・グループが、自動車に最適化したChatGPTを統合した「セレンス Chat Pro(チャット・プロ)」を初めてヨーロッパ向けの全車種に導入した。その後、アメリカ市場を始め他の市場でも導入が開始される。

セレンスとフォルクスワーゲンは2024年1月に開催された「CES 2024」で、フォルクスワーゲンの音声アシスタント「IDA(アイーダ)」に新しい生成AIを活用した会話型アシスタント・システムの共同開発を発表している。

セレンス Chat Proを活用してヨーロッパ全域のドライバーが車載音声アシスタントと楽しく対話できるようにし、ChatGPTの大規模言語モデルを含む多数のソースをもとに、ジャンルを問わずほぼ全ての質問など疑問に対して信頼性の高い適切な回答を提供することができる。

車載用に特化して構築されたセレンス Chat Proは、フォルクスワーゲンのIDA音声アシスタントに統合され、車両のヘッドユニットに組み込まれた車両コマンド、またはスイッチ操作によりシームレスな対話を実現。また、クラウド・ベースのコンテンツやリアルタイムのWEBベースの情報へもアクセスも可能となる。

フォルクスワーゲン・グループの現行モデルではすでに、IDAオンライン音声アシスタントを使ってインフォテインメント、ナビゲーション、空調システムを操作することができる。また、さまざまなトピックに関する質問にも答えることができる。

しかし、ChatGPTの導入により、その可能性は大きく拡大された。例えば、AIが観光スポットに関する情報を提供したり、過去のサッカー大会について報告したり、数学の問題を解く手助けをしたりすることができる。これらはすべて会話により直感的に動作する。ドライバーはアシスタントに自然言語で話しかけるだけで、道路から目を離す必要はないのだ。

VW Connect/VW Connect Plusのアカウントを持っているフォルクスワーゲンのユーザーは、追加アクセスや追加アプリは必要なく、通常通りIDA音声アシスタントを利用してChatGPTが利用できる。

「Hello IDA(ハロー、アイーダ)」と呼びかけるか、ステアリングホイールのボタンを押すことでシステムは起動する。フォルクスワーゲンの従来システムで答えられない質問が匿名でChatGPTに転送され、従来どおりのフォルクスワーゲンの音声で答えが返ってくるのだ。

ChatGPTが車両データ側にアクセスすることはなく、そして個人データ保護のため、質問と回答は即座に削除され記録されないようになっている。

セレンス Chat Proは、IDA音声アシスタントを搭載しているフォルクスワーゲン・グループのブランド、フォルクスワーゲン、クプラ、セアト、シュコダに採用。フォルクスワーゲンの新型電気自動車「ID.」シリーズ、改良型ゴルフ、新型ティグアン、新型パサート、そして既存モデルが対象になる。

言語は、アメリカ英語、イギリス英語、ドイツ語、スペイン語、チェコ語の5つの言語で利用が可能だ。そして今後、対応言語は順次拡大される。

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