2013年5月20日、フォルクスワーゲングループ・ジャパンは4年ぶりに、7世代目となる新型「ゴルフ」を発表し、6月25日から発売を開始する。新型ゴルフは価格を下げ、ダウンサイジングを指向する輸入車オーナー層はもちろん、国産車ユーザー層を積極的に取り込む戦略である。
7世代目となる新型「ゴルフ(通称ゴルフ7)」は、VWグループの新しいモジュール戦略「MQB」(ドイツ語で Modulen Quer Baukasten。英訳で「モジュラー・トランスバース・マトリクス」)の構想の下で開発された初めてのVW車である。「MQB」はプラットフォームだけでなく、ボディの主要な骨格、搭載コンポーネンツをモジュール化したフレキシブルな大規模生産コンセプトを意味する。つまりMQBはVW傘下の多くのブランドでの開発・生産効率を高めることを目的としているが、こうした開発・生産の合理化を、クルマの性能向上やユーザー利益に還元することで商品競争力を高めるという側面も持つ。
新型ゴルフは、このMQBコンセプトの下で開発された結果、高い評価を得ているTSIエンジン、ボディ骨格、シャシーだけでなく、エアコン、インフォテイメントシステムなどすべてが新世代モジュールとなった。言い換えればゼロから開発され、機能と性能を格段に向上させ、プレミアムカーに匹敵する内外装品質、クラス最高の安全装備、軽量化と燃費の向上を実現したということだ。
新型ゴルフに搭載されるダウンサイジングトレンドの先陣を切ったTSIエンジンは、1.2L・TSI、1.4L・TSIともに新設計され、特に1.4Lエンジンは従来の鋳鉄製からアルミブロック化されている。
105ps/175Nmの1.2LエンジンはSOHCからDOHCに変更され、より低回転からトルクを発生する。1.2L・TSIエンジンと7速DSGが組み合わされたモデルは車両重量が1240kgという軽量さで、歴代ゴルフ最高となる21.0km/L(JC08モード)の燃費を達成。
140ps/ 250Nmとツインチャージ1.4TSIよりもトルクアップした1.4 L・TSIエンジンは、負荷の少ない巡航時などでは4気筒のうち2気筒が休止する自動気筒休止システム 「アクティブシリンダーマネジメント(ACT)」を、初採用している。この1.4・TSIと7速DSGを組み合わせたモデルは、2.0L以上のクラスと同等のスポーティな走りと、スモールカー並みの燃費、19.9km/Lを両立させた新時代のエコパフォーマンスカーと位置付けられている。これらのパワートレインにアイドルストップとブレーキエネルギー回生システム(BLUEMOTION TECHNOLOGY)を組み合わせ、新型ゴルフは、全車エコカー減税100%対象となっている。
また新型ゴルフは、安全性、ドライバー支援システムの向上も新たなレベルに入っている。クラス最高の9個のエアバッグの標準装備に加えて、up!に採用された「シティエマージェンシーブレーキ」の進化型を採用し、ミリ波レーダーを採用したプリクラッシュブレーキシステム 「Front Assist Plus」を標準装備。さらに、2次衝突の危険を軽減するマルチコリジョンブレーキシステム、事前にシートベルトのテンションを高め、エアバッグの効果を高めるためにウインドウを閉じる「プロアクティブ・オキュパント・プロテクションシステム」などをこのクラスで初めて全車標準装備としている。
今回発売されるバリエーションは「TSI トレンドライン」、「 TSI コンフォートライン」、「TSI ハイライン」の3グレード。「TSI トレンドライン」は1.2 TSIエンジンを搭載するエントリーモデルで、レザーステアリングホイール、15インチアルミホイールなどを標準装備。
同じ1.2TSIエンジンを搭載する「TSI コンフォートライン」は、フロントフォグランプ、16インチアルミホイールを採用。さらにアダプティブクルーズコントロール 「ACC」、左右独立エアコン、リヤビューカメラ、マルチファンクション・ステアリングなど充実した快適装備を備える。
1.4TSIエンジンを搭載する「TSI ハイライン」は、「TSI コンフォートライン」の装備に加え、さらに専用デザインの17インチアルミホイール、ダークテールランプ、デュアルエキゾーストパイプ等を採用。インテリアはアルカンターラ&ファブリックを採用したポーツシートや、「Lane Assist」、ドライビングプロファイル機能(ドライブモード選択システム)などクラスの常識を上回る充実した装備を備えている。
価格は従来型より引き下げられ、「TSI トレンドライン」が249万円、「TSI コンフォートライン」が269万円、「TSI ハイライン」は299万円という戦略的な価格設定とし、装備・価格で圧倒的なコストバリューを訴求している。