VWモータースポーツチームは「ポロR WRC」をWRC(世界ラリー選手権)第4 戦「ラリーポルトガル」に3台送り込んだが、セバスチャン・オジェが「ラリースウェーデン」、「ラリーメキシコ」に引き続き、今季3勝目を獲得し、圧倒的な底力を見せ付けた。
2013年4月11日に開幕した「ラリーポルトガル」は、ポルトガル南部、地中海に面したリゾート地のファロを起点として開催されるグラベル(未舗装路)ラリーだ。フォルクスワーゲンチームは今回のラリーから体制強化のために3台目の「ポロR WRC」を加え、ノルウェー人のアンドレアス・ミケルセンがステアリングを握る。ミケルセンは「VWモータースポーツ」というチームからエントリーしている。
今回のグラベルラリーは路面を覆う土埃の影響により、出走順がタイムに影響しやすいため、事前に予選を行い、予選タイムの上位選手から好きな出走順を選択できる予選方式が導入された。11日の午前中に行われた予選では、オジェが2番手、ラトバラが3番手。そして今回「ポロR WRC」で初のWRC出場となるミケルセンは8番手タイムとなった。
路面は非常に細かい埃に覆われており、乾いている場合は、前走車によって埃が除かれる後方の出走順が有利となるため、オジェは12番手、ラトバラは11番手、ミケルセンは6番手を選択した。
12日から本格的な競技がスタートし、最初のスペシャルステージ区間でオジェが首位に立ったが続くSS2ではライバルがリード。このまま接戦となるかに思われたが、SS3 でライバルはリタイア。オジェが再び首位に返り咲き、初日を終えた。ラトバラも順調に走り3番手を獲得したが、ミケルセンはSS4でパワーステアリングの油圧系統にトラブルが生じ、総合16番手まで順位を落とした。
競技2日目、この日最初のSSとなるSS6でラトバラは総合2番手に躍り出て首位のオジェと1-2体制を築いた。初日を総合14番手で終えたミケルセンは次々に順位を上げて最終的に総合6 番手に浮上。
このまま順調にゴールかと思われた矢先、最終日の14日の午前中に、オジェは駆動系トラブル、ラトバラはドライブシャフトのトラブルに見舞われる。このトラブルでラトバラは再び総合3番手に順位を下げてしまった。オジェとラトバラはそれぞれ自分たちの手で「ポロR WRC」に応急処置を施し、順位を堅持。チームが待つサービスパークへと戻り、無事に修理を受けることができた。
最終SSとなったSS15は、ボーナスポイントが加算される「パワーステージ」で、52.30km という長距離SSだ。タイヤを温存していたオジェはトップタイムで通過し3点を獲得。この結果、今期3勝目、自身にとって10回目となるWRC勝利を挙げた。オジェは優勝の25点とボーナス3点の計28点を獲得し、選手権ポイントを計102点としている。また、このSSではラトバラも3番手で1点を獲得。ラトバラは総合3位、ミケルセン選手は総合6位となり、「ポロR WRC」は3台とも上位入賞を果たした。
最大のライバルと目されるシトロエンのセバスチャン・ローブはWRCに全戦出場しないため、今回の3勝目で「ポロR WRC」はチャンピオンの座に大きく前進しているといえる。