【フォルクスワーゲン】 The Beetle— 21世紀型ビールトルがワールドプレミア

2011年4月18日夜、上海モーターショーの前夜に上海、ベルリン、ニューヨークで、新型ビートルのワールドプレミアが行われた。

新型ビートルは21世紀型のビートルと位置付けられ、これまでのニュービートルが主としてアメリカ市場をターゲットとしたのに対し、今回の新型ビートルはグローバルなマーケット展開を意図している。新型ビートル、ザ・ビートルの発売時期は北米が2011年9月、ヨーロッパは10月、アジア地域は2012年2月、南アフリカは12年末とされている。まさにワールドワイド・ビートルなのである。車種グレードは、「ビートル」、「デザイン」、「スポーツ」の3機種がある。

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ビートルという世界で最も浸透したデザインブランドは、21世紀においてどのように展開すべきか? VWのデザイン責任者のワルター・ダ・シルバとVWブランド担当のクラウス・ビショフは、新たにオリジナルにデザインすることを選択した。

初代の空冷ビートルをリスペクトしつつ、従来型ニュービートルよりもっとダイナミックに、より筋肉質にデザインは変化した。プロポーションは低くワイドになり、ボンネットは長くなり、Aピラーは後退させ、より傾斜している。つまりボンネット、リヤ、ドーム型ルーフが形成する3個の半円形の構成は再構築されたのだが、それでいてサイドからの輪郭は初代ビートルときわめて相似しているのだ。

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ボディサイズは全長4278mm(+152mm)、全幅1884mm(+84mm)、全高1486mm(-12mm)となり、まったく新しいプロポーションであることが分かる。また同時に、ダ・シルバが主導したVWのデザインDNAも表現されている。水平を強調したフロントバンパーラインとエアインテーク、ボンネットのストレートなエッジ、AピラーとCピラー間の明確なライン、リヤコンビランプのデザインなどにそれを感じることができる。

もちろん円形のヘッドライト、広がるフロントフェンダーやラウンドしたボンネット、サイドシルやドアシル、そして大径のホイールなど初代以来のデザインアイコンもしっかり守られている。さらに2011年ビートルの大きな特徴になっているのがリヤスポイラーだ。最高速225km/h のザ・ビートルにとっては不可欠の存在なのである。

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ドライバーシートに長い時間身を沈めても、まったく印象に残らないありがちなインテリアデザインも存在する。しかしビートルのコクピットはユニークで、クールであり、クラシックであり、しかもデティールに対するこだわりを盛り込んだ特別なもとなっている。

ダッシュボードも初代ビートルのエッセンスを残しているが、新型ビートルはレトロではない。メーター類は3個の円形メーターで形成され、エアアウトレットはクロームのべゼルで縁取られている。オーディオ、ナビシステムはドライバーの視線に近い場所へ設置されている。

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グローブボックスは、ノーマルの下開きに加え、初代ビートルと同様に上方に開くエクストラボックスを装備している。同じく懐かしさを感じる装備としてオーディオ/ナビの上部に油温計、ストップウォッチ付き時計、ブーストメーターがレイアウトされる。

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インテリア全体の人間工学、パッケージングは完全に新たな基準でデザインされている。シートは、初代ビートルはクッション長が短いものだった。また2代目ビートルは、ドライバーの視界の中でボンネットが大きく見えていた。しかし、新しいビートルは今やドライバー優先のクーペのようなレイアウトになり、全ての操作類に容易に手を伸ばすことができる。またインテリアの材質、質感はクラスの常識を超えるレベルに達している。

装備面でも新たな進化を遂げている。ヘッドライトはバイキセノン+LEDデイライトを装備。ルーフは開閉、チルトできる大型のパノラミックルーフを設定し、このガラスサンルーフは99%UVカット、92%熱線カットできる。

またオーディオは、RCD310・8スピーカーか上級オーディオのRCD510、ラジオ/ナビシステム付きはRNS315とより上級のRSN510を設定。さらにプレミアムサウンドシステムとしてフェンダー社とパナソニック社が共同開発したフェンダーサウンドシステムは400Wのウーファーを追加するなどし最高のオーディオを設定している。

ザ・ビートルに搭載されるエンジンは、アメリカ用はディーゼルターボの2.0TDI(140ps)、ガソリンエンジンは自然吸気2.5L/5気筒。その他の諸国用にブルーモーション・ディーゼル4気筒の105psと140psTDI、ガソリンがTSIの105ps、160ps、200psと多くのバリエーションを持ち、トランスミッションは6速MT、または6速DSG、7速DSGが設定される。

燃費は200psモデルで7.4L/100km 、CO2排出は173g/km、160psの1.4TSIモデル/7速DSGでは5.9L/100km 、CO2排出量は139g/km。また160ps、200psモデルはメーカーオプションとして電子デフロック(XDS)を装備できる。1.4TSIの最高速は207km/hというスペックだ。

105psの1.2TSIエンジンは最も燃費に優れた仕様で、スタート&ストップ、ブレーキエネルギー回生システムを装備する。こちらの最高速は180km/h。燃費は5.5L/100km、CO2排出量は129g/kmである。

このようにザ・ビートルはデザインにおける独自の個性やブランド性のみならず、燃費、ダイナミック性能に関して世界のトップランクに位置するという高い志を掲げて発進する。

文:編集部 松本晴比古

フォルクスワーゲン公式Web

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