【安全技術No1】ボルボ まもなく登場の新型「XC90」は安全技術をフル装備 渋滞時は自動運転化

新型ボルボXC90に採用される世界初の「ランオフ・ロード・プロテクション」。道路から逸脱した時の安全システム
新型ボルボXC90に採用される世界初の「ランオフ・ロード・プロテクション」。不注意で道路から逸脱した時の安全システム

パワートレーンからボディまですべてを一新する新型「ボルボ XC90」は、いよいよ2014年8月下旬にヨーロッパで発表される。新型XC90はボルボのフラッグシップで、最新の安全技術を満載しているが、8月1日にその最先端の安全技術の一端が発表された。

ボルボは、「2020年までに新しいボルボ車において、交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という安全目標「ビジョン2020」に取り組んでいるが、新型XC90に採用される新技術はその達成に向けた大きな一歩と位置付けられる。新型XC90の安全技術の概要は既報だが、今回はその一部が詳細公表された。

新型XC90のインテリア。プレミアムSUVにふさわしい高級な仕上げと先進技術を融合
新型XC90のインテリア。プレミアムSUVにふさわしい高級な仕上げと先進技術を融合
DセグメントのSUV、新型XC90は7座席を備える
DセグメントのSUV、新型XC90は7座席を備える

新型XC90  パワートレイン新型XC90  パワーユニット
▲後輪はモーター駆動のハイブリッド4WD方式を採用しているが詳細は近日発表される

新型XC90のポジショニングは、後輪モーター駆動式ハイブリッド4WD、7座席のフルサイズのプレミアムSUVとされ、6個のレーダー、全周をカバーするカメラによる最先端の安全技術、ドライバー支援システムはすべて標準装備となるが、その中には2つの世界初の技術が搭載されている。1つは、道路からの逸脱時に乗員を保護する「ランオフ・ロード・プロテクション」、2つ目は交差点での出会い頭の衝突を未然に防止する自動ブレーキシステムで、これらを採用することで新型XC90は世界で最も安全なクルマとなる。

◆ランオフ・ロード・プロテクション
ドライバーの不注意や疲労、天候の悪化などの要因による道路からの逸脱事故は少なくない。アメリカでは交通事故死の半数は道路からの逸脱事故が原因であり、スウエーデンでは乗用車の事故で重症を負う、または死亡するケースの1/3は単独事故、つまり道路逸脱となっている。ボルボはこれらのデータを重視し、現時点で道路逸脱に対応する基準や法的規制はないものの、独自に道路逸脱時に乗員を保護する技術を開発した。

新型XC90の「ランオフ・ロード・プロテクション」のイメージ図。路肩から逸脱した段階で安全システムが起動
新型XC90の「ランオフ・ロード・プロテクション」のイメージ図。路肩から逸脱した段階で安全システムが起動
安全技術担当のロッタ・ヤコブソン博士
安全技術担当のロッタ・ヤコブソン博士
着地時の衝撃を緩和するエネルギー緩和システム
着地時の衝撃を緩和するエネルギー緩和システム

道路からの逸脱が検知されると、自動的にベルトが締め上げられる
道路からの逸脱が検知されると、自動的にベルトが締め上げられる

ボルボ社の安全担当上級技術スペシャリストのロッタ・ヤコブソン博士は、「クルマの安全性は、安全テストに合格したり安全性評価で高い得点を得ることが目的ではありません。事故と負傷が発生する理由や経緯を明らかにし、それを防ぐ技術を開発することが重要なのです」と語っている。

この「ランオフ・ロード・プロテクション」で重要な機能はセーフ・ポジショニング機能だ。道路からの逸脱をいち早く検知し、クルマが停止するまで運転席と助手席のシートベルトを強く締め付け、乗員を適切なポジションに固定する。また、道路から逸脱したクルマが勢いよく着地する時には前後方向の強い力が加わるため、シートフレームに設けたエネルギー吸収機能が、衝撃を1/3にまで低減し脊椎損傷のリスクを抑制する。

もちろん、こうした道路逸脱を未然に防止するため、車線の逸脱、路肩の段差やガードレールを検知してステアリングに修正トルクを発生するレーンキーピングエイドも備えている。またドライバーアラート・コントロールも備え、ドライバーの疲労や不注意を警告し、最も近い休憩エリアをガイドするレスト・ストップ・ガイダンスも備えている。

◆交差点右折対応の自動ブレーキ
交差点で右折しようとした時、対向車線で直進してくるクルマとの衝突の危険を検知し、自動ブレーキを作動させる世界初のシステムも搭載している。衝突の危険が検知されると自動ブレーキが介入し、衝突を回避、あるいは衝突被害を軽減する。

交差点右折対応の自動ブレーキ
交差点右折対応の自動ブレーキ

これら以外に、後方からの追突時に乗員を保護するプリクラッシュ・プロテクションも備えている。レーダーにより後方からの追突の危険を検知するとシートベルトが締まり、テールライトが点滅、さらに自動ブレーキも作動する。またシートは後部衝撃吸収リクライニング機構を備えている。

新型XC90は、ロールスタビリティコントロールも装備している。車両が横転する危険性を検知すると、エンジントルクを抑制し、同時に1本以上のホイールに自動ブレーキが作動し、横転エネルギーを拡散するようになっている。横転が避けられない場合はカーテンエアバッグが自動展開し、3列シートのすべてを長時間カバーするようになっている。なお7座席のシートベルトはすべて点火式プリテンショナー・ベルトを装備し、横転時にこれらが作動する。

◆進化した自動ブレーキ
新型XC90には、より進化した自動ブレーキシステムが装備される。クルマはもちろん、歩行者、自転車、大型動物を検知し、危険な場合はドライバーに警告し、さらに自動ブレーキが作動する。危険物を検知するカメラが大幅に高感度、高性能となり、夜間でも問題なく作動する。

進化した危険回避自動ブレーキ進化した危険回避自動ブレーキ
▲夜間でも歩行者を検知し危険回避の自動ブレーキが作動

進化した危険回避自動ブレーキカメラ&レーダー
▲横からの飛び出しにも対応     ▲高感度・高精度のカメラとレーダーを組み合わせる

道路標識の捕捉とデジタルディスプレイへ道路標識を表示する性能も向上。より多くの種類の道路標識や補助的標識も表示させることができるようになっている。

ブラインドスポット・インフォメーション・システムは、ドライバーの死角にあるクルマや後方から高速で接近するクルマをドライバーに警告する。

渋滞走行時には、先行車に全車速追従を行い、アクセル。ブレーキに加え、ステアリングが自動制御され、自動運転状態になる
渋滞走行時は先行車に全車速追従を行ない、アクセル、ブレーキに加え、ステアリングが自動制御され自動運転状態になる

◆渋滞アシスト機能
渋滞時、先行車に自動追従する機能で、この場合はアクセル、ブレーキに加え、ステアリングが自動操縦される。つまり渋滞走行時は従来は加減速のみの機能であったが、自動操舵が追加され、自動運転と同等の状態になる。

◆車体強度の飛躍的な向上
新型XC90は、新世代プラットフォーム「SPA」を採用するとともに、最高の強度を誇る熱間圧延鍛造ボロン鋼を大幅に採用している。キャビンの骨格のすべてはこの材料が使用され、その使用量は車体重量の40%に及ぶ。ホットプレスのボロン鋼材をこれほど多量に使用したクルマは未曾有である。

新世代のプラットフォーム「SPA」を採用し、ボディ重量40%に熱間圧延成形のボロン鋼を採用
新世代のプラットフォーム「SPA」を採用し、ボディ重量40%に熱間圧延成形のボロン鋼を採用

 

ボルボカーズ公式サイト

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