ボルボ「XC60」 誰もが納得の高級な見た目、乗り心地、走りのXC60D4試乗記

マニアック評価vol590
2017年10月にフルモデルチェンジをしたボルボ「XC60」に、ディーゼルモデルが導入され試乗してきた。プレミアムモデルのXC60のガソリン車に試乗した時、驚かされたのは、その驚異的とも言える静粛性だとレポートしている。今回はディーゼルエンジンの搭載車なので、そのあたりはどうなのか?早速お伝えしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

ボルボ XC60D4 試乗 フロントスタイル
XC60は全車AWD。今回2.0Lディーゼルターボが導入された

ボルボXC60はいずれもAWDでFFの導入はしていない。今回のディーゼルXC60D4もAWDで、試乗車はトップグレードのインスクリプションだった。XC60にはガソリンエンジンの出力違い2機種、T5とT6があり、T5の試乗レポートはお伝えしている。また、すでに導入しているプラグインハイブリッドモデルのT8があり、今回のディーゼルを加え、パワートレーンの選択肢が増えたことになる。
※参考:ガソリン車のレポート(ボルボXC60試乗記 ジャーマンスリーをガチライバルとする新型ボルボXC60)
XC60テクノロジー解説(ボルボ スカンジナビア・デザイン、上質さをアピールするプレミアムSUV「XC60」解説)

ボルボ XC60D4 試乗 給油口 アドブルー 尿素SCR 注入口
尿素SCRアドブルーで排ガスが処理される

■試乗レポート

プレミアムブランドであるボルボの魅力の一つにスカンジナビアン・デザインがある。エクステリア、インテリアともに、独特のセンスが光り、魅力を放っている。XC60D4のインテリアは、センターコンソールの背が高く、これはPHEV用のバッテリー格納のスペースと思われるが、これが、ドライバーズ・シートの、囲まれ感を演出しており、ドライバーズカーとしてのXC60の側面を感じさせる部分でもある。

ボルボ XC60D4 試乗 コックピット
センターコンソールの位置が高いが、ドライバーズカーとしての印象づけになる

また流木を使ったドリフトウッドのパネルの手触りが良く、クルマのインテリアでは触れたことのない触感は、刺激的でもある。また見た目にも好ましく、メタルの使い方もセンス良く使われていると思う。また、ナビゲーションモニターがタテ長デザインというのも斬新で、常識を覆すデザインセンスも感じられる。

ボルボ XC60D4 試乗 コックピット ドリフトウッド
U字型でダッシュボードの下端を取り巻くのにドリフトウッドを使用。手触り新鮮

メーターパネルはフルデジタルで、ドライブモードによって表示内容が変化するが、ありがちな稚拙な表示ではなく、大人に相応しいデザインで表示されるのもいい。そして試乗車にはヘッドアップディスプレイも装備され、地図ナビゲーションはもちろん、標識の認識が可能なので制限速度の表示など安全運転にも寄与する装備がある。

ボルボ XC60D4 試乗 フルデジタルメインメーター
フルデジタルのメーター。表示デザインがアニメライクでなく男前だ

言うまでもないが、ボルボは先進安全装備を全車標準装備としており、日進月歩の技術だけに最新のモデルには最新の安全装備が備わっている。そしてレベル2の運転支援技術ではACCがボタン一つのワンアクションで設定でき、速度設定、車間距離設定も非常に簡単に設定できるようになっていた。

■操舵フィール

運転席からの眺めはコマンドポジションで、見下ろし感のあるポジションだ。高級車系の中でもドライバーズカーを前面に出すBMWとは違い、レンジローバー系のSUV的ポジションに分類されると思う。この見下ろし感のあるドライビングポジションは征服感も味わえるわけで、高級SUVに相応しい一面でもある。

ボルボ XC60D4 試乗 サイドビュー
全長4690mm、ホイールベースも2865mmとDセグメントサイズとほぼ同等の堂々とした大きさ

ステアリングの操舵フィールは軽く、高級車らしいフィーリングで、全長4690mm、全幅1900mm、全高1660mm、ホイールベース2865mmという、ほぼDセグメントサイズの大きさを感じさせない軽快感がある。また、試乗車にはパノラマサンルーフが装備されていたこともあるが、視界が広く、相当に爽快感が高い印象だった。

ボルボ XC60D4 試乗 インテリア フロントシート
座った感じではコマンドポジションで、見渡しは見下ろし感のある見え方

そしてステア応答は素直で、ドラポジの高さからくるゆったりとした印象はあるものの、応答遅れなどなく、ちょうどいい操舵フィールだと思う。ワインディングでも良く曲がる、という印象でハンドルを切り、さらに切り足してアクセルを踏んでもアンダーにはならず、ステア方向にグングンと回頭していくので、動きはイマドキのドライバーズカーでもある。また、高速道路での車線変更では収まりが良く、ドラポジが高いモデルには、切り戻しがありがちだが、そうした応答遅れも全くなく、すんなりと車線に収まる。そして直進の座りもよく安心感も強いと感じる。

ボルボ XC60D4 試乗 リヤスタイル
ワインディングも軽快に走り抜ける愉しさがある

■乗り心地

試乗車はエアサスペンション仕様のインスクリプションで、NVHにおいて非常に好ましい仕上がりと感じた。冒頭に記載した静粛性でも、ディーゼルであるネガが微塵もない。驚異的と言える静粛性はディーゼルエンジン搭載モデルでも受け継がれており、個人的にはこのXC60D4がベストチョイスと言いたくなる。

ボルボ XC60D4 試乗 ラゲッジスペース
余裕のラゲッジスペース。SUVとしてのユーティリティ性も高い

もちろん、走行フィールは滑らかで滑るように気持ちよく走り、ハーシュネスの性能も素晴らしくいい。関東近辺でもっともハーシュネスの厳しいであろう西湘バイパスの路面の継ぎ目でも、『嘘だろう?』というほど滑らかにいなしていくのだ。また料金所からの加速でもディーゼルのゴロゴロした音がせず、わずかにエンジン音はするものの、ディーゼルなのかガソリンなのか、判別できないレベルの静粛性がある。それにもかかわらず、ディーゼルらしい力強い加速感があり、トルクフルに車速を上げてくれるのだから申し分ない。

ボルボ XC60D4 試乗 センターコンソール 8速ATセレクターレバー
大人っぽい印象で車格にあったセンス。ミッションは8速AT

トランスミッションは8速ATを搭載しているが、面白い状況も発見した。100km/h走行時8速にシフトされ、エンジンスピードは1600rpm。これが80km/hになると7速となり回転は同様に1600rpmとなる。が、90km/hで走行すると8速にシフトされるため、回転が1400rpmとなるのだ。空気抵抗があるので、何とも言えないが80km/h走行より90km/h走行のほうが燃費はいいかもしれない。

ボルボ XC60D4 試乗 センターコンソール収納スペース
センターコンソールのふたを開けたところ

■まとめ

意のままに走れるというドライバビリティだけではなく、高級車には欠かせない静粛性や乗り心地の優雅さも備わり、ボルボブランドはいま大きく羽ばたいていることを感じる。ひとクラスボディサイズの小さいXC40は現在世界中で大人気となり、国内ではすでに年内の販売予定台数を完売しており、このXC60も納期が遅れているという。それだけ多くの人にこの価値観が伝わっているわけで、このディーゼルモデルも品薄になるのは間違いないだろう。

ボルボ XC60D4 試乗 センターコンソール スタータースイッチ ドライブモードスイッチ
スタータースイッチとドライブモードスイッチのデザインは凝ったカットの加工が素敵だ

最後にプラス30万円のエアサスペンションだが、この高級な乗り味はエアサスがベストマッチだと思う。ドライバーズカーの要素を求めるならコンベンショナルなサスペンションも良いが、車格に見合っているのはエアサスペンションのほうだ。

■価格

ボルボ XC60D4 試乗 価格表

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