ボルボは2014年モデルとして、全8モデルのうち6モデルがフェイスリフトを行ない、過去最大規模の変更と改良を実施した。特に先進安全装備の進化とデザインを一新させたものが中心で、あらたにグレード追加となったモデルもある。変更が行なわれたモデルはS60、V60、XC60シリーズ、それにV70、XC70、S80、XC90の6モデルになる。そのうち、S60とV60に試乗できたのでそのレポートをお届けしよう。
まず60シリーズの試乗の前に、ボルボの最大のセールスポイントである先進の安全装備について触れておこう。ボルボの安全装備は、既報の記事でレポートしているように、サイクリスト検知機能が加わり、より安全性が高められている。ボルボは現在、レーダー、レーザー、カメラを利用した障害物検知機能を持ち、2020年までに新型のボルボ車に関わる事故による死亡者、重傷者をゼロにするという壮大なビジョンに向かって最大限の努力をしている。今回から採用されたサイクリスト検知機能は、ボルボ独自のアドバンテージといえる。
さて試乗したS60、V60は、イヤーモデルとしての変更は、主にフロントフェイスに集中している。Aピラーから先が一新され、ボンネットの2本のキャラクターラインはよりエッジの効いたデザインに変更。グリルはワイドに大型化され、水平基調のクロームバーが配されている。グリルセンターのボルボマークも大型化され、ヘッドライトも新設計されている。ロアインテークなども水平基調のデザインが取り入れられ、全体的にワイド&ローの印象となるように変更されたのがポイントとなる。
デザイン全体のテイストは元デザイン責任者のピーター・ホルバリー氏が主導したアグレッシブで個性的なデザインを、エレガント方向にやや軌道修正した感じだ。
また、S60には新たにSEグレードが追加されている。S60 T4 SEは車輌本体価格409万円でエントリーモデルのT4(379万円)とトップグレードT6 AWD(539万円)との中間に位置するグレードとなる。搭載するエンジンは1.6Lターボ+6速ギヤトロニックで、フォードエコブースト・エンジンにゲトラグ製のツインクラッチを搭載している。180ps/240Nmというスペックに、今回ようやくパドルシフトが装備されることになり、よりスポーツドライブが楽しめるようになった。
■走りはBMW3シリーズと競合できるハイレベルさ
このモデルは1540kgの車重でとりわけ軽量でもないが、ワインディングを走行すると、とても軽快に走る。BMW3シリーズの走りと競合するレベルだと思う。エンジン自体で比較するならば、BMW320iや328iに搭載する2.0Lターボより軽快な印象を受ける。もちろん、排気量の分、出力でも差があるのだが、レスポンス良くシフトチェンジしていくので、遜色なく感じるのだ。
ハンドリングのレベルも高く、アンジュレーションの強い場所での高速コーナリングでもステアリングを保持していれば素直に駆け抜ける。ボディ剛性の高さもあり安心感の高い操縦安定性を示す。エンジン音も程よく聞こえるレベルに抑えられており、プレミアムクラスのレベルの走行フィールだと思う。
インテリアも新設定のSEには本革スポーツシートが装備され、レザー巻きステアリングや随所に使われる艶消しシルバーの加飾など、全体的に高級感があるインテリアに仕上げられ好印象だ。
■T6 AWDは高級感のある速さが身上
V60の試乗車はT6 AWDで、ボルボ独特の直列6気筒横置きレイアウトを持つAWDモデルだ。こちらは60シリーズでトップグレードに位置するモデルで、高級感たっぷりのインテリア、走りだった。同じ60シリーズかと思えるほどキャラクターがはっきりしており、重厚な乗り味になっているのだ。
排気量もT4 SEの倍にあたる3.0Lターボで、それに6速ATという組み合わせ。直列6気筒は滑らかに静かに回転する。そのため静粛性が高く上質感へと繋がる。304ps/440Nmは低回転でも太いトルクがあるため力強く、ヒステリックにエンジンを回す必要など全くない。235/45-18インチサイズでも乗り心地も良く、上質なレザーシートにみを包まれていると心地よくなる。試乗車はホワイトとグレーとのツートーンステアリングにホワイトレザーシートという組み合わせで、派手さもありながらウッドパネルも上手く組み合わせ高級感へと繋がる。
箱根の急勾配も楽に登り、余裕ある走行が楽しめた試乗だった。
■ボルボV60エンジンスペック(T4, T4 SE, T6 AWD)
■ボルボV60主要諸元(T4, T4 SE, T6 AWD)
■ボルボS60エンジンスペック(T4, T4 SE, T6 AWD)
■ボルボS60主要諸元(T4, T4 SE, T6 AWD)