ボルボ・カーズは2023年11月12日、新開発されたEVのプレミアムMPV(ミニバン)「EM90」のワールドプレミアを行なった。なお、「EM90」は吉利(ジーリー)汽車との共同開発で、浙江工場で生産される。
中国では受注が開始され、その価格は81万8000元(現在の為替レートで1700万円)となっており、中国の富裕層にターゲットを合わせている。競合モデルはレクサスLM、メルセデス・ベンツ EQVなどだ。
■ コンセプトと車両概要
EM90は、動く快適なリビングルーム、大切な人々の特別な快適な空間としてデザインされているが、単にラグジュアリーというだけでなくボルボらしいスカンジナビア・デザインを採用し、同時に最先端技術、最新の安全性能が盛り込まれている。
フロントマスクは、ボルボで初めて採用されたイルミネーション・ロゴを含む、イルミネーション・フロントとなっている。超高層ビルや最先端の没入型アートにインスピレーションを受けたフロントは、LEDを駆使し、光の点滅によりハイテクで精巧さを感じさせるデザインだ。
EM90に搭載された先進運転支援システムは、高度な中央コンピューターと、高解像度カメラ、サラウンドビューカメラ、ミリ波レーダー、超音波レーダーを備えた全方位センサーセットによって構成されている。
中央コンピューターはクアラコム社製のスナップドラゴン・コックピット電子プラットフォームを搭載し、車載通信モジュールは5G接続が可能になっており、最先端のインフォテイメントを体感することができる。
また、音声アシスタントにより、対話によりクルマとつながることができ、ドライバー用の15.4インチのインフォテインメント・スクリーンでは、最新のボルボのアバターが映し出すこともできる。
一方、天井の格納式の後席用の15.6インチの高精細ディスプレイは、家族向けのエンターテインメントを楽しみたいときや、仕事のビデオ会議にカメラ付きで参加する必要があるときにも、いつでも展開して使用できる。このスクリーンは、モバイル画面投影やさまざまな外部アプリにも対応している。またこのディスプレイは、インフォテイメント・システムとして構成され、スイッチに触れるか、音声アシスタントに伝えるだけで、後部座席を簡単に映画館や会議室、ベッドルームに変えることができ、スクリーン、シート、窓、エアコン、照明はすべてそれに応じて自動調整されるようになっている。
またオーディオもバウアーズ&ウイルキンスのハイエンドのサラウンド・オーディオを備え、コンサートホール並みの音質を実現している。
■ ボディEV性能
EM90のボディサイズは、全長5206mm、全幅2024mm、全高1859mm、ホイールベース3205mmのFセグメントのフルサイズである。プラットフォームは「SEA-1」と呼ばれるEV用プラットフォームを採用。ボディはリヤはスライドドアを備える5ドア構成で、3列シート/6人乗りとなっている。
リヤアクスルに272ps/343Nmを発生する駆動モーターを含むe-アクスルによる後輪駆動で、0-100km/hは8.3秒。
搭載するバッテリーはCATL製で容量は116kWh。航続距離は中国基準モードで738kmとなってる。また高出力の急速充電にも対応している。
EVであるため、特に静粛性は徹底的に追求され、優れた遮音性能とロード・ノイズ・キャンセレーション・テクノロジーによりかつてない静かなキャビンを実現。またサスペンションはデュアルチャンバー式エアサスペンションと静音タイヤにより、EM90の乗り心地は高いレベルに仕上げられている。
なお、日本への導入は現時点では未定である。