2015年1月23日、ボルボはスウェーデンのスポーツギアメーカー、POCと通信会社のエリクソンと共同でドライバーとサイクリストの相互通信ができる安全技術を開発。ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市CESで初公開した。また3月2日~5日にバルセロナで開催されるMWC(モバイル・ワールド・コングレス)でも公開される。
このシステムはクルマと相互通信可能な自転車用ヘルメットで構成され、互いの距離が接近するとドライバー、サイクリスト双方に警告が発せられ、衝突の回避を促す。クルマと自転車の相互通信を利用した安全技術の開発は、自動車メーカーとしては初の試みだ。
ボルボは、走行中の自転車を検知でき、危険が迫ると自動ブレーキが作動する、サイクリスト検知機能付き危険回避システムを搭載しているが、今回発表された技術はその延長線上に位置付けられる。世界における自転車人口は増加しており、ヨーロッパでは自転車通勤というスタイルも多くなってきている。その結果、自転車による人身事故も増加傾向にある。そのため、ボルボとPOCはクルマ対自転車の対策を考案したのだ。
POC社はスウェーデンのアスリート向けスポーツ用品メーカーで、素材の組合わせや構造等の特許を取得し、アスリートの体を保護する雪山用や自転車用のウエアやゴーグルなどの用品を発売している。
今回発表された技術は、ボルボ、POC、通信/IT技術のエリクソンというスウェーデン企業が連携して開発されている。
開発された技術は、スマートフォンのアプリを使用し、ボルボのクラウドを通じて自転車とクルマのお互いの位置を共有することができるというもので、ITS技術でいうV2Bの技術に当たる。そして事故の危険が迫っているる場合はクラウドから双方に警告が送られる。自転車は曲がり角や別のクルマの陰にいる場合はボルボのヘッドアップディスプレイに警告が表示され、サイクリストにはヘルメット型ヘッドギヤに装備された警告灯と振動により警告が行なわれる。
この技術は、衝突しないクルマを作るというボルボのビジョンに沿ったもので、クルマと自転車の間に生じる死角をなくし、衝突を回避するテクノロジーの実用化の一つであり、今後もクラウドベースの様々な安全システムの検証、開発を続けるとボルボのクラス・ベンドリク副社長は語っている。