ボルボ 自動車の歴史を変えたアマゾンが60周年を迎える

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クルマに乗ると当然のように装着するシートベルト。万が一の事故のときなどに、身を守ってくれる大切な安全装置のひとつです。今では当たり前のように使用していますが、世界で初めて3点式シートベルトを装備したクルマをご存知でしょうか?

それは今から60年前に北欧の地で誕生しました。1956年9月、スウェーデンのエレブルーでボルボが新型4ドアモデルを公開。それが今でも名車として語り継がれているAmazon(アマゾン)で、世界的に高く評価されているボルボの安全性はここからスタートしたのです。

実際に3点式シートベルトが採用されたのは、アマゾン公開から3年後の1959年。まだ安全装備がそれほど重要視されていなかった時代に、ボルボは世界に先駆けて特許を取得した3点式シートベルトをアマゾンに標準装備しました。この画期的なシートベルトによって、これまでの57年間に100万人以上の命が救われたと推定されています。

アマゾンはボルボの歴史を語る上でなくてはならない存在ですが、それ以上に世界の自動車史にその名を残す偉大な1台となったのです。

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また、アマゾンの魅力は安全性だけではありません。そのエレガントな風貌は、ボルボのルックスに関するそれまでの一般的な認識を大きく覆すものでした。イタリア、英国、そして米国のデザイン的特徴を取り入れたフォルムは、美しくて魅力的で、その美しさは未だに色あせていません。

このデザインを担当したのはヤン・ウィルスガールドで、若干26歳のときでした。彼はこれ以降、ボルボのデザイン部門を長年にわたり指揮しており、140や240、700シリーズを手掛けるとともに、800シリーズのパーツもデザインするなど、ボルボの重要なモデルを生み出してきました。そのヤン・ウィルスガールドは、先日86歳で生涯に幕を下ろしています。

ちなみに、アマゾンはギリシャ神話の女性戦士(Amazons)に由来して「Amason」と名付けられましたが、グローバルな販売も視野に入れて生産を開始する1957年に「Amazon」に変更。しかし、オートバイメーカーであるドイツのクライドラー社が「Amazone」という原動機付自転車を発売していたため、主要な市場ではこの名前を使用することができませんでした。

北欧市場ではこのボルボをアマゾンと呼ぶことで合意が成立しましたが、世界のその他の地域では、標準モデルが121、スポーツモデルが122、標準エンジンを搭載したエステートモデルが221、スポーツエンジンを搭載したエステートモデルが222と呼ばれました。しかし、60周年を迎えようとする現在では、このボルボは世界中でアマゾンと呼ばれ、親しまれています。

Volvo 221 Amazon
Volvo 221 Amazon

アマゾンのモデルライアフを振り返ると、デビュー時は1.6LシングルキャブのB16型エンジンを搭載しており、生産開始の翌年1958年には、SUツインキャブレターを備えた最高出力85psエンジンを搭載するアマゾンスポーツをリリース。1962年には、アメリカ由来の水平分割式テールゲートを備えたエステートバージョンを導入しています。

1962年には、アマゾン史上もっともスポーティな123GTを追加。このモデルには、1800Sのエンジン(最高出力115ps)が搭載され、オーバードライブ機構も備えていました。1969年モデルでは新型のB20エンジンが投入され、排気量が増大したことでトルクと出力がアップしています。

こうして1970年にモデルライフの幕を下ろしたアマゾンですが、1956年の公開からの14年間で66万7791台が生産され、当時もっとも生産台数の多いボルボ車となりました。アマゾンは、ボルボの視点を国内市場から海外市場へ移行させたため、アマゾン全生産台数のうち60%がスウェーデン以外で販売されました。

Volvo 121 (Amazon)
Volvo 121 (Amazon)

『ボルボ アマゾンについてあまり知られていない10の事実』
1.スウェーデンで販売された約29万7000台のアマゾンのうち、約8%がいまだ現役。もっとも一般的なのは1966年モデルで、今でも4804台が登録されている。スウェーデンでは合計2万4282台のアマゾンが現在でも登録されている。

2.ニューヨークの広告制作者のアミール・ガルガノは、ボルボがほとんど何にでも耐えることができるという結論を出し、これをブランド独自のセールスポイントとした。広告映像では砂利道を激しく走るアマゾンを映し出し、クライマックスでは「あなたは怒りをぶつけるようにこの車を走らせることができます。心理療法より安上がりです」という今日では考えられないような明快なメッセージを示した。

3.米国の元国務長官のコリン・パウエルは、1966年のアマゾン・エステートを含む数台のクラシックボルボを所有。1993年に彼が統合参謀本部議長のポストを離れたとき、ビル・クリントン大統領とアル・ゴア副大統領から、すぐレストアが必要なアマゾンが贈呈されている。

4.アマゾンには、トラック用のV8を進化させたエンジンを搭載する計画があった。5台のプロトタイプが製造されたと言われているが、最終的にボルボの経営陣はV8がアマゾンには適さないと判断。6気筒バージョンがなかったことを考えると、4気筒からV8への飛躍はあまりにも大胆な挑戦だといえる。

5.カナダのハリファックスにあるボルボの組み立て工場で製造されたアマゾンは、ボルボ・カナディアンの名前で市場に投入された。

6.アメリカのウォーターゲート事件を映画化した「大統領の陰謀」で、ロバート・レッドフォードが演じるワシントンポストのリポーター、ボブ・ウッドワードは、ホワイトのアマゾンに乗っていた。

7.スウェーデン警察は、市販の普通車にも装着される装備をボルボと共同開発。警察車両では、ディスクブレーキ、ブレーキアシスト、ラジアルタイヤが市販車よりも数年早く装着されているが、この他にも警察仕様のアマゾンにはリアウインドウファンが装備され、ステアリングホイールの横にはフロントウインドウクリーナーとフロントウインドウワイパーの最速設定を接続するスイッチが備わっていた。

8.1963年のジュネーブモーターショーのカタログに、ベルギーのコーチビルダーのジャック・クーンが製作したボルボ122Sカブリオレが掲載されている。それは市販車のようだったが、造られたのはわずか4台。さらに、ボルボはこの製造に関与していなかった。

9.ボルボのファクトリードライバーのカール=マグナス・スコフは、122Sをドライブしてギリシャのアクロポリスラリーで1965年に優勝している。

10.アマゾンによってモデルレンジが拡張されて、ボルボは1958年にスウェーデンのベストセラーブランドの地位を取り戻した。それ以来この地位を維持している。

ボルボの中古車情報は
ボルボ公式サイト

COTY
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