2013年9月10日、ボルボはフランクフルトモーターショーで、新たな可能性に挑戦する流麗な「コンセプト クーペ」と、自社開発した次世代の高効率4気筒エンジン「Drive-E」を初披露した。
■コンセプト クーペ
「コンセプト クーペ」について、製品戦略担当・副社長のレックス・ケールセンメーカー氏は「我々は革新的な技術とエモーショナルなデザインに歴史的なDNAを融合させた、新たな商品構想を発表しました。すべての部分は新設計で、合理的であると同時にボルボのスピリット、情熱を注入したクーペです」と語っている。
「コンセプト クーペ」は構想されている3台のコンセプトカーの第1弾にあたる。これらのコンセプトカーはボルボの新たなデザインの方向性を明確に示す役割を担い、来年登場するボルボの新型XC90の導入へと繋がるのだ。
「コンセプト クーペは、人々の期待に応えるべく新たなアーキテクチュア、すなわち安心感のあるスカンジナビアンならではの佇まい、洗練された卓越したデザインとし、カテゴリーの異なる新型XC90にもそのデザイン手法は採り入れます」とデザイン担当副社長のトーマス・インゲンラスは語る。
「コンセプト クーペ」が、かつての名車、P1800にインスパイアされていることは間違いないが、ボルボの新たなデザインコンセプトを具現化している。同時に他のメーカーの興奮や刺激を求めたデザインとは異なり、スカンジナビアン・デザインらしく静謐で信頼感に満ち、その上に官能的な要素を融合させているという。このクーペのプロポーションの美しさはサイドビューに象徴されるが、特にAピラーの位置とフロント・アクスルの距離が従来より延長され、グリーンハウスも全体に後退しているのがポイントだ。
また低いボンネットやルーフライン、大径の21インチホイールなどによりエレガントなGTらしさが感じられる。フロントグリルはフローティングタイプで、横T字形のデイランニングライトが新たにデザインされている。
なお、この「コンセプト クーペ」は新開発された2.0LのDrive-Eガソリンエンジンとリヤにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドとされている。Drive-Eはスーパーチャージャー+ターボを備えて、さらにモーターアシストを加え、400ps、600Nmの出力を発生するという。
■Drive-E
「Drive-E」はボルボが開発した低フリクション・高効率な次世代ダウンサイジング・エンジンの総称だ。ベースは2.0L・4気筒エンジンで、高効率かつ大出力を両立させるコンセプトだ。そのため、最上級仕様にはスーパーチャージャー+ターボチャージャーを組み合わせて採用している。パワーはベース仕様が140ps、高出力版は300ps以上で、そのトルクはV8エンジンに匹敵するという。また、4気筒としたことでプラグインハイブリッドなど、電動システムとの適合性も備えている。このエンジンが従来のT4、T5、T6エンジンに置き換えられることになる。
最初のガソリンエンジン3種類が今秋から既存モデルに搭載され、続いてディーゼルエンジンが登場する。このディーゼルは世界初のi-Artテクノロジー、つまり気筒別の精密噴射圧制御を採用し、燃圧は2500バール、2ステージ・ツインターボを装備する。このディーゼルは120psと230psの2タイプがラインアップされる。
またこの新エンジンに合わせてトランスミッションも新開発され、アイシン製8速ATと6速MTが組み合わされることになっている。