【ボルボ】2014年モデルを発表 全モデルのデザインチェンジ 「自転車検知機能付きフルオートブレーキ」採用

新型V60の前でサイクリスト検知機能をアピールするボルボカー・ジャパンのアラン・デッセルス社長

ボルボカー・ジャパンは、2013年8月27日に同社の2014年モデルを発表。ボルボ60シリーズ(S60、V60、XC60)、V70、XC70、S80のデザイン、装備などを変更するボルボ史上最大規模の変更・改良マイナーチェンジを実施し、さらにXC90の一部仕様を変更し、同日から販売を開始した。

■自転車検知機能付きヒューマンセーフティ
ボルボの各モデルは、市街地での衝突回避・軽減自動ブレーキとして働く赤外線レーザーレーダー式「シティセーフティ」を標準装備し、オプション、または標準でミリ波レーダーと高解像度カメラを組み合わせた広範囲なドライバーアシストシステム「ヒューマンセーフティ」を設定しているが、今回の改良により「シティセーフティ」は50km/h(従来は30km/h)未満の速度域で最終段階では0.8Gの自動ブレーキにより相対速度差4~15km/hで追突を回避し、15~50km/hでは衝撃軽減を行なうようになっている。

より高機能な「ヒューマンセーフティ」は、マルチモード・レーダー、カメラを使用し、歩行者検知機能付き追突回避・被害軽減自動ブレーキシステムだが、2014年モデルからは新たにサイクリスト(自転車)を検知する「サイクリスト検知機能」が加わった。その概要はすで掲載しており、その予告通り2014年モデルから採用されることになった。

前方を走行する自転車をセンサーが検知
 ボルボ本社の安全センター上席マネージャー、ヤン・イバーソン氏

 

そもそも、「ヒューマンセーフティ」は、レーダーでは把握できない歩行者をカメラで認識する高い機能を備えているが、クルマの周囲を走行する自転車の検知は高解像度カメラを使用しても検知の難易度が高く、これまではボルボのみならず他社のドライバーアシストシステムでも検知は不可能だった。ボルボは、従来から装備している赤外線レーザーレーダー、高解像度カメラ、ミリ波レーダーで構成されるセンサーシステムを使用した制御アルゴリズムを進化させ、車両の前方で車両と同じ方向に走っている自転車を検知できるようにし、自転車が突然車両の進路内に入ったような場合で自転車との衝突が避けられないとECUが判断すると、ダッシュボード上のLEDライトとブザーによる警告を行い、ドライバーが操作しない場合は自動で最大1.0Gのフルブレーキを作動させ、追突を回避または軽減する機能としている。

システムの警報・自動ブレーキが作動する条件は、50km/h以下で走行する自分の車両と同一方向に走る自転車の速度が15km/h以下の場合は最大1.0Gの自動ブレーキにより衝突を回避し、15km/h以上の場合は被害軽減できる。なお走行する自転車は80km/hまで検知できるという。自転車の検知は、レーダーにより一定距離での障害物を把握し、カメラで障害物の形状を判別するというもので、障害物が自転車であることを最終判定するために自転車の後方反射板が地上から70cm程度(つまり大人用自転車)に装備されていることも条件となる。つまり、赤外線レーザーレーダーで自転車の後方反射板を検知することが最終判定条件となっており、3種類のセンサーをフル活用していることがわかる。

赤いライトは自転車と接近していることを警告発光。ブザーによる警報も。ドライバーのブレーキ操作が遅れると自動ブレーキが作動

従ってこの機能は車両と正対する自転車や、車両の前方を横切る自転車にはシステムは反応しない。しかし、狭い道路で後方を全く確認してない、よそ見、あるいは携帯電話で通話中といった自転車の予期しない進路変更などには、きわめて有効な画期的なドライバーアシストシステムといえる。なお、この新「ヒューマンセーフティ」は、XC90以外のボルボ全車に装備できる(S80はヒューマンセーフティが標準装備)。

2014年モデル。左からS60 ,V60、XC6。グリル、ヘッドライト、ボンネットの変更でエクステリアのイメージを一新

■S60/V60
2011年に発売されたスポーツセダン/スポーツワゴンのS60/V60はデビュー以来初となるエクステリアの大幅変更を行なった。また、新たに「T4 SE」グレードを追加設定した。エクステリアは、従来のアグレッシブさを重視したデザインから、プレミアム&エレガント方向にシフト。新デザインのヘッドライト、ワイドで大型のフレームレス・フロントグリル、水平クロームトリム、フロントバンパーの低い位置に配置されたLEDポジションライトなどの新採用によりエレガントでクリーンな表情と低く構えたスポーティなプロポーションとなっている。

ボンネットは伝統的なVシェイプを強調したプレスラインの新ボンネット形状を採用。リヤバンパーはボディ同色部分の面積を拡大。新色としてクリスタルホワイトパール、ブライトシルバーメタリック、パワーブルーメタリックを設定している。

インテリアは新デザインのシフトノブ、ステアリングホイール・ヒーターを新設定。またV40に先行採用されていた「デジタル液晶メーターパネル(Elegance、Eco、Performanceの3モード選択式)」を60シリーズでも採用した。

V60
フロントマスク、ボンネット、ヘッドライトを一新

 

 

セーフティパッケージには、新たにフルアクティブ・ハイビームが追加されている。このシステムはカメラを利用し、対向車のヘッドライトや先行車のテールライトを検知し、ハイビームの状態で走っている際に、ヘッドライト内部のシェードを制御することで、その対向車と先行車に向けられるビームの部分だけを遮光し、対向車や先行車のドライバーに眩しい思いをさせることなく、常にハイビームの状態で走行ができるシステムだ。

S60・V60 オプションパッケージ表

■XC60
クロスオーバーカー、XC60シリーズも新デザインのヘッドライト、ワイドなフレームレスのフロントグリルと水平ラインを強調したクロームトリムにより、ワイド感を強調。さらに、ヘッドライト下部にはXC60専用の縦型のLEDポジションライトを配置している。またボンネットもVシェイプを強調させた新ボンネットデザインに。ラインアップでは、「T5 SE」グレードが追加された。

エクステリアではバンパー、フロントグリル、ボンネット、ヘッドライト、ドアミラーのデザインを一新。ボディ下部をボディ同色にコーディネートし、テールゲートにクロームトリムを追加(T6 AWD)。その他では新デザインのアルミホイール、インテグレーテッド・デュアル・クローム・テールパイプを採用。テールゲート開口部下部にステンレスパネルを採用(T5 SE、T6 AWD)。新色としてクリスタルホワイトパール、ブライトシルバーメタリック、リッチジャバメタリックを設定。

インテリアではスポーツシートを設定(T5 SEレザー装着車、T6 AWD)し、メーターパネルは「デジタル液晶メーターパネル(Elegance、Eco、Performanceの3モード選択式)」を採用している。また新デザインのウッドパネルが採用されモダンウッド(T6 AWD)、アーバンウッド(オプション設定)の2種類が用意されている。

XC60 オプションパッケージ表

■V70
2007年のデビュー以来、快適性と高い安全性を備えたスカンジナビアン・ラグジュアリーカーとして熟成を重ねたプレミアム・エステートのV70はフロントグリル、フロントバンパー下部に新設された水平クロームトリムを追加し、エレガントさを強調。またグレード体系を見直し、従来のT4に代わるエントリーグレードとして、装備レベルを変更し新価格とした、T4 SEを新設定している。ボディカラーは新色としてクリスタルホワイトパール、ブライトシルバーメタリックを設定。

インテリアは「デジタル液晶メーターパネル(Elegance、Eco、Performanceの3モード選択式)」、「パドルシフト」を標準装備(T6 AWD)。新デザインのシフトノブ、ステアリングホイール・ヒーターを新採用している。

V70 オプションパッケージ

■XC70
エステートワゴンの機能性とSUVの走破性を備えたクロスオーバーモデルのXC70シリーズはハニカムパターンのワイドなグリル、大型アイアンマーク、新フロントスキッドプレート、新型XC専用クロームトリムを採用し、エレガントさダイナミックさを融合。またフロント/リヤバンパー、フロントグリル、テールライトのデザインを一新し、テールゲートにクロームトリムを採用。

インテリアは「デジタル液晶メーターパネル(Elegance、Eco、Performanceの3モード選択式)」、本革巻/シルクメタル・ステアリングホイール(3本スポーク)」、「パドルシフト」を装備。また新デザインのシフトノブ、ステアリングホイール・ヒーターを設定している。

XC70 オプションパッケージ

■S80
スカンジナビアン・ラグジュアリーとして熟成されるフラッグシップサルーンのS80は、ワイド感を強調する水平クロームトリムをフロントフェイスに採用。また、トップ・オブ・ザ・ラインとなる S80 T6 AWD Executive が新たに追加された。ボディカラーは新色としてクリスタルホワイトパール、ブライトシルバーメタリックを設定。

インテリアは「デジタル液晶メーターパネル(Elegance、Eco、Performanceの3モード選択式)」、4本スポークステアリング(S80 T6 AWD Executive)、3本スポークの本革巻シルクメタル・ステアリングホイール(S80 T6 Executive)を採用。またパドルシフト&新デザインのシフトノブ、ステアリングホイールヒーターを設定。

 

■XC90
7人乗りの広い室内空間と個性的なスカンジナビアンデザインが特徴のラグジュアリーSUV、VC90は装備と価格が見直され、トップ・オブ・ザ・ラインとなる XC90 3.2 AWD Executive がラインアップに追加された。 また、従来はパッケージ設定であったR-DESIGNがカタログモデルとして設定されている。ボディカラーは新色としてクリスタルホワイトパールを追加。

なお、V40シリーズは、ヒューマンセーフティのサイクリスト機能検知機能追加、ホイール選択幅拡大以外はラインアップ、装備ともに変更はない。

全シリーズに共通したコンセプトは、デザインの洗練とラグジュアリーテイストを強調し、プレミアムポジションとしてのメッセージを強めているといえる。ボルボの企業目標である2020年時点での死亡者、重傷者ゼロの実現のための安全システムの進化、さらには今年秋に登場が予想される革新的なダウンサイジングコンセプトの4気筒エンジン(ガソリン/ディーゼル)シリーズの開発など、ボルボの挑戦はまだこれからクライマックスを迎える。

 

ボルボカーズ・ジャパン公式サイト

COTY
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