【ボルボ】 ボルボ初のスポーツワゴンV60

マニアック評価vol46
ボルボV60はボルボ史上初の「スポーツワゴン」というネーミングで登場した。ボルボ=ステーションワゴンというほどイメージは定着しているが、よりスポーツライクにワゴンは変身して登場してきたわけだ。

ドライブイー_走り
ボルボV60

この変化の流れは国内導入が2009年のXC60の発売から始まっている。SUVという新たなセグメントを導入したのを皮切りに、従来からのステーションワゴンもスポーツワゴンへと変化しつつある。それはデザインだけでなく、先進技術のもふんだんに取り入れられ、中身の伴った進化をしている。その新型V60に試乗し、津々見友彦氏の話を交えながらチェックしてみよう。

新型V60は、先行して発売されているS60のスポーツワゴン版であり、パワーユニットをはじめ多くは共通のものを採用している。しかし、「ボディではBピラーより後方を専用に開発しているために、スポーツワゴンと呼ぶに相応しいデザインとすることができた」と解説してくれたのはボルボカーズプロダクトマーケティングの青山健氏である。セダンを流用したワゴンタイプの場合、その多くはボディ後端部を荷室化する手法が取られてきたが、V60ではよりデザインにもこだわっている証だろう。

最初に注目したのは、そのスタイリングである。真横から見たときに、ウインドウの絞られ方に目が行く。それはBピラーから後ろはセダンのS60とは明らかに異なったデザインになっている。つまり後席のサイドウインドウの面積が小さく、さらに荷室部分のサイドウインドウの絞込みのきつさはクーペのような、そしていかにもスポーティに走るという主張を感じる。そしてボディサイドにあるキャラクターラインは、ダブルウエーブウエストラインと名づけられ、低く、流麗に感じつつ力強さを表現しているという。

ドライブイー ドライブイー_横

正面からのビューでは、ヘッドライトの大きさやデザイン、グリル&開口部の大きさ、デザイン、そしてバンパーデザインなどが均整のとれたルックスとなって仕上がっている。特にバンパー下部左右にある開口部はワイドさも強調し力強い印象を与えている。

ドライブイー_正面

インテリアも当然セダンのS60と共通しており、その質感はクラストップレベルの上質さであり、スカンジナビアンデザインというドイツ車、フランス車とは違った印象のインテリアデザインとなっている。スポーツワゴンであるために、そのユーティリティが気になるが、シートアレンジとしてクラス初となる40:20:40という、3分割のリヤシートがその使い勝手の良さをイメージさせる。開発のポイントも「その多様性であり、いかに賢くスムーズに使えるかという点に注力して開発しました」と青山健氏のコメントである。

インテリア リアシート

装備のポイントとして注目なのは、やはり安全という観点からのオリジナルな先進技術である。それはレーダーやカメラを駆使したシティセーフティとヒューマンセーフティである。シティセーフティはXC60から採用されているが、障害物を感知し自動でブレーキをかけ、追突回避や衝撃軽減という働きを行うもので、V60、XC60、S60には全車標準装備されている。こういった安全装備が標準で装備されているというのは非常に高く評価されるべきだろうし、ボルボの安全にかける哲学を感じる。

シティセーフティ
V60に搭載されているシティセーフティ

また、歩行者を事故から守るという視点、さらに歩行者事故の現状分析を踏まえ、ヒューマンセーフティというシステムにも注目したい。これは、2010年の警察庁の調べで歩行者事故の割合は交通事故死亡者数全体の35%にあたるという。そしてボルボによれば、歩行者事故の半分は25km/h以下で発生しており、衝突速度を50km/hから25km/hに減速すると、致死率は8%から1%へ激減するデータもあるという。

ヒューマンセーフティ
歩行者事故を未然に防ぐヒューマンセーフティ

そこで、装備されたのがヒューマンセーフティであり、歩行者検知機能付追突回避、軽減フルオートブレーキで約1Gの減速Gを発生し、急減速できる装置である。これはミリ波レーダーとカメラで車両前方を監視、緊急時に警告音や警告ランプの点滅があるが、ドライバーが反応しない場合、自動的にフルブレーキングされる。35km/h以下であれば歩行者との衝突を回避し、それ以上の速度のときは衝撃ダメージを軽減する働きをするものだ。なお、このヒューマンセーフティはRデザインには標準装備され、それ以外にはセーフティパッケージという車両安全装置とのパッケージオプションとして設定されている。

エンジン&トランスミッションについてはS60と同様の組み合わせとなっており、ダウンサイジングコンセプトの1.6L直噴にターボチャージャー付きエンジンと湿式6速DCTが組み合わされたFFのドライブイーと、4WDで3.0Lターボに6ATの2モデルがあり、これにスポーツサスペンションなどを組み合わせたRデザインが加わり合計3モデルがラインアップされている。このグレード体系もセダンと同様となっている。

1.6L直噴ターボ
ドライブイーに搭載されている1.6L直噴ターボ

3.0Lターボ
T6 AWDに搭載されている3.0Lターボ

さて、試乗したドライブイーは「1.6Lとは思えないほどの低速トルクがあり、市街地での走行にストレスなく走れます。直進性においても安心感があり、頼もしい。小舵角での反応も適度で、ドイツ車にあるようなやや過敏ともいえる反応ではない」と津々見友彦氏。逆に大舵角時に回頭性が目立ったように感じた。それは、小舵角時には適度なロールが発生してからヨーが発生していたが、切り増ししていくとヨーモーメントのほうが強くあらわれ、コーナーをなんなくクリアするイメージの走りになる。これはコーナリング時に内輪駆動輪にブレーキをかけ、旋回性を向上させる制御のコーナートラクションコントロール機能が影響しているのかもしれない。

ドライブイー_走り2
ワインディングを軽快に走るV60

このようにワインディングでも軽快に走ることが可能で、不満はない。強いて言えば、エンジンサウンドの演出があってもいいか、という程度だ。じつは同日に3.0Lの上級モデルにも試乗することができるので、ドライブイーにはないポイントまで見えてしまうのだろう。いわゆる、乗り比べができる環境であったために気づいたということだ。

その3.0Lモデルは4WD直列6気筒ターボで上級モデルであるため、さまざまなものが上質に仕上がっている。エンジンもそのひとつで、「アイドリング時の静粛性も高く振動もステアリングには伝わってこない。走り出しからフル加速のエンジンサウンドも力強く、迫力もそれなりにあります。高速域での直進性はやはり4WDであるため、際立って安定しており、路面コンディションの悪い場所でのレーンチェンジも安心感をもったまま走れた」と津々見氏のコメントだ。さらにATをチョイスしている点でも上質感を出すのに良い選択だったと感じる。やはりトルコンの滑らかさは上質と感じてしまうからだ。

Rデザイン Rデザイン_リア

ワインディング路では、ドライブイーと比較すると、軽快感はない。逆に言えば、同じボディでありながらドライブイーにはクラスを超えた軽快感があるということになる。しかし、3.0Lターボエンジンは実に力強くトルクフルであるから、ストレスなく走りを楽しむことができる。

このように、2モデルともスポーツドライブを楽しめるまさに、スポーツワゴンと呼ぶに相応しいハンドリングであり、パフォーマンスだと感じる。そして気になる価格だが、ライバルをアウディA4、BMW3シリーズ、メルセデスベンツCクラスといっているように、価格面で圧倒的に有利になるように設定されている。それは、オプション装着をした場合でもお買い得感が得られるように設定されており、後発でDセグメントへの投入である分のデメリットを価格でメリットが得られるように考えられているのだろう。

エントリーモデルのドライブイーは395万円でナビパッケージ、レザーパッケージをつけて445万円。それに対して、A4のエントリーモデルが453万円、320iが465万円、C200ブルーエフィシェンシーライトが419万円というライバルたちである。S60の販売が好調なだけに、V60のヒットも間違いないだろう。

文:編集部 髙橋明

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