ポルシェジャパンは2024年3月11日、スーパースポーツEV「タイカンターボGT」と「タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ」の予約受注を3月12日から開始した。
ポルシェはフル電動スポーツセダンのタイカンにタイカンターボGTとタイカンターボGTヴァイザッハパッケージを追加設定した。
タイカンターボGTヴァイザッハパッケージはサーキット走行に特化したモデルで、パワーウェイトレシオをさらに向上させるためにリヤシートを取り外した2シーター仕様となっている。
■モデル概要
タイカンターボGT、タイカンターボGTヴァイザッハパッケージは1100psを上回る驚異的な最高出力を発生し、軽量設計とエアロダイナミクス対策を組み合わせることで、ドライビングダイナミクスの水準を大幅に引き上げている。リヤアクスルには、半導体材料にSiC（炭化ケイ素）を採用し、さらに強力で効率的なインバーターを搭載している。
タイカンターボGTは発売前に、すでに新しい記録を打ち立てている。2024年2月23日、カリフォルニア州のラグナセカ・サーキットで、ヴァイザッハパッケージ仕様車が、市販電気自動車の最速のタイトルを獲得した。ポルシェの開発ドライバーであるラース・ケルンは1分27秒87というラップタイムを記録し、あらゆる公道走行可能な電気自動車を上回るファステストラップを記録したのだ。
また、ヴァイザッハパッケージ仕様車の試作車は、ニュルブルクリンクでもクラス新記録を樹立している。ここでもケルンがステアリングを握り、ノルドシュライフェで7分07秒55のラップタイムを記録した。
この公式ラップタイムは、2022年8月にタイカンターボSスポーツセダンのパフォーマンスパッケージでケルンが記録したレコードラップを26秒も上回わっている。もちろんこのタイムは、現在の市販電気自動車の新記録でもあり、タイカンターボGTはすべてのパワートレインタイプの中でニュルブルクリンク最速の4ドアモデルとなったのだ。
アタックモードは、他のタイカンモデルのプッシュ・トゥ・パス機能をベースにしてボタンを押すだけで最大120kW（163ps）のパワーブーストを10秒間作動させることができる。このシステムはサーキット走行用に最適化されており、ポルシェがフォーミュラE世界選手権で使用している99Xレーシングカーと同様の機能だ。メーターパネルにはカウントダウンタイマーが表示され、スピードメーターのアニメーションリングがダイナミックに演出する。
これまでのタイカン・モデルに装備されているプッシュ・トゥ・パス機能に比べてアタックモードは50kW高いブーストパワーを発生し、操作と利用の方法はステアリングホイールにあるモードスイッチを押すのではなく、右側パドルでオン/オフすることができる。
これによってサーキット走行中での使用が容易になっているのだ。レーシンググローブを着用していても、ステアリングから手を離さずにブーストをかけることができる。また、ステアリングホイールの左側パドルでは、回生レベルを設定して走行条件に合わせることができる。
タイカンターボGTとタイカンターボGTヴァイザッハパッケージは、より強力なインバーターを装備し、両モデルともに580kW（788ps）を発生する。ローンチコントロール使用時のオーバーブーストパワーは最高760kW（1033ps）、最高ピーク出力は2秒間で最大815kW（1108ps）に達する。
タイカンターボGTの0-100km/h加速タイムは2.3秒、ヴァイザッハパッケージ装着車両の場合は2.2秒で、タイカンターボSより0.1～0.2秒速い。0-200km/hまでの加速は、タイカンターボGTが6.6秒、タイカンターボGTヴァイザッハパッケージが6.4秒で、タイカンターボSより最大1.3秒速くなっている。
リヤアクスルに最大電流900Aのインバーターが装備されている。これらは従来のタイカンターボSの600Aのパルスインバーターを上回る出力とトルクを生み出す。効率を高めるために、インバーターの半導体はSiC（炭化ケイ素）を採用。これによってスイッチング損失が大幅に低減され、より高いスイッチング周波数が可能になっている。
変速比とギヤボックス強度も最適化され、さらに高いトルク値を実現しており、両バージョンとも最大トルクは1340Nmを発生する。そして、タイカンターボGTモデルの航続距離は最大555km（WLTPモード）となっている。
■タイカンターボGT
タイカンターボGTはスーパースポーツモデルにふさわしい軽量化が行なわれており、タイカンターボSと比較して最大75kg軽量化。Bピラートリム、ドアミラーのアッパーシェル、サイドスカートのインレイなどにカーボンファイバーが使用され、さらにカーボン製のフルバケットシート、軽量ラゲッジコンパートメント、テールゲートの電動ソフトクローズ機能の削除も軽量化に寄与している。
タイカンターボGTにはダイナミクスパッケージが標準装備され、GT専用チューニングを施したポルシェ・アクティブライドサスペンションも標準装備となっている。さらに専用開発の超高性能タイヤと21インチ軽量鍛造ホイールも装備されている。
標準装備の軽量セラミックブレーキはポルシェ・セラミックコンポジットブレーキ（PCCB）をベースにしたシステムで、これまでより2kg以上の軽量化が図られている。なおブレーキキャリパーは専用のヴィクトリーゴールドで塗装されている。
エクステリアでは、タイカンターボGT専用のエアロブレード付きフロントスポイラー、リヤにはアダプティブスポイラーを装着。リヤスポイラーにはハイグロスカーボン織り仕上げのガーニーフラップが装備されている。
両モデルとも、フロントボンネットと軽量アロイホイールのハブカバーにポルシェカラークレストが配置される。リヤリッドの“Turbo GT”ロゴはマットブラック塗装だ。
エクステリアカラーは全6色で、新色のペールブルーメタリックとパープルスカイメタリックが追加されている。この2色は1年間はタイカンターボGT専用とされる。ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチャーが提供する広範なボディカラー・プログラムは、カスタマイズオプションで選択可能。さらに、ドア下部とフロントボンネットには、ヴォルトブルーまたはマットブラック/ハイグロスブラックの“Taycan”ロゴ入りデカールが用意されている。
インテリアでは、Race-Texとブラックレザーのトリム、カーボン織り仕上げ（ハイグロス）の軽量フルバケットシートが標準装備される。また追加費用なしでフロントアダプティブスポーツシートプラス（18way電動調整機能とメモリーパッケージ付）も選択できる。
フロントシートのヘッドレストには“Turbo GT”ロゴが刺繍され、ヴォルトブルーまたはGTシルバーのコントラストカラーを基調としたエクスクルーシブインテリア装備もオプション設定されている。
12時位置にマーク付きのGTスポーツステアリングホイールは、リムがブラックのRace-Tex仕上げだ。またタイカンターボGTには、タイカンターボSと同じスポーツクロノパッケージが採用されている。
■タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ
タイカンターボGTヴァイザッハパッケージは、よりサーキット走行向けのモデルだ。エアロダイナミクスと軽量設計をさらに追求したこのモデルは、パフォーマンスを徹底重視している。
タイカンターボGTのヴァイザッハパッケージ仕様車は、0-100km/hまで2.2秒で加速し、タイカンターボGTを0.1秒上回わる。最高速度は305km/h（ターボGT：290km/h）となっている。
空力装備には、アンダーボディのエアディフレクターと専用のフロント・ディフューザーが追加されている。リヤには、ウイングサポートを固定したカーボン織仕上げの固定式リヤウイングが装備され、ダウンフォースの総量は最大220kgとなる。リヤウイングの両サイドにはヴァイザッハパッケージのロゴが取り付けられている。
ヴォルトブルー、ブラック、マットブラックのストライプラップもオプションで設定され、モータースポーツに特化したモデルであることをさらに強調することができる。
サーキット走行に必要のない装備をすべて取り外すことで、ヴァイザッハパッケージではタイカンターボGTより約70kgの軽量化を実現。運転席および助手席シートシェルの後部は、収納コンパートメントを備えたテーラーメイドの高品質軽量カーボンクラッディングが通常のリヤシートの代わりに装備される。
メーターパネルに通常装備されるスポーツクロノパッケージのアナログ時計や、フットマットとトランクマットも削除され、断熱材の使用量も低減されている。そしてより軽量なリヤスピーカーなしのサウンドパッケージプラスが装備されている。
またインテリアはブラックのRace-Texを使用したGTインテリアパッケージが標準装備となり、助手席側にはヴァイザッハパッケージのロゴ入りバッジが付けられている。タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ仕様車には、ヴォルトブルーとGTシルバーのインテリアパッケージもオプション設定され、それぞれの色のコントラストステッチがよりスポーツ性を強調している。
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