ポルシェジャパンは2023年11月24日、スポーツ・ラグジュアリーセダン「パナメーラ」の第3世代となる新型「パナメーラ」、「パナメーラ4」(972 G3)の予約受注を開始した。
また少し遅れて、よりパワフルなEハイブリッド(PHEV)パワートレイン搭載のパナメーラターボEハイブリッドも登場する。
PASMが作り出すフラットライド
新型パナメーラは、ポルシェ・アクティブサスペンションマネージメント(PASM)を備える2チャンバー、2バルブ式のエアサスペンションを標準装備。
2バルブ技術は、ダンパー制御の伸びと縮側を分離することで、快適さとスポーティさの幅をさらに拡大させている。このシステムにより、路面の段差や継ぎ目による衝撃を大幅に緩和すると同時に、ダイナミックな走行状況での車体の安定性を向上。オプションの4輪ステアリングを装備すればハンドリング性能はさらに高められる。
また、革新的なポルシェ・アクティブライド・アクティブサスペンションシステムが、Eハイブリッドモデルにオプションとして設定されている。
このアクティブサスペンション・システムは走行快適性とダイナミクス性能の幅をかつてないほど拡大させている。その基礎となっているのが2バルブ技術を採用した新開発のアクティブダンパーとシングルチャンバーエア・サスペンションの組み合わせで、アクティブダンパーの伸圧のそれぞれは電動式の油圧ポンプにより接続されている。このダンパー内には必要性に応じて流量が発生し、ボディとホイールの間に必要な力を正確かつ瞬時に発生させることができる。これにより、路面形状などにより入力されるショックをほぼ完全に相殺することが可能だ。
パナメーラのシャシーは、ダイナミックなブレーキ操作やステアリング操作、加速時であっても、車体を常にフラットにキープする。また、段差をほぼ完全に吸収し、滑らかな乗り心地を生み出す一方で、ダイナミックなドライビングシーンでは、ポルシェ・アクティブライド・サスペンションシステムがホイール荷重をバランスよく配分することで、路面との理想的な接地を実現している。
また選択されたドライブモードに合わせ、サスペンションがピッチングやローリングの傾向を強く打ち消すように補正を行ない、乗員にかかる加速力を低減。コーナリング時にはまるでバイクのようにイン側に傾いてコーナーに進入。加速時にはフロントを、減速時にはリアをそれぞれ下げるように作動する。また静止時は、ポルシェ・アクティブライド・サスペンションシステムが快適な高さまで車体を持ち上げるようになっている。
PHEVにはV型8気筒ターボを搭載
新型パナメーラは高効率なEハイブリッド(PHEV)パワートレインを設定している。パナメーラターボEハイブリッドのパワートレインの心臓部となるのは、根本から改良された4.0LのV型8気筒ターボエンジンだ。新開発の電気モーターの出力は140kW(190ps)と合わせ、システム出力は500kW(680ps)になり、システム最高トルクは930Nmに達する。
ハイブリッドシステムは、総合的に設計を見直した8速PDKデュアルクラッチ・トランスミッションのハウジングに電気モーターを組み込み、独立したEモーターハウジングを廃止することで約5kgの軽量化を実現。また、トランスミッションのオイル回路にユニットを組み込むことで電動ユニットのヒートバランスが最適化されており、電気モーターからより高い出力を得ることができるようになっている。
パナメーラターボEハイブリッドの0-100km/h加速は3.2秒で、最高速度は315km/h。搭載されるバッテリー容量は25.9kWhで、航続距離はヨーロッパWLTP複合サイクルで91km、市街地サイクルでは83〜93kmのEV走行が可能。また、このPHEVには新しい11kWの車載AC充電器を搭載している。
ガソリンモデルはV6型ターボ
先行して発売されるパナメーラ内燃エンジンモデル(パナメーラ、パナメーラ4)は、2.9LのV6ターボエンジンを搭載。ブースト圧、燃料噴射流量、点火時期の変更によりパフォーマンスはさらに向上。
最高出力は260kW(353ps)、最大トルクは500Nmとなり、先代モデルよりも出力が17kW(23ps)、トルクが50Nmアップした。その結果、パナメーラの0-100km/h加速は5.1秒に短縮され、最高速度は272km/hに向上。4輪駆動のパナメーラ4は、0-100km/h加速は4.8秒で、最高速度は270km/hに達する。
内外装デザインディテールの変更
エクステリアは、従来のボディラインやプロポーションを継承。ボディサイズは、全長5052mm、全幅1937mm、全高1423mm。デザインのディテールは刷新され、フロントのナンバープレート上部にはエアインテークを追加し、駆動システムに必要な空気が吸入される。
サイドビューのウィンドウラインも一新され、4ドアスポーツカーのセダンらしさを強調。リヤウィンドウの外縁はボディの輪郭と面一になっており、車体後部の調和のとれたラインを生み出している。
コックピットは、デジタルとアナログの理想的なバランスが追求されている。ギアセレクターレバーは、ステアリングホイールの左側に配置。ドライバーは、ノーマル、スポーツ、スポーツプラスの各ドライビングプログラムのモードスイッチや、アシスタンスコントロールストークにも直接操作できる。
オプションのパッセンジャーディスプレイにより、パッセンジャーもドライビングエクスペリエンスを体感することができる。10.9インチのスクリーンには、操作に応じて車両性能データが表示され、また、走行中のインフォテイメントシステムの操作やビデオストリーミングにも対応している。
PHEVモデルがフラッグシップ
パナメーラターボEハイブリッドは、「ターボ」の名を冠した高性能フラッグシップ・モデルという位置づけだ。エクステリアは、塗装仕上げのディフューザーパネルを持つ個性的なリヤエプロン、ボディカラー同色のユニークなフロントエプロンが特長だ。また、ダークブロンズのクロームメッキテールパイプや、他のモデルでもオプションで設定できるセンターロックホイールも装備されている。
ウィンドウストリップとテールゲートにあるターボロゴ、そしてボンネット、ホイール、ステアリングホイールにあるポルシェクレストには、フラッグシップを強調するものとして、ターボ専用カラーであるターボナイトが採用されている。インテリアでは、ターボナイトとカーボンエレメントを組み合わせることで、よりスポーティになっている。
新型パナメーラは、スマートフォンと車両とのデータ連携が可能となり、MyPorscheアプリの車両機能をApple CarPlayに統合することで、Siri音声アシスタントで直接車両の操作が可能になっている。
運転支援システムでは、アクティブレーンキープ・アシストとアダプティブクルーズ・コントロールが標準装備され、自動駐車の際にドライバーが車内にいる必要もなくなっている(ただし、ドライバーには操作責任がある)。新機能のリモートパークアシストにより、スマートフォンから駐車の確認も可能になっている。