ポルシェは、2017年9月12日から開催の第67回フランクフルトモーターショー(IAA)で、カイエンのトップモデル「カイエン ターボ」のワールドプレミアを行なった。
第3世代のカイエンは、すでに2種類の6気筒エンジンを搭載してデビューを果たしている。しかし今回のIAAで発表されたのは、4LのV8ツインターボエンジンを搭載する、新しいフラッグシップとなるモデルだ。
ニューカイエン ターボの心臓は、2つのターボチャージャーをVバンク内に装着する「センターターボレイアウト」を採用しているのが特徴となっている。このレイアウトは燃焼室〜ターボチャージャー間の排気経路を短くできるため、レスポンスに優れるというメリットがある。またエンジン自体をコンパクトにまとめることができるので、より低重心化することが可能となり、コーナリング精度の向上にも寄与する。
注目の最高出力は、先代モデルを22kW(30PS)上回る404kW(550PS)。最大トルクも20N・mアップして770N・mとじつにパワフルだ。また駆動系は、トランスミッションが8速ティプトロニックSで、フルタイム4WDシステムのポルシェ トラクション マネージメントシステム(PTM)と組み合わされる。
圧倒的な動力性能を誇る、ニューカイエン ターボの0-100km/h加速タイムは4.1秒。スポーツクロノパッケージ装備車に至っては、わずか3.9秒という俊足ぶりを見せる。最高速度も286km/hに達するので、オーナーはこの車がSUVであることを忘れるほどの走りを味わえるわけだ。
カイエン ターボの新しい軽量シャシーは、スポーツカーの精度、サルーンの快適性、オフロードカーの走破性という3つの長所を兼ね備えることを目標に設計された。とくに新しい3チャンバーエアサスペンションと、電子制御ダンパーシステムPASMの組み合わせは、様々な路面状況への適応幅を一段と拡大している。
アダプティブエアサスペンションには、スプリングストラットあたり3つのエアチャンバーが使用されていて、異なるバネ定数のマップ制御が可能。また6つのレベルの車高を選択することで、オフロードの地形に応じて手動で最低地上高を調節することができる。オンロードおよびオフロード走行向けの新しい5つの走行プログラムにおいても、最低地上高はアクティブ制御される。
さらに高度なドライビングダイナミクスを獲得したければ、オプション装備のリアアクスルステアリング、48V車両電気システムに接続された電子制御式ロール抑制システムのポルシェ ダイナミックシャシー コントロールシステム(PDCC)、ポルシェ トルク ベクトリングプラス(PTV Plus)などで補完することも可能だ。
リアアクスルステアリングは、スポーツドライビング時に効力を発揮するだけにとどまらず、駐車や取り回しなどの、日常の使い勝手や快適性レベルも向上してくれる。
足元に装着されるタイヤは、前後異サイズ(標準装備でフロントが285/40、リアが315/35)の設定となっているが、このコンセプトはスポーツカーの設計に由来するもの。前後方向と横方向の動力の伝達を一段と向上させるのが狙いだ。
ニューカイエン ターボは、アクティブエアロダイナミクスの一環として、アダプティブルーフスポイラーを備えた初のSUVであることも注目したい。アダプティブルーフスポイラーは、走行状況に応じてポジションを変化させることで、効率を最適化させたりリアアクスルのダウンフォースを増化させたりする、いわゆる可変空力デバイスだ。
だが機能はそれだけではない。エアブレーキポジションでは、高速走行時の制動距離を短縮する役割も果たす。この結果、250km/hからフルブレーキングした場合、アダプティブルーフスポイラー非装備の場合と比べて、最大2メートル手前で停止することが可能となっている。
カイエン ターボに標準装備されるポルシェ サーフェス コーテッド ブレーキ(PSCB)は、鋳鉄製ディスクにタングステンカーバイド層をコーティングしたもの。これは制動性能と耐摩耗性を向上させると同時に、ブレーキダストの量も低減し、リムが汚れにくくなっている。もちろん、最高のブレーキシステムとしては、ポルシェ セラミックコンポジット ブレーキ(PCCB)もオプション設定される。
エクステリアに目を向けると、さらにシャープさを強調したデザインが目を惹く。フロント周りでは、V6モデルとはディテールが異なるフロントエンドと、2列のフロントライトモジュールが採用された、ポルシェ ダイナミック ライトシステム(PDLS)のLEDメインヘッドライトが特徴的だ。
サイドビューでは、塗装仕上げホイールアーチトリムを備えたワイドなホイールアーチと、そこに収まる21インチターボ ホイールも、このモデルならではの装備。リアエンドでは、ターボ専用のツインテールパイプも、力強さを強調している。ドアトリムとリアエプロンはボディカラー塗装仕上げとなる。
インテリアは、さらにスポーティであると同時にさらに快適であるという、カイエン ターボのキャラクターを表現している。ネットワーク化されたSUVのほぼ全ての車両機能は、ポルシェ アドバンストコックピットの高解像度ディスプレイとタッチスクリーンを用いて表示・操作することができ、710WのBOSEサラウンドサウンドシステムも標準装備される。
シートは18-way調整式のスポーツシートが装着され、ヘッドレストは911を彷彿とさせる一体型。全てのシートにはヒーターが標準装備で、ステアリングはターボデザインのマルチファンクションスポーツステアリングとなる。
本件に関する問い合わせは、ポルシェ ホームページまで。