ポルシェ・ジャパンと電気技術のリーダーの「ABB日本法人」が2019年4月12日、日本国内におけるEVポルシェ用急速充電器開発に関して業務提携することで合意した。
EV充電インフラ企業との提携
ABB(アセア・ブラウン・ボベリ)はスイスに本社を置く多国籍企業で、電力技術部門は、送電、配電や発電所に関する各種製品のシステムとサービスを提供している。また、オートメーション技術部門は工業分野・商業分野向けた自動化システムに関する各種製品、システム、ソフトウェアのサービスを行なっている。また、2018年からフォーミュラEのタイトル・スポンサー企業としても知られ、日本においても電力技術、電力製品で長い歴史を持っている。
このABB日本法人とポルシェ・ジャパンはABB製の急速充電器を全国のポルシェセンターと公共施設へ設置し、電気自動車用の急速充電ネットワークを構築する。ABBの充電器は500V/200A/100kWのCHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電器、欧米で主流となっている最大350kWのCCS(コンボシステム)の充電器を含むすべての国際オープン規格をサポートしている。
ABBは、CHAdeMOおよびCCSの充電規格協会の創設メンバーの一社であり、2010年に最初のDC急速充電器、2012年DC充電ネットワーク、そして2016年にヨーロッパで最初の電気バス(eバス)充電ネットワークを立ち上げるなど、EV充電インフラのリーディングカンパニーとなっている。現在、73カ国に1万500台のABB製DC急速充電器が設置されている。
この提携によりABBとポルシェは、2020年半ばまでに150kWを超える急速充電を可能とする、次世代のCHAdeMOを展開させるために協力して取り組むことにしている。最初の設置は2020年半ばに予定されており、ポルシェ初のフル電動スポーツカーの「タイカン」の充電に使用される。
ポルシェのフルEVモデル タイカン
ポルシェ初のフル電動スポーツカー「タイカン」は、4ドア、4座席で、600ps以上の最高出力により0-100km/h加速タイムは3.5秒以下を実現し、最大航続距離は500km以上(NEDC準拠)に達する。タイカンのワールドプレミアは2019年9月を予定しており、ポルシェ・ジャパンでは2020年に国内への導入を予定している。2019年3月時点で、全世界の2万人以上の顧客がタイカンの購入希望者リストに登録しているという。また2020年には派生モデルのクロスツーリスモの導入も計画されている。
ーーポルシェジャパンの七五三木敏幸社長
「ABB社とのパートナーシップにより、世界で最高レベルの急速充電器およびネットワークをお客様へご提供できることを大変嬉しく思います。ポルシェでは2025年までに販売台数の半分を電気駆動モデル、または部分的に電気駆動のプラグインハイブリッドモデルとするプロジェクトがあり、オーナー様にとって重要な急速充電器のインフラが整備されることは、ポルシェ電動化プロジェクトの大きな前進と確信します」と語っている。
ーーABB日本法人のアクセル・クーア社長
「スポーツカーブランドとしてマーケットをリードしているポルシェ初の電気自動車のインフラに対し、ABBの技術を提供できることは喜ばしいことです。ABBはEVインフラの世界的リーダーです。私たちは、よりクリーンで、より効率的かつ費用対効果の高いソリューションの開発を可能にする、柔軟で高品質な充電システムの構築という分野を開拓してきました。当社は、ポルシェジャパンのEVインフラ拡充に携われることを嬉しく思います。また、これを機にタイカンをはじめとした電気自動車の普及が日本国内で高まることを期待します」と述べている。
なお、ABBがタイトル・スポンサーとなっているフォーミュラEに、ポルシェは2019年12月に開始されるシーズン6に、「ポルシェ・モータースポーツ」つまりワークスチームとして参戦することになっており、電動車メーカーとしての存在感をアピールする計画としている。